2024年5月16日午後 参議院法務委員会 (民法改正案の採決)

佐々木さやか議長
ただいまから法務委員会を再開いたします。委員の異動についてご報告いたします。本日、赤松健さんおよび福島みずほさんが委員を辞任され、その補欠として永井学さんおよび古賀千景さんが選任されました。休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次ご発言願います。

清水貴之議員(日本維新の会)
日本維新の会の清水です。よろしくお願いをいたします。まず初めに長期間交流が絶たれている親子の交流回復について伺います。現行の単独親権制度下では親権を剥奪された父母が長期間、子との関係が断絶してしまっている場合父母は子の居所すらわからない場合が多く、いわば生き別れのような状態に置かれてしまっている、そういったケースが多く発生しています。
これは単独親権制度が生み出した不幸であり、その状況を生み出した政府が責任を持って救済措置を講じ親子のふれあいの復活を目指すべきではないかという観点から質問させていただきたいと思います。まずその原因であるとか国としての責任、考え、どのように思われるでしょうか? 

竹内民事局長
お答えいたします。父母の離婚後の子と別居親との交流は、親権の行使として行われるものではありませんで、親権の有無とは別の問題として捉える必要があります。そのため別居親に親権がないことをもって別居親と子との交流が実施されないというものではなく、親子交流の実施の有無等につきましては、子の利益を最も優先して考慮して定められるべきものと認識をしております。
いずれにせよ、父母の別居親や離婚後も適切な形で親子の交流を図られることは、子の利益の観点から重要であると認識をしているところでございます。

清水貴之議員
この後もまた後ほど質問しますが、ただその親子交流や何かが適切に実施されていないからそういう状態が起きてしまっているわけですね。
5月9日、我々日本維新の会教育無償化を実現する会の嘉田委員から、こういった質問がありまして、同じような質問がありまして竹内民事局長は「別居中の父母の親子交流に関する規定や家庭裁判所が当事者に対し親子交流の試行的実施を促すための規定などを新設する。その試行状況を注視していきたい」と答弁をされているんですけども、これからの法改正があってこれからどうなっていくかという話ではなくてですね、今のこの現行の単独親権制度下でそういった親権を剥奪されてしまったと親子の交流が断絶されてしまっている長期間そういった状況になっているとそういった方々のその親子の交流の回復、これをどう図っていくかと、こういった視点での御質問だというふうに認識をしているんですけども、いかがでしょうか。これ大臣お答えいただける話ですかね。

小泉法務大臣
親権の有無、そして親子交流、これは往々にして結び付けられてきたわけでありますが、今回の法改正ではまず子供の利益を中心に置くことによって、そこから直接ですね、親子交流の必要性、推進という政策が導かれてくるというふうに私は、私どもは考えております。
親の責務、子供の養育、そしてそのための協力、これを基本に据えているわけでありますのでそれに則って必要な適切な親子交流を進めていくこということが大きな施策の柱として掲げられています。面会交流について裁判所から試行的にですね、面会交流を、親子交流を進めていこうとそういう方策も取り入れているわけであります。考え方として、親権の話ともう一つ別の別立ての重要な柱として、親子交流の推進、それは親の責務から直接導かれる政策的なインプリケーションだというふうに考えております。

清水貴之議員
同じ質問で民事局長にもお答えいただけたら。現状そういう長い間そういう状況に置かれてる人々に対する支援である、サポートである、こういったことに関してはどのように思われますか。

竹内民事局長
お答えいたします。やはり本改正の話になってしまうんですが、親権や婚姻関係の有無に関わらず父母は、子の要求に関して子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないこととしております。父母が合理的な理由がないのに、子の利益に反する形で親子交流を妨げる行為はこれらの義務に違反することになると考えます。
いずれにしましても、父母の別居や離婚後も適切な形で親子の交流が図られるということは子の利益の観点から重要なことでありまして、本改正におきましても、安全安心な親子交流を適切に実現するための見直しもしているところでございます。広く国民においてその趣旨や内容が正しく理解されるよう、関係府省庁等とも連携してまいりたいと考えております。

清水貴之議員
続いて、DVや虐待に対してどう向き合っていくのかというのが大きな課題です。この委員会でももう重ね重ねここの部分議論されてきた点だというふうに思います。私も週末地元の兵庫県に帰りましてDV被害者のための居場所作り、シェルターなどの運営に携わってきた方とお会いをしまして、今この法改正に対する不安の思いを聞かせていただきました。
DV被害者はその子供の命を救ってやってほしいという鬼気迫る思いを打ち明けられました。
一方、虚偽DVというワードもこれまでこの委員会審議の中で出てきていまして、DVや虐待の実態ですね。これをどう判断し、そしてどう対処していくのかは大変重要で難しい課題だなと改めて実感をしているところです。
まずお伺いしたいのが、離婚の理由がDVである。その割合というのはどれぐらいあるものなんでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。法務省が令和2年度に実施をいたしました協議離婚に関する委託調査の結果によれば、協議離婚を経験した男女合計1000名に離婚した原因に近いものを複数回答で尋ねましたところ、身体的な暴力を回答した者が7.9%、精神的な暴力を回答した者が21.0%、経済的な暴力を回答した者が13.5%でありました。
最もDVの有無につきましては、最終的には裁判所において個別具体的な事情を踏まえて判断されるべき事柄でありますため、厳密に統計を取ることが困難であることはご理解をいただきたいと思います。

清水貴之議員
やはりある程度、高い確率というふうに見てもいいんでしょうかね。DVがやはり原因だというのが離婚事由の大きな要因になっているというのがわかるかと思いますけども、共同親権によって離婚後の不幸が増えてしまうというふうに心配されている方の中には、やっぱり婚姻中からもDVがあってそれが継続すると、それを当然のようにですね、不安視されている方というのがたくさんいらっしゃるわけなんですが、そういった不幸を防ぐDVが継続する不幸を防ぐために今回の法改正ではどのような仕組みが取り入れられているんでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。本改正案では、例えばDVとなる事案では裁判所は必ず父母の一方を親権者と定めなければならないと規定したり、婚姻中など父母双方が親権者である場合でも、親権を単独で行使することができると規定するなどDVのある事案にも適切に対応する内容となっていると考えております。

清水貴之議員
そして、ですね。先日の参考人質疑でこれ木村草太参考人より指摘があった点で、法制審議会で共同親権を強制すべき具体例が上がったとのことだが古賀裕太郎委員が示した別居親が子育てに無関心である場合と、佐野美幸監事が示した同居人に親権行使に支障をきたすほどの精神疾患がある場合だけではなかったのかという話がありました。
午前中に福島委員からもお話があった非同意強制型と木村参考人がおっしゃっていましたその形態ですけども、法務省として、このような形で共同親権をある意味、片方もしくは両方が望んでいないのに強制した方が子供の利益になる場合とは、どのような場合を想定しているのか、というのを具体的に示すことというのは可能でしょうか?
そうじゃないというのはDVがあるかときはもう必ず単独にすべきだとかそういった別のケースというのは様々例が挙がってるんですが、共同親権しなければいけないっていう例というのがなかなか出てきてないように感じましたのでその質問をさせていただきます。

竹内民事局長
お答えいたします。お尋ねにつきましては個別具体的な事情に即して判断されるべき事項でありまして、また父母の協議が整わない理由には様々なものがあると考えられるため、網羅的にお答えすることが困難であることはご理解いただきたいと思いますが、その上でご指摘のような場合の他、例えば父母間の感情と親子関係等を切り分けることができる父母のケースや、支援団体等を活用して子の養育について協力することを受け入れることができるケースなどについては、父母の合意がなくても離婚後の父母が共同して親権を行うことを期待しうる場合があり、そのようなケースについて、家庭裁判所が、父母双方を親権者と定めることは、子の利益に資する場合もあると考えております。

清水貴之議員
あとDVの判断、これも非常に難しい話参考に質疑でもですね。いろいろな方から出ました。目に見えない形でのDVというのも多数あるということでどのように判断するかその難しさというのが多くの方から指摘されているところでありますが、先月4月4日の決算委員会において、これは総務大臣に対するこれ質疑ですが、DV等支援措置がかけられているケースはすなわちDVのおそれがあるケースであるという趣旨の大臣の発言がありました。DV等支援措置は根拠を持たない行政措置である上、加害者と疑われた者に反論の機会が与えられない仕組みです。
本法ではDVのおそれがある場合に単独親権の判断がくだされる余地が残されていますけども、今後裁判所がDVのおそれの有無を判断するにあたり、DV等支援措置がかけられているかいないかこれは判断材料の一因となるんでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。本改正案では、裁判所が離婚後の親権者を判断するにあたっては、子の利益のため父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととしております。
ご指摘の支援措置を受けているという事情も、DVの恐れを判断するに当たっての考慮要素の一つとなると考えられます。最も、支援措置については、その措置が講じられる過程で、必ずしも双方当事者の主張が聴取されているわけではありません。
そのため裁判所は、一方当事者が支援措置を受けているという事情のみでなく、それに対する他方当事者からの反論を含めた様々な事情を総合的に考慮してDVのおそれの有無等を判断することになると考えられます。

清水貴之議員
ありがとうございます。非常に現実的なご答弁かなというふうに思います。そして虐待死リスクとの相関関係について次伺わせていただきます。
離婚後の同居親に新しいパートナーやなどができる可能性当然あります。そのパートナーですとか知人の影響による児童虐待死事件というのが残念ですが起きてしまっている。これも事実だというふうに思います。離婚後も子供が父母観双方と関わりを十分に保つことは、それぞれの環境において子が安心安全に暮らすためのセーフティネットになり得るのではないかという観点からの質問です。
やっぱり離れてしまった後に単独親権ということでなかなか、もしくは共同親権でも会えなかった場合ですね子供の状況とかわからないそういった状況に置くよりも、やっぱりしっかりとですねこれ共同親権なり何なりでちゃんと交流しながらですね見ていった方がこういった残念な事件などを防げるのではないかということなんですけども、これについて法務省としてはどのように考えますでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。委員の御指摘につきましては、共同親権制度を導入することにより、例えば児童相談所が、同居親による虐待を認知した場面において別居親への情報の提供が可能となり、結果として別居親による子の救済の機会が増えるのではないかということを指摘するものと理解をいたしました。
他方で現行法下におきましても、例えば、別居親が親子交流の機会に子と接する中で、同居親による虐待の事実を知る可能性はありうるものと考えられます。
いずれにしましても、児童虐待の防止は重要な課題でありまして、本改正案が成立の際には、改正法が子の利益を確保する観点から、離婚後の父母双方による養育の養育への関与のあり方について、民法等の規定を見直すものであることも踏まえまして、児童虐待の防止について取り組んでいる関係機関ともしっかりと連携をしてまいりたいと考えております。

