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事業を創り育てる当事者にデザイナーとしてどこまで近づけるか
早いもので1年がまもなく終わります。
今年の年始に掲げた1字は「実」だったのですが、1年駆け抜け、それに値する実績や成果を示せたものもあれば、多く課題にぶつかり、自身の至らなさを実感する場面もたくさんありました。
色々あった1年でしたが、充実した1年を過ごすことができたと思います。
今日は今年の締めとして、この1年のデザイン活動を振り返り得た経験や学びを残しておこうと思います。デザイン会社のCEOとして事業や組織を運営していく立場、デザイナーとしてクライアントを支援し事業の成長を共に歩んできた中、どんな挑戦や壁にぶつかってきたか触れてみます。
この記事は、デザインに限界を感じている方、デザイナーとして今後どういう挑戦をすべきか模索されている方にとって1つでも刺激になるものがあれば幸いです。
rootの1年の歩みと実績
1. rootの支援モデルとブランドコンセプトのアップデート
創業から12年が経過した今年、これまでの取り組みをより解像度を上げアップデートしました。クライアントの組織、事業へのデザイン浸透を広げるためデザイン人材のネットワークの構築と拡大。組織の右腕として、共に事業価値を創り育むデザインパートナーというコアバリューを定義しデザイン会社としてのスタンスを明確にしています。
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このアップデートに合わせてカンパニーデックも刷新
2.様々な成長企業の支援実績を公開
前年と比較して、デザインの支援範囲を拡張しプロダクトデザインからコミュニケーションデザインまで守備範囲を広げ支援体型を作ってきた1年でした。その中から急成長するスタートアップも生まれ、rootの支援実績としても代表的な支援ケースが生まれはじめているのは大きな変化でもあります。
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Cocodaを活用し、支援プロセスを公開。クライアント支援では開示しずらい支援の実態をデザインナレッジとして外部にも公開しクライアントと共に歩み事業を成長させていく過程についてご紹介することができました。
3.オフィス移転とインキュベーションのはじまり
今年6月にオフィス移転を行いインキュベーション支援の取り組みをスタートさせました。これまでもファンドと連携した取り組みは行っていましたが、本格的に事業の立ち上がりを支援する活動をはじめています。
怒涛の1年。自分自身は何に注力していたのか
ここまで、会社としての1年の活動の履歴に触れてきましたが、自分自身がCEOとして、デザイナーとして、自分にできる限界に挑戦する1年でもありました。rootの事業モデルを確立するためにどこまで形にできるかを考え取りくんできた内容にも触れて行きたいと思います。
デザイナーとして事業の立ち上がり、グロースにコミットし再現性を持って成長を牽引できるか
これまで12年。様々な事業の立ち上げや成長過程に携わってきました。その中で自分自身の仮説として、事業のフェーズごとに起こるイシューには共通点があり、それをデザインで解消すれば直接的に成長にインパクトを出せるのではないか? この問いにどこまで結果を示せるか限界までやってみる。そう決め取り組んできたのが、昨年から立ち上げに参画し事業を共に創ってきたStarley社でした。
デザイン会社のCEOを努めながら、自分自身がプロジェクトで事業の方向性やサービスの方針を共に策定しドライブさせていく活動は、非常にハードな日々であり、体が2つ欲しいと思う場面が幾度となくありました 笑
今年5月に公開されたCocoda記事では、昨年からの立ち上げの過程について紹介されていますが、そこから更に事業をグロースするために日々、試行錯誤を繰り返し、多くの壁にぶつかってきたのがこの1年。
まだ世の中に存在しない体験を創る。
人類がはじめて人ではない存在とコミュニケーションを楽しめる世界を実現するために
この事業に関わりはじめた時、自分の中にあった1つの仮説として、このプロダクトはUXが事業の勝敗を決める1つのファクターになる。だからこそ、事業をドライブする根幹に、今必要な顧客体験を見極め、具現化できる自分が入ることで、プロダクトのグロースに必要な課題を乗り越え事業を前に進めることに寄与できるのではないか。そう考えコミットしていました。