清水貴之議員
ぜひその観点もよろしくお願いいたします。続いて子の連れ去りの問題です。一昨日、音喜多議員からも、質問をさせていただきました、この問題なんですけども、大臣もそういった批判があることは認識をしているというそういったご答弁だったかと思います。
子供の連れ去りにあった場合、ある日突然日常を奪われた子供は甚大な心理的なダメージを受けます。当たり前のように過ごしていた片方の親や祖父母学校のお友達とか先生と隔離されまして、新たな環境に馴染むことを一方的に求められる子供たちの中には、非常にやっぱり不安な状況に置かれて精神的にも安定しないとそういった子供も多くできてしまうというふうに考えておりますが、まず最初にお伺いしたいのが、この法改正により、子供連りいろいろあるとはもちろん思います。
今回は理由なき連れ去りのことを聞きたいと思うんですが、当然DVであるとか虐待であるとか緊急避難的に急迫の事情があってこの法案でいう急迫の事情があって、連れ去らなきゃいけない一緒に逃げなきゃいけないというケースは当然あると思います。それは、また別の話としまして、理由なき子供の連れ去りというのは今回の法改正では違法となるんでしょうか、どうでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。本改正案におきましては子に関する権利の行使に関し、父母が互いに人格を尊重し協力しなければならないとしており、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が、何ら理由なく、すなわち急迫の事情もないのに他方に無断で子の居所を変更するなどの行為は個別の事情によってはこの規定の趣旨にも反すると評価されると考えております。
そして、これもあくまで一般論でお答えをいたしますと父母の一方が、父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、親権者の指定変更の審判において、その違反の内容が考慮される可能性があると考えております。

清水貴之議員
今のご答弁からも決して良いことではないというのが、非常によくわかるわけですが、では、この理由なき子供の連れ去りというのを、この法改正で堂々としたら抑制されるものを抑制していくというふうに考えてるんでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。委員ご指摘の子の連れ去りとは父母の一方が他方の父母の同意を得ることなく、この子の居所を変更する行為を指していると受け止めておりますが、子の連れ去りについて一般的には、例えばいわゆる離婚後単独親権制度を採用している現行民法下では、親権争いを自己に有利に進めるという目的で連れ去っているのではないか。
現行民法ではどのような事情があれば、父母の一方が、子の居所の変更を含めた親権行使を単独で行うことができるのかが不明確である。現行民法では、子の居所の変更を含めた親権行使について、父母の意見対立を調整するための裁判所の手続きが設けられていないといった指摘がされているものと認識をしております。
これに対し、今回、本改正案では、父母の離婚後もその双方を親権者とすることができることとした他、父母双方が親権者である場合には、子の居所の変更を含めて、親権は父母が共同して行うとをした上で急迫の事情があるときは、父母の一方が親権を単独で行うことが可能であるとし、父母の意見対立を調整するための裁判手続きを新設することで、親権行使のルールを整理しているものでございます。

清水貴之議員
そういった状況じゃ、どうですね判断をしていくかという、この辺がやっぱり難しいというのはですね。これまでもいろいろ議論されているということを思いますけども、今言われた親権獲得のための連れ去りとですね、急迫の事情による連れ去りこれをですね、それぞれやっぱり言い分がこれ絶対違ってくるというふうに思うんですよね。それをどうどう客観的事実などに基づいてどのように判断していくのかというのは難しいのではないかと思いますがいかがですか。

竹内民事局長
お答えいたします。委員のご質問は急迫の事情の意義について問うものと理解をいたしました。子の居所の変更を含めまして、各父母による親権行使の当否は、個別の事案における具体的な事情に即して判断すべきものでありまして、これまでの国会審議におきましては、具体例も踏まえて、急迫の事情があるとして親権の単独行使が認められる場面等について説明をしてまいったものでございます。
本改正案につきましては、衆議院法務委員会における審議の結果として、附則に政府は改正後の各法律の円滑な施行のため新民法第824条に、第1項第3号の急迫の事情の意義等について国民に周知を図るものとする旨の条項が追加をされたところでございます。

本改正が成立した際には、この附則の規定に従いまして、急迫の事情の意義も含め、本改正の趣旨の趣旨や内容について、国会における法案審議の中で明らかになった解釈等を含め、関係府省庁等とも連携して、適切かつ十分な周知に努めてまいりたいと考えております。

清水貴之議員
次の親権や監護者の適格性について先ほど人格尊重協力義務規定の趣旨に反すると評価される場合があるという話でしたので飛ばさせていただきまして、次の引き渡しの強制執行についてなんですが、裁判の結果虐待やDVが否認され、別居親の元への強制執行が試みられた子供については、乳幼児の高い執行比率に対して小学生以上の子供が拒否の意思を示し不能となる確率が高まるというふうに言われてます。
ここでお聞きしたいのが、子の引き渡しの執行率は、どれくらいなんでしょうか。また年齢により執行率が異なる場合その原因の分析、とりわけ同居親の影響についてどのように考えているんでしょうか?

最高裁判所事務総局福田民事局長
お答えいたします。令和5年に引き渡しの強制執行事件が終了した件数は62件で、そのうち引き渡しが実現した件数は24件となっております。
従って、子の引き渡しが実現した割合は38.7%となっております。年齢別の執行率は統計として把握をしておりませんので、年齢によって執行率が異なるかやその原因などについては統計的には把握をしておりません。

清水貴之議員
もう残り10分ぐらいありましてまだまだ聞きたいことありますのでちょっとスピードアップしながら質問させていただきたいと思います。
次は親子交流に関してです。まず調停や審判の期間が非常に長いと時間がかかってしまうというところなんですけども、調停を申し立てた場合実際に調停や審判が成立するまでに数ヶ月からながければ数年かかることも珍しくないということです。
こういった法制度、家裁の運用というのは、親子の要件の侵害としてその間親交流面会交流などが実施されない場合もあるわけですので、人権侵害に当たるのではないのかというのと、次の判断までの期間、短縮、これは進めるべきではないかとこの質問を一緒にさせていただきたいと思いますがいかがでしょうか?

馬渡家庭局長
各家庭裁判所では、親子交流の事件について調停委員会等において、同居人および別居親の双方から丁寧に事情聴取して、課題を把握して適切な働きかけを行い、個別の個別具体的な事案の内容に応じて調整を繰り返すなどして支援のあり方に対して、などしております親子交流事件の支援のあり方に対して様々なご指摘があることは承知しておりますが、このような審議を行うということ自体がご指摘のような人権侵害や児童の権利条約違反といった問題を生ずることはないものと考えております。
最も開始予定の審理期間についてはかねてよりかかっており、各家庭裁判所において問題意識を持っておりまして、適正迅速な紛争の解決に向けて各家裁では記述の持ち方の工夫、評議等を通じて裁判官の効果的関与、web調停の活用などを含む調停運営改善の取り組みを進めてきておりまして、最高裁としてもそういった取り組みを後押ししてきているというところでございます。

清水貴之議員
一つ飛ばして次3-3の頻度や時間のところなんですけども一昨日これも音喜多議員がですね、子の利益に関する父母間の人格尊重協力義務違反の具体例に関する質疑をしまして竹内民事局長は「一般的には合理的な理由がないにもかかわらず親子の交流を妨げたりすることは条文に違反する可能性がある」というふうな答弁をされていますそこで重ねて加えて伺いたいんですけども、と別居し別居の親が頻繁の交流を望んでいると、同居親じゃなくて別居親がですね、ただ、その同居している側が合理的な理由がなく例えば、今は月1回大体数時間ぐらいが日替わりの交流が一般的ですよみたいな形でですね、ここは願ってるんだけど子の意志に反して一緒に過ごしている親の方が交流の制限を行っている場合、これは子供の利益のための、この人格尊重、努力義務に違反したというふうに判定されることもあり得るんでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。委員お尋ねのようなケースも含めましてどのような場合にに関する権利の行使または義務の履行に関する父母相互の人格尊重義務や協力義務に反すると評価されるかは、個別具体的な事情に即して判断されるべきものでありまして、一概にお答えすることは困難ではございますが、一般論として申し上げれば親子交流の頻度、内容等については子の利益を最も優先して考慮して定められるべきでありまして、同居人が合理的な理由なく、子の利益に反する形で別居親と子との交流の頻度を制限する行為は、これらの義務に違反したと評価される可能性があると認識をしております。

清水貴之議員
そもそものところで今回の法改正で親子交流の頻度や時間に変化は、これ生じるある意味増えるということは考えられるんでしょうか?

竹内民事局長
親子交流の頻度あるいは時間につきましては、そのご家庭あるいは親子の関係等の事情に応じて協議で定められるべきものでございまして、本改正案におきましては、直接はその頻度等について触れるものではございません。

清水貴之議員
幼稚園とか学校とかですね、子供が日常的に過ごしている場所での交流の実施、こういったものは可能性としてあるんでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。親子交流を実施する場合の方法や場所につきましては、個別具体的な事案に応じて子の利益を最も優先して考慮して定められるべきものでございます。
その上で、父母の協議または家庭裁判所の審判において、親子交流の場所を学校や幼稚園等と定めた場合であっても、学校等を親子交流の場所として提供するかどうかは、当該学校等の管理権者において個別の事案ごとに教育施設管理等の観点から適切に検討されるべき事柄であると考えております。
本改正後も引き続き適切な運用がされるよう、教育を所管する文部科学省と連携してまいりたいと考えております。

清水貴之議員
ちょっと3のこの親子交流でちょっと1回置かせていただいて4の共同養育計画、子のガイダンス、子の意見表明権にまず移らせていただいて時間が残ればまた3の方に戻らせていただきたいと思います。
子のガイダンスですまずは。両親の離婚に際して子供たちは極めて不安定な心理状態となります。中には、両親が離婚したのは自分のせいだと自分を責める子供や、親に迷惑をかけない、いい子にならんならなければならない。つらい思いをした親のためにも、自分が親を笑顔にしなくてはと過剰に周囲に配慮する子供たちもいると。
そういった子供たちはですね小さい体に抱えきれないほどの悲しみや苦しみを抱えていまして、そういった子供たちにこそ、両親の離婚というのは決して子供をあなたのせいではないんですよと。
こういうことを伝えつらいときにどうしたら良いかという対応方法を教えるガイダンス、こういったものを親ガイダンス話はこれまでも委員会審議でてきてるんですが、こういう子へのガイダンスというのも必要ではないか重要ではないかと思うんですがいかがですか。

竹内民事局長
お答えいたします。父母の離婚に直面する声の社会的なサポートは子の利益を確保する観点から重要であると認識をしております。法務省では、ホームページを通じまして、父母の離婚で悩んでいる子供向けに相談まず窓口を含めた必要な情報提供を行っているところでございます。
このホームページでは、「親が離婚することについて子供であるあなたが責任を感じたり、自分を責めたりする必要は全くないんだよ」というメッセージを発信しております。
また、令和5年度に実施した離婚後の親講座の調査研究におきましては、子供を紛争に巻き込ま巻き込まないことや、子供の意見に耳を傾けることの重要性等について心理学の知見も踏まえて説明を充実させるなどの工夫をしたところでございます。
引き続き関係府省庁等とも連携して、各種の制度を適切かつ十分に周知することを含め、子への支援のあり方について適切に検討してまいりたいと考えております。

清水貴之議員
お願いします。そしてガイダンスと同時に子供の意見を聞く意見表明権についてなんですが、単独親権となった場合でも勉強をしに会いたいと願う子供をですとか、共同親権となった場合でも実は性的虐待を受けており恐怖に怯えている子供など様々な子供の困難というのが考えられる中で、子供当事者の本心を聞くというのも重要ではないかと。ただ一方でこれもこの委員会の議論の中とか参考人の方からはなかなか本心を聞き取るのはやっぱり難しいであるとかですね、両親を選ばせるのは酷ではないかといろんなこれも御議論があるところだとは思うんですけども、法務省としては子供の子の意見表明の必要性、その反映方法についてはどのように考えてますでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。一般論としては、離婚時に父母が子の養育に関する事項を取り決めることは、子の利益にとって望ましく、子の養育計画の作成の促進は重要な課題であると認識をしております。また本改正案では、父母が子の人格を尊重すべきことを明確化することとしております。
ここに言う子の人格の尊重は、子の意志が適切な形で考慮され、尊重されるべきであるという趣旨を含むものであります。共同計画の作成に当たりましても、父母は子の意志を適切な形で考慮することを含め、子の人格を尊重しなければならないこととなると考えております。
法務省では共同計画の作成に関する調査研究を実施する予定でありまして、その際には、子の意志の確認方法等を含め、法学者や心理学者等の協力を得て検討したいと考えております。

清水貴之議員
最後に大臣にお伺いしたいんですが、これ2点あわせてお聞きできればと思います。
共同養育計画作り、これは我々の会派の嘉田委員なども常々言ってきていることで様々な面会交流であるとか養育費の問題とか、それをしっかりと履行していくためには、その手前段階での計画作り、そういったものが必要ではないかということで、その必要性を認めてらっしゃると思う、やっぱりなかなか義務化までは難しいという答弁だと思うんですがそこはお変わりないかというところと、
あともう一点、これ、一昨日の審議で音喜多議員からですね、法案成立から施行までが2年以内となっているが、新設される子の利益のための父母間の人格尊重努力義務は親権行為の有無に関係ない理念法であると、法案成立直後にその条文の部分的思考や運用を裁判所に促すことは可能ではないかという趣旨の質問をしまして、大臣は趣旨は理解をするがなかなか関係機関の準備の時間もあるのでやっぱり2年というのは必要な期間だというような答弁をされたと思うんですけども、ただやはりですねこういった思いとか理念を、現場ですね、裁判所の調停であったり、裁判官であったり、調停委員であったり裁判官であったり、そういう現場の方がやっぱり早い段階から2年経ってパっと始めるんじゃなくてですね。これだけいろんな議論があって問題点も明らかになってきたわけですから、そういったものを今からですね、どんどん浸透させていく。ちゃんと周知していくというのは、これは必要なことではないかと思うんすが。大臣いかがでしょうか?

小泉法務大臣
まさにその通りだと思います。それほど複雑な制度ではないとは思いますが様々なご意見があり、また様々ご説明がまだ十分でないかもしれない部分もありますので、施行までの2年間を有効に使って、関係者の方々が、裁判所も含めて、我々も含めて理解を深める、共通の理解を持っていただくための努力、非常にその置換重要な期間だというふうに認識しております。
ただそれが行き届かないうちに、理念法のところだけ、成功するというのはちょっとやはり無理があるなというふうに考えるわけでございます。
それから、共同養育計画これもお気持ちはお考えはもうよくよくわかるんですが、やはり離婚の足かせになるといいますか、離婚のなかなか進めに進めにくくなる要因にもなりうるという懸念もですね、やはり完全には拭い去りがたいものがありますので、慎重に検討を進めたいと思います。

清水貴之議員
ありがとうございました。

佐々木さやか議長
この際委員の異動についてご報告いたします。本日、山下芳生さんが委員を辞任され、その補欠として山添拓さんが選任されました。

川合孝典議員
国民民主党の川合です。今日はまずはこれまであまり指摘されてこなかった点について確認させていただいいただくところから始めたいと思いますが、銀行口座の開設についてお伺いします。
共同親権が適用された場合に、子の銀行口座の開設にあたって新たにどのような確認作業が必要になるのか、この点についてまずお聞きします。

竹内民事局長
お答えいたします。預金口座の開設のような財産管理につきましては、監護または教育に関する日常の行為いいとは言い難く、父母が共同して親権を行うこととなると考えます。最も、このことは預金口座の開設をするためには必ず父母双方の署名押印が必要であることを意味するものではなく、父母の一方の署名押印を持って他方の目次的な同意を推定することができるとして取り扱われることが、現行法のもとでも一般的であると承知をしておりまして、このような取り扱いについて、特に変更が求められるものではないと考えております。

川合孝典議員
つまりは共同親権が導入されたからといって口座の開設をするにあたっては、何ら支障が生じることはないということをおっしゃったという理解でよろしいですね。

竹内民事局長
委員ご指摘の通りそのように考えております。

川合孝典議員
それではですね。例えばいわゆる子の将来のために口座を開設する、その口座の中身が例えば今で言うとNISAのような金融商品口座を開設をして将来のための子供の資金を運用するといったようなことを考えたときに、一般的に急迫の事情には当然当たらないということではありますけれどもこれも同様、今、民事局長がおっしゃったことと同様に、そうした商品商品口座を開設することについても問題は生じないという理解でよろしいでしょうか?

竹内民事局長
委員ご指摘のような口座の開設もやはり財産管理行為に当たりますので、日常の行為にあたらず父母が共同して審議を行うこととなりますが、ただ実務的には先ほど申し上げたようなところが一般的であると承知をしておりますので、特にこれに変更あるものではないと考えます。

川合孝典議員
しつこく確認させていただきますのは、現実に法律上はそういった整理がされるされてこれまでもきちんとされているということではあるんですが、銀行の窓口で実際にそういったトラブルが発生しているといったような指摘も実はあります。
したがいまして今ご指摘したことも含めて、子供の財産権をきちっと守るということに関しては共同親権ということとは、またとは別の問題として、従来通り、子の財産権がきちんと守られる、ということ、このことがそうなのであれば、そのことを明示的にやはりお示しいただきたいと私は思うんですけれど、周知ということも含めて大事をお願いできますでしょうか?

小泉法務大臣
ちょっと具体的な方策は今、ちょっと申し上げることが難しいのですけれども、子供の利益を図るための法制改革でありますので、今ご指摘の点も我々なりによくまた問題意識を持って研究を深めたいと思います。

川合孝典議員
子の利益を最優先にということは繰り返しおっしゃっていることであり、そのために合理的な理由があればということをこのことも繰り返しおっしゃっているわけですが、では一体何が合理的理由に該当するのかということははっきりはおっしゃってないというか明示的には示せてないわけであります。
そのことの結果として皆さんが不安に思っていらっしゃるということでありますので、今指摘させていただいたこの点も含めて、これを法律に書き込め、といったようなことを申し上げているわけではなくて、実際運用のルールとしてこれはこういうことですというQ&Aなのか、ガイドラインなのか指針なのか、やり方はいろいろあろうかと思いますけど、そういった形で誤解が生じないようにきちんと対応していただきたいというこういう趣旨で質問をさせていただいました。
では次の質問に移りたいと思います。離婚後の子の養育計画に関する調査研究業務について、確認させていただきます。既にこれは伊藤先生からも一度ご指摘が質問ありましたけれども、離婚後の子の養育計画に関する調査研究業務の請負について4月の15日から5月の13日までの間で、入札を行われたということで、私の手元にも資料がございます。
まず、この調査研究広報業務についてこの調査研究によって作成される予定のモデル養育計画というものの位置づけはどのようなものになるのかということをまず確認を大臣にさせていただきたいと思います。

小泉法務大臣
ご指摘の用意計画の作成に関する調査研究、これは法学者や心理学者等の協力を得て、我が国に最適な養育計画のあり方を検討し、モデル養育計画書を作成して、自治体や民間団体と連携して効果検証を行う。これを想定しております。
これを踏まえて研究を進め最終的には、モデル養育計画が作成されますけども、これは例えば離婚後の子の養育に関するパンフレットに掲載するなども含めて広報のあり方検討していきたいと思っております。

川合孝典議員
ありがとうございます。このいわゆるもう既に開札されていますから、どなたが受けられたのかということは多分そこ本省の中で決まってるんだろうと思うんですけれども、このモデル養育計画を策定作成する上で中立性、そして客観性といったようなものがきちっと担保されているのかということについて、これも様々な方々から疑問のお声が上がっておりますので、どのようにしてこのいわゆる調査研究業務の中立性客観性を担保していらっしゃるのかということこのことについてもある加えて追加でご質問させていただいます。

竹内民事局長
お答えいたします。調査研究で作成をされますモデル養育計画書につきましてどのような形で効果検証やレビューを行うかまだ未定でございますが、協力していただく研究担当者や民間団体等の知見を活かしまして、適切なモデル養育計画書が策定されるよう期待をしたいと考えております。
現時点でどの研究者、自治体、民間団体に協力を依頼するかについてお答えすることは困難ではございますが子の利益の観点から同居親別居親いずれの立場からも利用しやすいよう計画のあり方が検討されるよう期待したいと考えております。

川合孝典議員
子の養育モデル養育計画の作成というのは当然失礼、養育計画書の作成自体はこれまで当事者だけで作成するのは非常に難しいということもあって、海外などでは、養育計画を作るにあたってADRを活用した合意支援というものが一般的に行われていることは、ご承知の通りということなわけですが、今回この調査研究業務の要綱を拝見させていただきますとモデル養育計画の話はいろいろと記載されているんですけれど、このADRについての具体的な記載が見当たりませんでした。このADRは必要な支援の項目の中に含まれているというふうに理解、これ読んで理解してよろしいのか、そのことについて確認をさせてください。

竹内民事局長
お答えいたします。令和6年度の調査研究では、離婚後の子の養育計画について、法学者や心理学者等の協力を得て、委員ご指摘のような海外の法制度や運用、我が国において共同養育を支援している民間団体等の先進的な取り組みなどについて調査をいたしまして我が国に最適な養育計画のあり方を検討し、自治体や民間団体と連携して効果検証することを想定しております。
具体的にどのような調査を行い、どのような方法により効果検証を行うかは、今後ご協力いただく研究者とも協議して決定することになるため現時点では未定ではありますが、先ほど申し上げました民間団体には、家事事件を専門に扱う取り扱っているADRなども含まれると考えております。

川合孝典議員
つまり民間総合調停センターさんといったような組織のことをイメージすればいいということですね。はいわかりました。そうした一連の調査研究によってどういった成果物が得られるのかということを、このことについては当事者の皆さん非常に高い関心を持って注視していらっしゃるわけでありまして、このモデル養育計画等の調査研究を行うこの過程プロセスの中で、中間的な成果というものについての要は関係者の方々へのフィードバックといったようなことについて、ご検討されているのかどうかということについてこれ法務大臣にお聞きしたいと思います。