毎日、顧客の声、データと向き合いながら次の一手をどのように打つか、ファウンダーと議論をしながらサービスの改善方針を打ち出しグロースするために必要なことを1つ1つ実行してきた日々でした。
デザインするという視点、立場で考えた時、構想されるアイデアやサービスモデルは、今はまだ世界に存在しないものを実現する必要があり、それを1日でも早く実証するためにできることは何でもやっていく。
立場や役割を脱却し、ファウンダーや事業を作る立場にどこまで近づけるかを意識し、経営者、事業を作るオーナーの立場から見た意思決定をいかに早く促し動かしていけるかに注力してきたのも1つの重要なアクションだっと思います。
デザイナーとして、事業の成長に責任をどこまで持って向き合えるか。ファウンダーとの間でどんな状況でも二人三脚になりながら駆け抜ける。フォロワーシップではなくファウンダーの視点や解像度を自分も得た上でオーナーシップを持って事業づくりを担うあり方は、自分がデザイナーとして担う役割の1つの理想系なのではと思います。
まだ道半ばでではありますが、Starleyで開発中のCotomoはリリース10ヶ月で100万インストールを突破することができました。
今月には累計10億円の調達を終え、より大きなスケールに向け挑戦をしている最中です。また来年は更に大きなハードシングスが訪れることは間違いないですが、また1つ自分自身も見える景色をアップデートしていきたいと思います。
組織の右腕として事業の成長を担えるデザイナーを増す
自身のデザイナーとして事業の成長に直接的に寄与する道を示すことに触れてきましたが、これで終わりではなく、この営みをより多くの支援先、事業へ広げていくため、デザイン会社として組織を育てていくことに注力してきたのも、この1年の大きな挑戦でもあり壁でもありました。
1.当事者になれるデザイナーを育て、増やしていくハードル
ここまで紹介してきた取り組みの実態は非常に泥臭い活動の積み重ねでもあります。経営や事業に接続するデザインを担うには大きな責任やプレッシャーも同時に紐づいきます。モノに向き合っているだけでは前に進まない問題が山程あります。それってデザイナーの役割なのと言われれば、そうではないという意見も多くあります。
デザイナーは職能として、フォロワー、サポーターに回る立場を求められることが多くオーナーを支える立場を取るのが一般的です。
しかし、それで本当に社会を変えるような営みを当事者として担えているのかと言われると、デザイナー自身がそこに留まり限界を作ってしまっているように僕には見えてしまうのです。
だからこそ、自分自身もデザイナーとしてできることの限界に挑戦をしつつ、組織を作っていく中で、デザイナーが担うべき責任の範囲を大きく広げていくことを大事にしています。
今期はその具体の1つとして、マネージャーには、デザイン浸透を通じた売上の責任、採用や育成の責任、それを通じ各社支援先を担当チームがどのように事業成長に寄与しデザイン浸透を実現できたかを追いかけ遂行する事業責任を担ってもらう形態を取っています。
これは、一般的な事業会社でデザインマネージャーを担うよりも、よりストレートに事業責任に直結した責任を担うためプレッシャーが大きくなります。
しかし、売上や採用というrootの事業モデル上、経営と直結する指標を持つことによって、自分自身が支援する支援先や自社の組織の成長がどのような構成要素によって成立しているかを肌で実感し学ぶことができます。
僕自身もデザイナーとして支援を遂行しながら、自社では経営者として事業計画も引きますし、PL、BSを見ながら事業方針を決めます。デザイン投資をクライアントに促すためには、自分自身が事業責任を持ち何に資金を投じるかの意思決定を自分ごととして得る実感が必要だと考えています。
2.人・組織がサービスである事業ドメインだからこそ実現できること
そして、この当事者を育てる営みを実現できるのは、デザイン会社という事業モデルがあるからこそだと考えています。
組織 = サービスという構造を活かし、人の成長や挑戦機会の創出と人材の発揮能力を連動させた評価体型を作り運用しています。
在籍するデザイナーは、1年を通じ、発揮能力を目標に置き、担当するプロジェクトの中での挑戦や成果を再現性を持って担える能力を身に付けられたかを評価する評価制度を取っています。