小泉法務大臣
大勢の方々が関心を持っていらっしゃいますし初めての取り組みでありますので、やはりできるだけ早い段階で中間的なフィードバックを行って関係者の方々の反応、またご示唆そういったものを受けながら進んでいくという方法をとるのが適切かと思っております。

川合孝典議員
ぜひよろしくお願いしたいと思います。それでは次の質問に参りたいと思います。ここからはちょっと観念的な話になるんですけれど、裁判を行う上での離婚の事由について法務省の見解をお伺いをさせていただきたいと思います。
質問としては離婚後の共同親権との整合性を取る上で裁判離婚の事由を、有責主義といいますか消極的破綻主義からいわゆる積極的な破綻主義に変更するべきなのではないのかといったような指摘を質問の中ではさせていただいております。
何のことを申し上げておるかということについてなんですが、ご承知の通り調停離婚は夫婦の自由な協議で離婚できないときに、協議の延長を家庭裁判所で行うということでありますからその申し立てに当たっての厳密な要件が特にあるわけではないということであります。
しかしながら離婚訴訟は夫婦の一方が望まなくても、判決をもって強制的に離婚させる手続きである以上は、離婚請求に相当の根拠が必要。これが離婚事由ということになりますが必要となります。そして裁判の判断には、現状、いわゆる有責主義と破綻主義という二つの大きな考え方があるということです。
この有責主義というのは旧明治民法等で採用されておりましたけど、離婚請求される相手方に有責性がある場合のみ離婚を認める。という考え方つまりは相手の不義不貞があったことが、いわゆる離婚事由として該当するということであり、昭和22年以降の現在に繋がる民法では婚姻が客観的に破綻していれば、離婚を認めるというか、実質的に破綻していれば離婚を認めるというこういう考え方なわけであります。
現状現在の民法770条ではこの破綻主義というものが採用されておりますので、夫婦の一方から婚姻関係の破綻を主張することで離婚が実を認めることについて裁判所が実は裁量を認めているということなわけですが、責任があってこの離婚の騒ぎになっているということであり、この責任ある有責配偶者からの離婚請求というのは、自分で離婚原因を作っておきながら誠実な配偶者をないがしろにする行為ということもあり、道義的倫理的な問題があるということで嫌悪されてきたという、そういう過去の経緯も実はあるわけであります。
その結果、実は破綻主義の民法になっているにもかかわらず、有責配偶者からの離婚請求は認めない、いわゆる消極的破綻主義というものをが今海をされているということだけであります。
その後徐々に消極的破綻主義から積極的破綻主義へということで、要はトレンドが少しずつ移ってはいるようでありますがそうした動きを踏まえて実は平成8年の民法改正要綱で、法定離婚事由についての改正案が実は出されました。
ここにはいわゆる積極的破綻主義というものを一定のルールのもとに認めることが要綱の中に記載されているわけでありますが、しかしながら裁判所の判断は現在も消極的破綻主義をとっているというこういう状況にあります。
私が問題指摘をさせていただきたいのは、今回、共同親権が実は導入されるということになり、その離婚裁判をどのような判決が出るのかということもそうなんですが、有責主義ということが重視されますと、当然相手の責任というものについて裁判で争うという作業を行うことになります。
しかしながら、裁判の後、子の養育監護に対する責任は負わなければいけないということがありますので、この有責主義というものに基づいて離婚したご夫婦がこのいわゆる共同親権を持って子の監護を行うということを行ったときに、果たして裁判で激しく争った上で仲良く子の養育に取り組むことができるのかということについては、むしろ整合性が取れなくなるのではないのかといった、そういう実はご指摘の声がありまして、それを私も拝見してなるほどなというふうに思ったわけであります。
そこで質問なんですけど、離婚後の共同親権との整合性を取る上で、裁判離婚の事由は、今回の共同親権の考え方等が導入されるということを踏まえて、子の最善の利益を優先するということに着眼した上で破綻主義というものに変更していくべきではないのかという考え方について、こちら法務大臣のご見解をお伺いします。

小泉法務大臣
現行民法の裁判上の離婚原因には破綻主義の考え方に基づくものと、有責主義の考え方に基づくものが含まれており、必ずしも有責主義のみが採用されているものではございません。その上で、平成8年2月に、法制審から答申されました民法の一部を改正する法律案要綱では、破綻主義の考え方を明記する案が含まれておりました。
法務省においては他の項目も含め、この平成8年および平成22年にこの要綱を踏まえた改正法案を準備しましたが、国民の会員、あるいは当時の政権内にも様々な意見があり改正法案の提出にまでは至らなかったという経緯がございます。
本改正案においては、法制審議会家族法制部会の諮問事項との関係で離婚原因一般についての見直しにはいたっておりませんが、法務省としてはこの答申を重く受け止めており、委員ご指摘の離婚原因のあり方についても一つの大きな課題である、というふうに認識をしております。

川合孝典議員
一部有責主義を認める離婚事由というものを採用しているという背景にあるのは、与党側がこの平成8年の改正案については慎重な姿勢をとったからだということで今はっきりおっしゃったわけでありますけど、つまりはということは、今回の民法改正に伴って様々な環境が変わってきているということを考えたときに、今、私がご提案させていただいた離婚事由のいわゆる破綻主義というものの考え方というものについては、今後検討していく価値があるものではないのかと思いますが、この共同親権といったいわゆる家族のあり方自体の根幹に関わるルールを変えようという話になっておるわけでありますので、ぜひこの点についてご検討を始めていただきたいと思うんですがいかがでしょうか?

小泉法務大臣
今ご答弁申し上げましたように答申は我々非常に重く受け止めております。
今回の諮問事項の範囲は、この離婚原因一般についての見直しは入っておりませんが、この答申そのものは非常に引き続き継続的に重く受けとめているところでありまして共同親権との今回の法改正との関わり合いについても先生から今ご指摘をいただきましたので、そういった点もよく念頭に置いた上で、しっかりと対応を考えていきたいと思います。

川合孝典議員
真摯にご答弁いただいてるのはもう重く受け止めているんですけど、実際にこの改正法案要綱が出てから既に28年も経過しているということですから重く受け止めているだけで立ち止まっていてはいけないということだということをしつこいようですけど申し上げさせていただきたいと思います。
ちなみにこの民法改正の平成8年の要綱は、法定離婚事由についてこのように書いてあるんですね。
「不貞行為と悪意の遺棄について、婚姻関係が回復の見込みがない破綻に至っているときに限定をする。そして2点目が、婚姻の本旨に反する別居が5年以上続いている場合、3点目が婚姻を継続し難い重大な事由を婚姻関係が破綻して回復の見込みがないときに変更する。
そして4点目が5年以上の別居や婚姻関係の破綻が認められても、配偶者に対する協力扶助を怠り、請求が審議に反するときは棄却できる。こういったこと。
それから最後5点目、離婚が配偶者や子に著しい生活の困窮または耐え難い苦痛をもたらすときは棄却できる」
と書いてあるんですね。
今回のいわゆる民法改正における様々な議論の中身ともかなり整合性がとられた内容のものが既に28年も前に出されているということに対して、さすがだなと思って私はこれ拝見させていただいていたわけであります。
先ほどもちらっと触れさせていただきましたが、裁判離婚、裁判に裁判にまで及んで離婚するということですから、要はもう既に婚姻関係が破綻状態にあるということを認定するだけの蓋然性は正直言ってあると思うんです。その状況の中でことさらいわゆる相手の責任を責め合うという行為を行うことが、果たして子の最善の利益、円滑な共同養育計画の策定、いわゆる監護の分掌といったようなものを前向きに積極的に協力して進めていくという上でプラスになるのかどうかということが今実は問われ始めているということなわけであります。
そのことをぜひ大臣にはご認識いただきたいという意味で突然この質問をさせていただいたということであります。ぜひこの点についてはご検討いただきたいと思います。時間の関係がありますので次の質問に移らせていただきたいと思います。
婚外子の親権について、ということですが、認知と同時に婚外子の親権はこの場合母親がお持ちになるということになるわけですが、親の責務としての親権の概念のいわゆる空洞化を招くのではないのか、といった指摘が一部上がってきております。
また婚外子差別に繋がるのではないのか、といったような指摘もあるわけでありますが、婚外子のを認知すると同時に、父母の共同親権としない理由は何なのか。このことについて確認させてください。

竹内民事局長
お答えいたします。本改正案では、父母が婚姻関係にない子について、父の認知前は、法律上の親子関係が母子間のみに存在するため、まずは親権者を母としつつ、認知後に父母の協議または家庭裁判所の審判等によって親権者を父母双方と定めることができることとしております。
父の認知によって当然に父母双方を親権者とすべきではないかとのご指摘については一般認知の場合には父母が親権を共同行使した実績がないことゅ親認知は母の同意を必要とせず、父の意思表示のみによって可能であることなどを踏まえ慎重に検討すべきであると考えております。
そこで、本改正案では、父の認知によって当然に父母双方が親権者となることはしていないものでございます。

川合孝典議員
理由は理解できました。その上でいわゆる婚外子の扱いについて、今後の民法改正によって何らかの差別と指摘されるような状況が生じないような、そういったことについてもご配慮をお願いしたいと思います。
時間の関係がありますので最後の質問に移りたいと思います。子供の最善の利益を守るためにということで私初回か2回目の質疑のときに、いわゆる裁判所の裁定を守らなかった場合に罰則規定を設けるべきではないのか、といったことについて、問題提起をさせていただき、竹内局長の方からは「民法の違反について、「いわゆる刑法を適用するということについては慎重にに検討する必要がある」といったご答弁をいただいたということであります。私も刑事訴訟法の勉強やってまいりましたので、そういう意味では民事局長がおっしゃったことの趣旨は重く受け止めてはいるんですが、その上でなんですけどこの一連の議論を通じて多くの方々から指摘をされたのが裁判所に対するやはり不安の声なんですね。
その上で、その裁判所の裁定が適正なのかということと同時に、適正な裁定がなされるのかということと同時に、決めたことがきちんと守られるのかと、決めたけど払わないと決めたけど会わせないといったようなことは往々にして散見されるわけでありまして、実効性に対してのやっぱり不安の声もやっぱり上がっているわけであります。そうしたことを考えたときに、裁判所が乗り出してきて要は裁定を行うということに対していかにして実効性を担保するのかということを考えたときに子供の最善の権利を守る上で、一体何をすべきなのかということを改めて考えなければいけないということなんだと思います。
その上で気がついたことについてちょっと指摘をさせていただきたいんですが、子供基本法が令和4年に施行されました。これは子の最善の利益ということを前提として様々な取り組みを行うということについて定められた子供の権利を守るための基本、いわゆる理念法ということなわけでありますが、この子供基本法というものと今回の民法改正による子の権利ということの整合性を考えたときに、子供基本法の法務省における位置づけというのが一体どうなっているのか。このことについてまず法務大臣にお伺いをします。

小泉法務大臣
これはこども基本法という大きな理念を掲げた根本的な子供政策の方針を表明した法制がありまして、我々もそういったものにこの考え方に沿って、今回の子供を優先する子供の利益を優先する民法の改正、こういうものを成し遂げていこうと、そういうふうに考えているところであります。理念は同じものを同じ理念のもとで我々は進んでいると、こういうふうに認識をしております。

川合孝典議員
ちょっと理論的な話になりますので、わからなかったらわからないとおっしゃっていただければ結構なんですが、その場合このこども基本法というのは、いわゆる国家と国民との規律付けを行う公法なのか、私人間の関係を規律する私法のか、子供基本法というのは公法なのか私法なのか。
あるいはそれのどちらに近いものなのかということも含めて、これはどう捉えればいいのかということ、これは民事局長にお伺いしたいと思います。

竹内民事局長
お答えいたします。子供基本法の中身自体を法務省が所管しておりませんが、私も詳しくは存じ上げませんが、子供基本法の性格について所管していない保護者からお答えするのはなかなか困難であることはご理解いただきたいと思います。個人的な感覚としてはおそらく私人間の権利関係を定めるというよりも、国あるいは自治体等が子供の権利をいかに守るかということを規定したものではないかと。すいませんこれ若干、推測はありますがそういう法律ではないかと考えます。

川合孝典議員
ありがとうございます。公法か私法か評価ということについて申し上げさせていただいたのは、実はいわゆる地方の出資法違反したことに対して法上の罰則を適用するということについての慎重な見解というのがあったわけでありますが、実は私法であっても刑法上の罰則が付与されている法律って他にあるんですよね。
例えば労働基準法ですとか、独占禁止法といったような法律はいわゆる民事の関係の法令でありますけれども、あとは労働契約に関するような法令でありますが、それに反することに対して過料やいわゆる交付金といったような刑罰が付されている。
ではなぜそうした法令には罰則公法上の罰則が付与できているのかということを考えると、結局調べてみましたところ、この労基法や独占禁止法のような公益上の理由で市民相互の関係を規律付ける法律の分野というものが公法・私法とは別にいわゆる社会法として位置づけられているということであり、この中間的な性格を持つ法律と位置付けることで、いわゆる労働基準法違反に対する罰則規定というものが設けられているというこういう捉え方に実はなっているわけであります。
したがいまして子の権利、子の最善の利益というものを私は正直言って公益上の極めて大切な権利というものに位置づけるべきだと思っておりますので、このこども基本法というものを、社会法と位置づけることで公法と私法との整合性をいかに取るのかという、この前提に立って、いわゆる裁判所の裁定に対してこれが共同養育計画なのか、それから養育費の支払いの問題なのか、または監護の時間や様々な良心での取り組みということに対する取り決めというものを、きちんと守らせるため、そのことの実効性を高めるための何らかの私は罰則というのがいいのかどうかわかりませんが、いわゆる裁判所裁定を侵害するような行為に対して、公法上の制裁規定を適用するということが可能ではないのかということを実は考えたわけであります。
よって大臣にこれ、時間ですからこれで終わりにしたいと思いますが、ぜひ大臣にご検討いただきたいのは、この裁判所の裁定の実効性を高める。それは、裁判所の言うことを聞かせるということが大切なのではなくて、子が貧困に陥っている状況をいかに改善するのか。子の権利を守るために最低の実効性をいかに高めるべきなのかという観点から、今、私がご提案したことについてぜひこれからご検討いただきたいと思うんですけれども、最後大臣のご見解をお伺いをして私の質問を終わります。

小泉法務大臣
非常に本質的な問題を視野にとらえて、そしてそれを包括的に検討される一つの重要な枠組み思考の枠組みについてのご提示だと思います。我々もそれを法的な枠組みとして捉えて、しっかりと研究したいと思います。子の幸せのために研究したいと思います。

川合孝典議員
ぜひよろしくお願いします。終わります。

山添拓議員(日本共産党)
日本共産党の山添拓です。前回に続いて質問をいたします。法案の大きな問題は、離婚後、父母の合意がないのに、裁判所が共同親権を強制しうる点にあり、引き続き懸念の声が広がっています。
そこで大臣にこの法案についての認識をまず問いたいと思います。一昨日の質疑で、濫訴や不当訴訟、リーガルハラスメント、あるいはリーガルアビューズ、法的な虐待とも呼ばれますが、そうした事態が広がる懸念について
「それは婚姻中別居のケースでも同じことが起こっている。それが共同親権になることによって悪くなるか、状況は変わらない」
と答弁されました。しかし決して同じではないと思うんですね。婚姻中、別居のケースで現に深刻なリーガルアビューズがあり、それが婚姻後に離婚後にさらに拡大しうるので、問題だと指摘しています。大臣、状況は、変わらないですか。

小泉法務大臣
様々な濫訴とか様々な介入ですよね。圧力をかける。そういう形で離婚後の共同親権の状態にある家庭の運営について、子供の養育について、妨害が入る。
そういうケースをおっしゃってるわけですよね。
これはまず1点目は、婚姻中の別居夫婦においても変わらないわけでありますが、まず申し上げたいのは、共同親権に入る入口のところで、裁判所によって一つの両者の意思を確認し、意見を聞いて、裁判所が間に入って、本当にこのご夫婦は共同親権をやる意思があるのか。まっすぐに子供の養育のためにやろうと思えるのか。また客観的に見て、それが可能な状況か。共同行使が可能か、そういう状況をつぶさに見るわけですよね。
そこで多くの多くの不適切な対応になってしまう片親は、排除されていくという仕組みが大枠としてあるわけです。自由に共同親権になるわけではない。一定の要件を満たした場合に、裁判所が共同親権ということもありますよねという話をすることになるわけですけども、多くの場合はその手前で本当にその意思があるのか、またはそういう妨害をしたというような過去はないのか、様々なDVの恐れもないのか、様々な検討が行われ、そして多くの場合、排除され少なからず排除されるケースもあるわけであります。
その残された、さらにそそれで共同親権に至った場合にさらになお濫訴のリスクがあるそれは否定はしませんけれども、その手前に大きな関門があるということもですね、前提においてお考えいただければと思うんです。

山添拓議員
今、リスクはあるということをお認めになりましたが、資料をお配りしています。「ちょっと待って共同親権プロジェクト」が今月8日から10日行った調査です。2枚目の下の方から3枚目にかけて、別居離婚経験者の58%が、離婚後アビューズに遭っているという結果でした。
精神的なもの経済的なものを面会交流のこと法的なもの様々あります。離婚後アビューズあった582人のうち、子の面前でも経験したと回答した人が431人7割を超えています。そこにこの法案が新たな問題を追加しかねないということが問われています。
熊上参考人は、「法案が成立すれば共同にするか単独にするかどうか。監護者をどちらにするか。監護の分掌をどうするか。日常行為なのかどうか。急迫かどうか、など常に子供と親が争いに巻き込まれる。それによって親が安心して育てることが難しくなるのではないか」と懸念を述べました。民事局長こうした懸念は看過できないと思いますがいかがですか。

竹内民事局長
お答えいたします。内容的な訴えや申し立てに対する不安の声があることや、これによってDV被害者の方への支援が滞るようなことがあってはならないと考えております。
何が濫訴に当たるかについて一概にお答えすることはなかなか困難ではございますが、現行法におきましても不当な目的でみだりに調停の申し立てがされた場合に、調停手続きをしないことによって事件を終了させる規律など一定の対応策があるものと承知をしております。
また本改正におきましては、父母相互の協力義務を定めておりますところ、不当な目的でされた濫用的な台頭につきましては、個別具体的な事情によっては、子の協力義務に違反するものと評価されることがありうるというところでありまして、このことを適切かつ十分に周知することがそのような訴え等の防止策になると考えております。

山添拓議員
協力義務に反するということをおっしゃいましたが、まさにその協力義務という条項が入ることによって、協力義務に反するという新たな訴えが起こされる。そういう懸念もあると思うんですね。大臣がおっしゃるように、確かに婚姻中別居でも多くの問題がありますだからこそ離婚を選択し、ようやく逃れようとしたにも関わらず離婚後も共同親権となれば、いわば無期限の延長戦を強いられるそうした事態になりかねないわけです。法案819条6項は、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は子またはその親族の請求によって、親権者を変更することができるとしています。今後離婚する父母だけでなく、既に離婚した父母の間でも、親権者の変更により、共同親権となることがありうるという定めです。
最高裁に伺いますが、親権者変更を請求しうる父母というのは今日およそ何組あると推定されるのでしょうか。例えば、裁判上の離婚で、子の親権者の定めがされた件数は年間どのぐらいですか。

馬渡家庭局長
まず親権者変更を請求している父母が何組あると推定されるかにつきましては、推定の基礎となるような数字、統計数値を有していないためお答えすることは困難です。
その上で例として出された裁判所の離婚の関係の数値ですが、いずれも現時点における速報値でございますが、令和5年において、離婚の調停成立または調停にかわる審判の件数は2万3035件でありまして、そのうち親権者の定めをすべき事件の件数は1万6103件でした。
また、令和5年において離婚訴訟で請求認容判決和解成立または請求の認諾により終了した事件の件数は、5637件ありまして、そのうち子の親権者の定めをすべき事件の件数は3242件でございました。

山崎拓議員
親権者の定めをすべき件数が1万6000件余りと3200件余りですから、合計2万件弱となります。
裁判上の離婚は全体の10数%ですので協議離婚でおおむね同程度の割合だとすると、年間約20万組の父母間で離婚に伴い、子の親権者の定めがされているということになります。正確な数字ではありませんけれども、年間そのぐらいのボリュームになる。そうしますと離婚に伴って、父母のいずれかが親権者となっている子がいるケースというのは、これ1年間の数字ですから全体にすると100万単位に上ると考えてよろしいでしょうか?