大きな挑戦や成長機会を得られるよう、アサインも2つのプロジェクトを同時に担当できる環境を用意し、成長スピードの早いスタートアップの立ち上げ支援から組織体制を構築しデザイン組織を形成していくグロースフェーズの支援先などドメインや事業フェーズの差異を比較しながら経験を詰むことで、成長スピードをあげられる環境構築に注力しています。
デザイナーは、成長と共に接続するカウンターパート(クライアントの担当者のポジション)を引き上げていき、事業全体の戦略や意思決定を担うファウンダーや責任者と共創する機会を増やせる支援モデルを構築しつつあります。
3.クライアントやそのサービスを自分ごと化し、高い当事者意識を持ったGiverであること
また、クライアント支援だけに注力するのではなく、組織 = サービスという環境から、自社組織づくりをOKRでプロジェクト化し運用することで、デザイナー自身が自社組織の開発におけるプロジェクトオーナーを経験する機会を創出する挑戦をしています。
これにより、デザイナー自身がオーナーシップを持ち支援先の責任者の視点や解像度を高め圧倒的な相手視点を持つことで、当事者として共に事業を共創できるデザイナーを育て、引き上げていくチャレンジをしています。
オーナーが描いたありたい状態を形にするだけでなく、自分自身がありたい状態を描き、それを実現するためにコミットする。この行き来をすることでデザイナーとして担える責任の範囲や動かせるもののサイズを広げていくことが、結果事業を牽引できるデザイナーとして成長していく機会になっていくと考えています。
来年も経営者として、デザイナーとして限界を超える挑戦を
1年の振り返りということで、長くなってしまいましたが、この1年ご一緒させていただいたクライアントのみなさん。rootを共に作ってきたメンバー、コラボレーターのみなさんのおかげで、充実した1年を過ごすことができました。本当にありがとうございます。
来年も様々なハードシングスと向き合うこともあると思いますが、自社の事業や組織を実現てしていくためにも、自分自身が常に限界に挑戦しできることを増やしていくことで、また1つ経営者、デザイナーとして変化・成長しデザイン会社としてのあり方を1つ道を示していけたらと考えています。
またこの挑戦は1人で実現するには、大きすぎるミッションなので共にrootを作っていく中核を担う仲間も募集しています。
rootのビジョンであるDesign Doing for Moreを実現するため、さらなる組織の拡大、事業推進を行い、多くの人々にとって価値ある事業・組織を世の中に1つでも多く増やせるようご支援をしていけたらと思います。
2025年も引き続き、よろしくお願いします。
rootでは共にビジョン実現できる仲間を探しています!
私たちは、「Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜」をVisionに、様々なフェーズのクライアントの事業と組織の成長を共に実現するデザインパートナーです。
rootは2024年5月に、事業規模の拡大に伴い、将来的な人員増強に対応できるオフィスフロア面積を確保し、よりオフラインの取り組みを活性化させられるよう、本社オフィスの移転を行いました。
新オフィスとなる「Quest 虎ノ門」は「Quest=探求」という名の通り、起業家を中心にエンジニアやデザイナーなどが集い、事業の立ち上げ機会、成長機会を“探求する”場となっています。
rootは、創業期より事業の立ち上げからPSF(プロダクト・ソリューション・フィット)、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)に向かっていくスタートアップの支援にも力を入れています。
今後もスタートアップの支援に加えて、イベントの開催、さらにはデザイナーのネットワークが構築できるような場づくりを積極的に行い、Design Doing for Moreの実現を加速させていきたいと考えています。
クライアント支援の立場から、1つでも多くの企業のデザイン実践に取り組み、組織の中にその経験と体制を残し、持続的な事業の成長にデザインが活かされる組織を増やしていきたいと思われる方。
共に、Design Doing for More〜デザインの実践を個から組織・事業へ〜を実現していきましょう!
ぜひ、ご興味ある方、一度カジュアルにお話ししませんか?ご連絡お待ちしています!
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