馬渡家庭局長
繰り返しになりますけども、推定の基礎となるような統計数値をしていないため正確にお答えすることは困難であると考えております。

山添拓議員
民事局はどうですか大体そのぐらいの数になっていくだろうということは推定されますよね。

竹内民事局長
失礼いたしました。最高裁の言われる通りでして、我々の正確な数字は持ち合わせておりません。

山添拓議員
これは容易に推定しうるものだと思うんですが、つまりどのぐらいの方に影響が及ぶ法案なのかということを、推定されていない。その前提もなく、議論がされてきているわけですが、法案が成立すれば多くの父母間で新たに共同親権への変更が請求される可能性が少なくともあります。少なくとも子が成人するまでは、その可能性があります。中には、相当以前に、DVや虐待が原因で離婚した父母間で、加害者側が共同親権を求めるというケースもあるだろうと思います。
法案は、将来のDVや虐待の恐れがある場合には、単独親権としなければならないと定めています。法務省は一昨日の質疑で、過去のDVや虐待についてそのような事実があり、主張ないし立証されれば、今後のそれを推認する事実になる、と民事局から答弁いただきました。調停であれば、主張するだけでもそれが認められる場合もあると、こういう意味でしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。調停か審判かそこが大きく違うかというとそれは各事件の事情によるのではないかと思います。

山添拓議員
主張ないし立証されればというご答弁でしたから、必ずしも立証されなくても、必要によって認められる。そういうケースがありうるということかと伺いました。

竹内民事局長
お答えいたします。手続きの全趣旨あるいは審判の全趣旨によってその主張だけからそれが認められるというケースもないではないと思います。

山添拓議員
ないではないということでしたが、相手が否定すれば難しいだろうと思うんですね。離婚協議離婚によって調停や裁判のような記録が残っていない。手元にメモや録音もないやそもそも、そうした苦しい過去からなるべく遠ざかりたいと思って、記録は捨て去っているという方もいらっしゃると思うんです。
最高裁にも伺いたいと思うんですが過去のDVや虐待の証拠となるのは被害者である本人の言葉だけ。そして相手は否定する。したがって被害の事実は認定できないということで、共同親権を認めていくというケースはありうるんではありませんか。

馬渡家庭局長
まず前提として改正法が施行された後の運用について具体的に申し上げることは困難ですし、個々の事件におけるDV等の認定については、個別具体の事情を踏まえて個々の裁判体に判断されるものであって、事務当局としてお答えするのは困難ですけども、その上で一般論として申し上げればDVや虐待の有無による相違がある場合には、その事案に応じた様々な証拠と様々な兆候等からなされると承知しておりまして、例えばそれのみで容易にDVや虐待の事実が認定できるような確たる証拠がない場合でございましても、供述紹介する補強する将校含め、証拠および認定される事実関係を総合して検討判断されているものと承知しております。

山添拓議員
総合してとおっしゃるんですけれども、そのような証拠そのものが残っていなくて、被害を訴える側の供述のみだと。そしてそれを相手は否定をしてくる。そのときに果たして裁判所は、いやこの事件では、このケースでは、DVや虐待の恐れありとまで果たして判断してくれるのか。そうとは限らないと思うんですよ。だから合意もないのに父母に共同親権を強要しうる仕組みはやめるべきだと私は考えます。
山崎参考人が意見陳述の最後に、被害当事者からのメールを読み上げました。
「既に離婚している父母も申請すれば共同親権にできるとの一文を見ました。きっと私の元夫は申請してくるでしょう。政治家はようやく立ち直りかけた私達にまた戦えというのですね。平穏に入れたと思ってたたくさんの被害者たちをまた崖から突き落とすのですね。私のように身体的暴力の証拠が残ってなく、既に何年も経過しているものは、どうすれば被害者だと認めてくれるんですかね。非常に落胆しています」
同じような思いでいる被害者は、決して少なくないと思うんです。大臣はこの声にどうお答えになりますか。

小泉法務大臣
その被害被害に遭われた方が真剣に身に起こったことを過去のことをお話をされれば、これは裁判所に通じると思うんですよね。そんなん嘘をつく必要はないわけでありまして、DVに遭ったということを主張することが何か利得に結びつくわけ全くないわけですから、真実をそのまま語れば、裁判所にはそれを受け止める。私はそう思います。また、そうでなければいけない。そのように思います。

山添拓議員
それはこの当事者からの声に全然向き合っておられないと思いますよ。だって裁判では、当事者双方いるわけですから片方の声だけに耳を傾け全てを決めるということにはならないと思うんですね。それを否定する加害者側が、DVや虐待の場合の加害者の側の声についても聞くことになりますよね。
そうした結果としては、DVや虐待の記録は残っていませんね。今は反省している。もうやってませんね。共同親権で今後もDVや虐待の恐れはないでしょう。そういう結論になりかねない。いや、既に現在の家裁実務の中でも、不安を感じ、被害にを恐れている多くの方がいるわけです。
親権者変更の請求がいわば遡及的に、離婚後共同親権をもたらしうることの懸念は大きいです。当事者間では決着済みの問題が蒸し返されてしまうからです。大臣は、被害者の思い、不安傷をよく理解しているとおっしゃいます。
そういう姿勢でおられるのだと思いますがしかし、法案には、その理解は感じることができません。協力関係がなく話し合いができないような父母が共同親権となることで、子の利益に反する事態が起こらないと、言えるのか。
とりわけ深刻なのは医療行為との関係だと思います。当委員会で仁比議員も質問してきましたが、厚労省に改めて聞きます。医療行為における親権者の同意というのはいかなる位置づけのものですか。

厚生労働省大臣官房宮本審議官
お答えいたします。医療行為における親権者の同意でございますけれども、個々の医療行為の同意については、医療法は医療を受ける本人以外の第三者の決定同意についてはルールを設けておりませんけれども、判断能力が乏しい未成年者については、親権者が意思決定するなど民法の一般的な考え方に基づいて、患者の個別の病状や判断能力に応じて医療現場で適切な医療が提供されているものと承知しております。

山添拓議員
適切な医療が適切な説明が前提ですから、その意味で、親権者が同意を与えることによって、医療行為が行えるようになる。そういう現場の実態だということですね。

宮本審議官
はいおっしゃる通りでございます。

山添拓議員
そうあるべきだと思いますしかしそのもとで、どんな事態が現に起きているか。
大津地裁で2022年11月16日娘の手術に当たって父親に説明や同意を求めなかったのは違法だとして、病院に対して慰謝料の支払いを命じる判決がありました。当時3歳だった娘が、肺の動脈弁をバルーンで拡張する手術を受けました。
このバルーン手術は3歳程度までが適用で、その年齢に達しつつありました。当時、父母は、婚姻中別居の状態で、父親は家庭裁判所から面会を禁止されていました。判決は、親権は共同で行使するのが原則であり、子の治療の同意も両親で行うべきだと。例外的に一方の親権者の同意でも良しと言えるのは、親権者の意向に対立があって説明したとしても、同意されないことが明白な状況があること、また治療の緊急性があり、説明や同意など手続きを踏んでいては機会を逸し、未成年者の福祉を害することが明らかなそうした場合だと言って、この本件の場合には、父親は同意しないとは明言してないんだ、とあるいは治療の機会を逸するほど、緊急ではなかった。など評価しています。これは婚姻中別居の共同親権での裁判例です。離婚後共同親権でも、起こりうる問題です。大臣はこの裁判、どうお感じでしょうか?

小泉法務大臣
ちょっと今初めて伺ったのでその詳細は存じ上げておりませんが、離婚後、今は婚姻中のご夫婦の話ですけど、離婚後共同親権を持ち共同親権を共同行使するというところに至った実質的な話し合いのもとでそういう結論に至ったその両親というのはやはりその裁判所が認定することですけれども、子供の利益を優先的に考えてくれるご両親です。ということは確認されて初めて共同親権が付与されるわけですよ。
ですからそこにいたって急に態度が変わって裏切り行為をするか、その可能性はゼロではもちろんないですけれども、多くの場合ほとんどの場合、裁判所のの話し合いの中でその本当の姿勢、子育てに対する共同養育に対する共同親権に対する本当のその人の真摯な姿というものは裁判所も見極めてですね、判断するはずでありますし、そうあるべきだと思うんですね。

山添拓議員
判決については通告をしておりますが、大臣の方で必ずしも把握されていないということであれば、これは病院が相手になった裁判です。厚労省は把握しておられますか。

宮本審議官
お答えいたします。ご指摘の裁判例は、子の治療に当たる担当医が別居の親権者に対し、子の今後の治療について、父母双方から同意を取る予定であると説明していたにもかかわらず、その一方のみの同意を得て手術を行った事案であると承知しております。
この裁判例は、父母双方から同意を取る予定であると説明をしていたということや、手術の緊急性があるとは、あるとまでは言えなかったという具体的な事情を踏まえて、医療機関の責任を認めたものであって、一般化できるものではないというふうに認識しております。

山添拓議員
一般化できるものではないとおっしゃいますけれども、現にこのような判決が出ているわけです。病院のが困ると思うんですよ。当事者から母親からこの父親は面会禁止になっていると裁判所がそう決めているという書面も持ってきてたんですね。
ですから今、同居している母親の側の同意によって手術を科して構わないだろうと、病院はそう判断したわけです。問題は医療機関が萎縮しないかということにあると思います。資料の2をご覧ください。昨年9月、日本産科婦人科学会、日本小児科学会など4学会が連名で、大臣への要望を発表しています。
共同親権を導入する趣旨や理念については理解するとしつつ、父母の離婚後も両方の親権者の同意を必要とすることになれば、生命身体の保護に必要な医療を実施することが不可能あるいは遅延することを懸念するとしています。
資料の3をご覧ください。全日本民医連の今年3月の声明です。不仲で同席できない両親に説明し、同意を得ることは臨床現場に二重の負担をかけることになり、適時適切な医療の実現の妨げになるし、両親の意見が食い違った場合の扱いも困難な立場に医療機関が置かれる。訴訟リスクが格段に上がり、訴訟を避けるために医療行為を控えざるを得なくなり、子供が適切なタイミングで治療を受ける機会を逃すことが増加することを憂慮するとするものです。
厚労省に伺いますが、医療機関に負担を負わせ、子の治療を受ける機会を損なう事態があっては、ならないと考えますがいかがですか。

宮本審議官
先生ご指摘の通りに、こういう共同親権によって医療現場に負担を負わせることになってはいけないというふうに考えております。医療現場で引き続き適切な医療が提供されるよう、この改正法案が成立した場合には、ご指摘のような懸念が生じないように制度の周知をきちっと図っていくことが非常に重要であるというふうに認識しております。
厚生労働省においては、医療機関の状況をよく注意し、法務省とよく相談しながら、共同親権の場合の共同同意のあり方等について、ガイドラインの必要性などについても検討してまいりたいというふうに考えております。

山添拓議員
周知を図っても現場では実際に困る事態が起こりうると思うんですね。この大津の裁判の事件も、手術については、父親の方が自らの同意も必要だと後から裁判を起こしてきたわけですが一方で、カルテの開示請求については、同居していない1人の親権者である父親の1人の請求によっても開示できるはずだと、こういって求めてきた。
ですから医療機関としては、親権者がどちらも親権者だと言って、治療の同意をしてきたり、あるいは開示請求をしてきたり、そのときに一緒にやることもあればひとりひとりでやることもある。そういう事態に置かれて対応によっては後から訴訟リスクを負うことになると困る事態は起こりうると思いますよ現に起こってるわけですよ。大臣、この現場の声をどう受け止められますか。

小泉法務大臣
これ様々な本当に様々なケースが現場では起こりうると。それはその通りです。
我々ができる最大の最大限努力したいと思っているのは、やはりガイドラインを作ることです。医療関係者との意思疎通も踏まえた上できちっとしたガイドラインを作り、それを医療機関にも理解をしてもらう。そういう方向で最大限の努力をしていきたいと思います。

山添拓議員
私はガイドラインでは、医療機関が安心して対応するということはなかなか難しいと思うんですよ。ガイドラインはないよりは参考になるかもしれません。
しかし、それが裁判官を拘束するわけではありません。訴訟リスクを負うのはそれぞれの機関ですから医療機関などですね。法案の824条の2、1項は、急迫の事情があるとき2項は日常の行為に係る親権の行使について、父母それぞれ単独で親権を行使できると定めています。
木村参考人からは、この条文のもとでは学校のプールや修学旅行、ワクチン接種や手術の予約などの決定をいつでももう一方の父母がキャンセルでき、いつまでも最終決定できない状態が生まれるという指摘がありました。いわば、その無限ループですね。民事局はこれはどう考えですか。

竹内民事局長
お答えいたします。お尋ねのようなケースは婚姻中の父母について、現行法のもとでも生じうるところでありますが、各父母による親権行使の当否は、個別の事案における具体的な事情に即して判断すべきものであると考えます。
その上で一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が親権行使をした後に他の一方が事後的にこれと矛盾する行為をすることにつきましては、本改正案において新設している父母相互の協力義務の規定の趣旨や親権は子の利益のために行使しなければならないこと、父母が子の人格を尊重しなければならないことなどを踏まえて判断されるべきであると考えております。

山添拓議員
こうした事態が婚姻中も起こりうるという説明は、もう止められるべきだと思いますよ。婚姻中に確かに起こっているその問題をどう解決するかが、政治の側にも司法の側にも問われると思うんですが、婚姻中にも起こっている。だから今度共同親権で、離婚後にも新たな問題が生じても、それは同じことですと、そういう説明はもうされないべきだと思うんですけれども民事局長その認識はこの法案を提出しておきながら提出して、その意図がですね、その趣旨がいや婚姻中でも起こってるんだから今後も同じように起きてもしょうがないよと。それは今多くの不安の声を上げている人たちに対して、まさに崖から突き落とすような、そういう言葉だと思います。大臣も局長もいかがですか。

小泉法務大臣
現在婚姻中の状況においても生じているということはそれは事実なんですが、それじゃ済まないうその通りでありまして、この法案をお作り成立させていただくことを一つの大きな契機として、この問題に我々は深く入って解決策を見出すべく努力をしていき、引き続き努力をしていきたいと思います。

山添拓議員
いや先ほどもね、リスクがあるっていうことを認めになったわけですが、共同親権を導入しこの法案の定めるような仕組みを導入することによって、新たな懸念が生まれるではないか。とそういう懸念に批判の声にどう答えるかということが問われていると思うんですよ。
浜田参考人は、日常の養育に関する決定については、監護親が行い、被監護親は監護親の権限行使を不当に妨げてはならないものとすべきだとこういう認識を示されました。親権者の権限行使の無限ループ、どちらかが認めどちらかが取り消し、その無限ループを避けようと思えば、合理的な考え方だと思います。民事局長いかがですか。

竹内民事局長
お答えいたします。先ほど本改正の趣旨についてご説明を申し上げたところでございまして、父母の一方が親権行使をした後に、他の一方が事後的にこれと矛盾する行為をすることにつきまして本改正の中で対応策をとっているところでございます。
例えば父母の一方がある事項に関する親権を行使した後に、他の一方がこれと矛盾するような新たな親権行使をすることの可否につきましては、それによる子が被る不利益の内容および程度や当該親権行使の目的などの諸般の事情に照らして当該他の一方による親権行使が権利の濫用として許されない場合がありうると考えております。
法務省といたしましてはこうした点を含めまして本改正案の趣旨や内容について国会における法案審議の中で明らかになった解釈を含めて関係府省庁等連絡会議を立ち上げることを予定しておりますのでその中でしっかり議論してまいりたいと考えております。

山添拓議員
権利の濫用と判断されることがありうると答弁がありました。確かにその通りだろうと思います。しかしそれは、いつ判断されますか。裁判に訴えて、権利の濫用だといって不法行為だと言って、1審2審。いつ権利の内容を、だから同居人の判断が正しいんだとそれを妨害することは許されないんだと、いつ判断してくれますか。

竹内民事局長
双方の親権行使の内容が矛盾するような場合に親権者変更等の申し立てができると思いますが、その際の審判の中身として、権利濫用が判断されることになるんではないかと考えます。

山添拓議員
結局ですね、それはいつになるかわからないですよ。数年かかるかもしれない。そのときに、この学校病院や、いろんな生活に関わる問題についての最終決定が遅れた。その遅れは取り戻すことになりかねません。私、法務省がどれだけガイドラインなどで意義や類型を示しても繰り返しますが裁判所を拘束するわけではないという懸念は消えないと思うんです。そしてリーガルハラスメントリーガアビューズの懸念が現に具体的なものである以上は、病院や学校などから訴訟リスクを恐れて、子供についての最終決定が定まらない。
そういう事態はなかなか避けがたいものだと思います。この法案について今日もう時間がなくなってしまいますけれども、親の資力などが要件となっている支援策、同意等が要件となっている手続きのリスト、今朝の理事会で改めて出されました。

一昨日16項目だったのが、今朝までに32項目に倍増しました。それでも全てをというわけではないと今後各省庁と調整していくというご説明を受けています。やはりですね子の実際の利益についての影響についてのその事前の把握、調査、調整、それも十分でないまま審議を進めてきた。これも重大な問題だと思います。採決は前提を欠くということを指摘し、質問を終わります。

鈴木宗男議員
最初に院長に確認ですけれども、そもそも論として今この審議している法案は、衆議院の法務委員会で、共産党以外が賛成した法案で参議院に送付されて議論しているという理解でよろしいですね。

佐々木さやか議長
大変恐縮ですが、院長としてお答えをする事項ではございませんのでよろしければ質疑の中でお問い合わせいただければと思います。

鈴木宗男議員
いやいや院長、この法案共同親権に対していろいろな意見が出ました。だから結果として衆議院から送られてきたときの経緯をお尋ねして、その上で今審議しているわけですから、委員長としてはですね。今の私の質問に対しては、「その通りです」でいいんですよ。私は間違ったこと言ってるわけじゃないんですから、あの、衆議院で採決されて送られてきたわけですから、その採決は、共産党以外各政党賛成して送られてきてるということを私は確認しただけなんです。だから院長何も質疑じゃなくて、院長が「たださようでございますその通りです」でいいんです。事務局もそう思っておりますから。時間の無駄ですからですね、いいけども、私は賛成してきた。案件であっても、様々な意見があるもんだなと改めて民主主義は難しいもんだと思いながらですね。
大臣ですね、共同親権にも反対する意見がよく出てまいりました。DVや虐待などの不正があるとの意見が多いし、懸念心配あってはそれはもう当然だと思います。ただ今回のこの法案は、単独親権が共同親権が選択できる。
共同親権が、父母間で協議が折り合わなければ、家庭裁判所での審判となる。DVや虐待があった場合、共同親権は認められない。というのは、この法案だと私は思うんですけども、よろしいですか。

小泉法務大臣
ポイントはそういうところで、ございます。あと法定養育費、先取特権、子供の養育に関してケアしよう、親子交流、これを促進しようと、あと二つ柱ございますけども、大筋は今おっしゃった通りでございます。

鈴木宗男議員
今、大臣がわかりやすく、説明をいただきました。家庭裁判所から、親子交流すべきと判決が出ているにもかかわらず、相手の拒否があれば、会えないケースがあることについてただしたところですね。民事局長からは、「家庭裁判所が、親子交流についての定めをしたものの、父母の一方がこれを履行しないという場合には、個別具体的な事情によりましては、父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反すると評価される場合があると考えております」
と答弁されましたね。そこで、この本法改正案で新設される人格尊重義務だとか協力義務違反になった場合、親の責務と、親権者としての適格性はどう判断されるんでしょうか?

竹内民事局長
お答えいたします。個別具体的な事情をにもよるかと思いますが、今回法改正案の中に含めました人父母間の人格尊重義務、あるいは協力義務に違反した場合に、は個別具体的な事情によりましては、親権者の指定の審判は親権者変更の審判等において考慮されうると考えております。

鈴木宗男議員
刑事局長の答弁、当然の答弁ではありますけどですねこれ、法案が、間違えています。これから採決されて、実施に当たるわけでありますから、しっかりとですね、この親子のあるべき、姿含めて、特に子供の利益ということを考えてですね、私はことにあたっていただきたいなと、子供優先でですね、判断をいただきたいと思います。
この点について説明、小泉法務大臣からですね、認識、あるいは決意。何よりもその子供の利益についてこうだというですね、方向を教えていただきたいと思います。

小泉法務大臣
同じような説明になってしまって恐縮でありますけど、家族というのが、夫婦関係と親子関係と、この縦と横糸で紡がれています。
その横糸がうまく繋がらなくなったときにその縦糸の親子関係をどういうふうに考えて子供を養育していくのかというところが一番の問題意識の中心でありまして、そこは子供の利益というものを中心に据えて、そのために両親にはいろいろまた考えてもらいたい。そういった形で選択的な共同親権というものを入れたわけでございます。
ですから、常にこの夫婦関係にどうしてもエネルギーと意識と力と時間が注がれますけども、やっぱり気が付けばやっぱり子供じゃないか。大切なのは別れても子供じゃないか。とそういう基本原理、人間としての家族としての基本原理のようなものをやはり常に忘れずに、法の執行に当たっていく必要がありますしこれまで考えると、DV、虐待これは絶対許してはいけないわけであります。何があっても、子供と家族を守ることも非常に重要なテーマだというふうに思います。はい。

鈴木宗男議員
今の小泉大臣の答弁でいいんですけども、ぜひとも大臣ですね。私なんかも、たまたま縁あって一緒になってですね、しかし残念ながら、別れてしまったという家庭なり、家族に何回もですね、何もあってきました。
その中で、子供がポツリ言うんですね。お母さんについていったけども、やっぱりお父さんに会いたいっちゅう。ことを言うんですね。逆のケースもありますね。私はそれが自然だし、当然だし、その思いをしっかり尊重してやることが、私はこの改正案の意味だと、こう思っておりますので、しっかりですね、この辺、法務省としても、情宣活動等ですね、広くやっていただきたいなとお願いをするところで、あります。
小泉大臣ですね。今日のこの午前の委員会でも、森まさこ元法務大臣から、取り調べの可視化についての非常にですね、この真に迫るお話ありました。現職大臣が辞表を持って、辞職決議で、ときの総理に向き合うというのは大変なことですよ。(以下略)。
先ほど言ってる通りですね。仕組みがあるわけですから、それを早く議論してまとめるのは大事な役割ですから小泉大臣のときに私はそれなりのですね、けじめをつけていただきたい、このことをお願いしてまた次の委員会でも、続けてやってまいります。

佐々木さやか議長
他にご発言もないようですから質疑は終局したものと認めます。これより討論に入ります。ご意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

山添拓議員
日本共産党を代表し、民法等一部改定案に反対の討論を行います。
本法案の最大の問題は、離婚する父母が合意をしていなくても、裁判所が離婚後共同親権を定める点にあります。夫婦関係が破綻しても、父母間に子の養育だけは協力協働して責任を果たそうとする関係性のもと、親権の共同行使が真摯に合意され、それが子の利益にかなうケースはあるでしょう。
しかし、父母間に真摯な合意がないのに、親権の共同行使を求めれば、別居親による干渉や支配を復活継続する手段となり、結果、子の権利は福祉が損なわれてしまう危険が否定できません。法務大臣は、合意を促していくための仕組みとし、どうしても合意ができない場合には単独でいくと答弁しました。それは条文上明記すべきです。
また単独での親権行使ができる自由が不明確な点も問題です。子の利益のため急迫の事情があるときや、監護および教育に関する日常の行為という文言が実際にはどこまで単独で決定できるのか不明確であり、後に親権行使の適法性が争われるなどの心配から、適時適切な意思決定ができず、かえって子の利益を害する恐れがあります。
婚姻中DVや虐待があったことを理由に子を連れて別居するケースが子の利益のため急迫の事情があるときに該当するのかどうか。DV虐待等被害者支援の観点から非常に重要ですが、明瞭とは言えません。
少なくとも離婚後に父母双方を親権者とする場合、監護者に父母の一方を定めることを義務付けることで、こうした懸念を低減すべきです。
以上述べた点に加えて衆議院で我が党は3点の修正を求めました。
まず親権の見直し規定の追加に関する検討の追加です。親権は子供が安心安全に暮らすための親の責務であり、社会による子供の権利と福祉の保障であるべきです。子供を主体とした親権の再定義が必要です。
次に親権者の決定時や監護面会交流など、あらゆる場面で子供の意思または心情が尊重されることを明記すべきという点です。さらに裁判官調査官の大幅増員など、家庭裁判所の体制強化とDV虐待のケースで、児童精神科医など専門家による子供の意思の確認を義務付ける仕組みを明記することなどを求めました。
親の資力などが要件となっている支援策や親の同意などが要件となっている手続きは、法務省が今日までに把握しただけで32項目に上ります。本来法案審議前に確認しておくべきものです。審議すればするほど、批判が広がる本法案は、採決の前提を欠くというべきです。
DVや虐待を巡る数々の懸念について訴えれば裁判所に通じると思う、と大臣は答えました。しかしその根拠が伺えません。自らと子供の生活と命がかかっている。だから目諦めるわけにはいかないという当事者の訴えがあります。
そうした声を置き去りに親子関係と家族のあり方に関する戦後民法の根本に関わる改定を国民的合意なく押し切ることには断固反対であることを表明して、討論とします。

牧山ひろえ議員(立憲民主党)
立憲民主社民の牧山ひろえです。私は、会派を代表して、ただいま議題となりました民法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。立憲民主党は修正案について原案のまま運用させることによって生じる被害を少しでも減らせることができるとし、衆議院法務委員会の採決では、修正案には賛成、修正部分を除く政府原案に反対しました。
衆院本会議では、修正案が盛り込まれた民法改正案に賛成し、参院に送付されました。同一の法案には政党会派として同じ対応をするのが責任政党としては当然の考えなので我が党の立場としては参議院でも賛成せざるを得ないという結論になりました。
ただし、質疑でもおわかりの通り、私達はこの政府案に諸手を挙げて賛成しているわけでは全くありません。元々の私達の修正内容が含まれない政府原案に対する評価は、衆議院の委員会採決で原案に反対したことに示されるように、極めて悪いものになっております。
また、筋論としては賛成せざるを得ないとしても、国会議員、そして国政政党として法案を少しでも良いものにする努力をするのは当然ですし義務でもあります。そのような思考で私達は修正協議開始の打診を始め、粘り強く続けました。
ですが、与党の反応は極めてつらく、既に衆議院で修正協議済みということを理由に全く応じることはありませんでした。この与党の頑なな態度に、当方は方針を返還し、付帯決議を充実することに切り替えたというのが、参議院における修正協議の際の経緯でございます。
私達は今後は極めて高く、そして厳しい問題意識を持ってこのテーマに取り組み続け、子供たちの笑顔を守るために力を尽くしてまいります。

佐々木さやか議長
他にご意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。これより採決に入ります。民法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。この際、牧山さんから発言を求められておりますので、これを許します。

牧山ひろえ議員
私はただいま可決されました、民法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主社民公明党、日本維新の会、教育無償化を実現する会および国民民主党新緑風会の各派並びに各派に属しない議員鈴木宗男くんの共同提案による付帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
「民法等の一部を改正する法律案に対する付帯決議案」
政府および最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
1施行後の本邦の運用状況について公表するとともに、諸外国における子の養育に関する法制の動向等も踏まえ、本邦による改正後の家族法制による子の利益の確保の状況、親権者の指定等における父母の真意の反映の程度、DVや児童虐等を防止して親子の安全安心を確保するものとなっているか等について不断に検証し、必要に応じて、法改正を含む更なる制度の見直しについて検討を行うこと
2法務省および最高裁判所は、法改正に係る国会審議において、特に1合意がない場合に父母双方を親権者とすることへの懸念、2親権者変更、3子の所指定、4過去のDV虐待の取り扱いについての対応、5DV虐待の恐れに関する質疑があったことを含めて立法者の意思に係るものとして、父母の協議や裁判所における判断に当たって、十分理解されるようその内容の周知に最大限努力を尽くすものとすること
3個の権利利益を保護するための父母の責務の明確化等の本邦の趣旨および国会審議のも含めたその内容について、国民、関係府省庁はもとより、児童扶養手当等の事務を行う地方公共団体および共同親権等の導入により大きく影響を受ける学校および病院を初めとした関係機関等に正確に伝わるよう周知広報の徹底に努めること、
特に親権の単独行使の対象となる民法第824条の2各項の急迫の事情、監護および教育に関する日常の行為、特定の事項および第766条第1項の子の監護の分掌等の概念についてはその意義および具体的な類型等をガイドライン等により明らかにすること、ガイドラインの策定等にあたり、DV虐待などのにかかる知見等を踏まえることやDV被害者等の意見を参考にすること
4改正内容の周知に当たっては、親権の行使を受ける側、特に医療や教育など、それぞれの場において適切な処理がなされるよう、分野ごとに個別に必要な取り組みを行うこと。また当局からの情報提供に当たっては、Q&A方式等、受け手にわかりやすく伝わりやすい工夫を心がけるとともに、国民の疑問等に応えられるよう留意すること
5子の利益の確保の観点から、本邦による改正後の家族法制による子の養育に関する事項の決定の場面において、子自身の意見が適切に反映されるよう専門家による聞き取り等の必要な体制の整備、弁護士による子の手続き代理人を積極的に活用するための環境整備の他、子が自ら相談したりサポートが受けられる相談支援のあり方について、関係府省庁を構成員とする検討会において検討を行うこと
6父母の別居や離婚に伴う子の養育を巡る事件に審理の心理に関し、特に子の権利利益を保護する観点に留意し、子の安全や安心、適時な親権行使の確保への配慮の他、当事者、特に子の意見を適切に聴取し、これを尊重することを含め、適切な審理運営がされるよう、必要な研修その他の取り組みを行うこと
7離婚後の養育費の受給や親子交流などが適切に実施されるよう、我が国における養育費、親子交流等に関する実情調査の他、諸外国における運用状況に関する調査研究等も踏まえ、養育費婚姻費用について裁判実務で用いられている標準算定表を参照して取り決められる額が適正なものとなるための配慮等を含め、国自らによると取り組みのあり方に加え、民間の支援団体や地方公共団体の取り組み等への支援のあり方について検討を行うことまた、公的機関による養育費の立替払い制度など、養育費の履行確保の更なる強化について検討を深めること
8父母による子の養育が互いの人格の尊重および協力関係のもとで適切に進められるよう、父母の一方および子に相当な負担や心理的負荷を生じさせないことを確保しつつ、離婚前後の子の養育に関する講座の受講や共同養育計画の作成を促進するための事業に関し対する支援、ADRの利便性の向上など、関係府省庁および地方公共団体等と連携して必要な施策の検討を図ること
9改正法により、家庭裁判所の業務負担の増大およびDV虐待のある事案への対応を含む多様な問題に対する判断が求められることに伴い、1家事事件を担当する裁判官家事調停官、家庭裁判所調査官等の裁判所職員の増員、2被害者被害当事者および支援者の協力を得ることどによりDV虐待加害者および被害者の心理の理解を初めとする適切な知見の習得等の専門性の向上、3調停室や児童室等の増設といった物的環境の充実、オンラインによる申し立てやウェブ会議の利用の拡大等による裁判手続きの利便性の向上、子が安心して意見陳述を行うことができる環境の整備など必要な人的物的な体制の整備に努めること、
10司法手続きにおける利用者負担の軽減を図るため、法テラスによる民事法律扶助DV等被害者法律相談援助や地方公共団体における支援事業など関係機関との連携を一層強化し、必要な政策の充実に努めること。
11DVおよび児童虐待が身体的な暴力に限られないことに留意し、DVや児童虐待の防止に向けてリスクアセスメントも活用しつつ、被害者支援の一環としての加害者プログラムの実施の推進を図ることを含め、当委員会での確認事項を反映させた上で、関係機関と連携して、被害者の保護、支援策を適切に措置すること、また、居住地や勤務先、通学先等が加害者に明らかになること等によるDV被害者や虐待の継続、SNSなどインターネット上の誹謗中傷や濫訴等の新たな被害の発生を回避するための措置を検討すること、
12親権者の指定や親子交流等が子の利益のため適切に行われるようにするため、DVおよび児童虐待の被害、またはそれらのおそれの有無についての認定が適切に行われるよう、必要な研修その他の取り組みを行うこと、また、父母が互いの親子交流を尊重し、これを妨げる行為を防止する措置等について検討すること
13本邦により、離婚時の財産分与に係る請求期限が2年から5年となることを踏まえ、2年となっている離婚時の年金分割に係る請求期限の延長について早急に検討を行うこと
14本邦のもとで、新たな家族法制が円滑に施行され、子の利益を確保するための措置が適切に講じられるよう、関係府省庁等が連携して必要な政策を実施するための関係府省庁の連絡会議を設置するなどの体制整備を進めること。また、本邦の施行に伴い、税制、社会保障制度、特に児童の健全育成、子育てを支援する児童福祉を初めとする社会福祉制度等への影響がある場合には、子に不利益が生じることがないよう、関係府省庁が連携して必要な対応を行うこと。
15改正法が国民生活へ多大な影響を与えることに鑑み、本邦の施行に先立って、子の利益の確保を図るために必要な運用開始に向けた適切な準備を丁寧に進めること。右決議する。以上でございます。何とぞ委員各位のご賛同をお願い申し上げます。

佐々木さやか議長
ただいま牧山さんから提出されました付帯決議案を議題とし、採決を行います。本付帯決議案に賛成の方の挙手を願います。多数と認めます。よって牧山さん提出の付帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。ただいまの決議に対し、小泉法務大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。

小泉法務大臣
ただいま可決されました。民法等の一部を改正する法律案に対する付帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。また、最高裁判所に係る付帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。

佐々木さやか議長
なお、審査報告書の作成につきましては、これを院長にご一任願いたいと存じますが、ご異議ございませんか?なしご異議なしと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。

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