2024年5月7日午後 参議院法務委員会 参考人質疑(民法改正案)
佐々木さやか議長
ただいまから法務委員会を再開いたします。委員の異動についてご報告いたします。本日、として田中昌史さんおよび大椿裕子さんが委員を辞任され、その補欠として山崎正昭さんおよび福島瑞穂さんが選任されました。休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の皆様からご意見を伺います。
午後にご出席いただいております参考人は、白鴎大学教授、水野紀子さん、浜田・木村法律事務所弁護士浜田真樹さん、中央大学法学部兼任講師・共同養育支援法全国連絡会母の会アドバイザー兼共同責任者鈴木明子さん、および和光大学現代人間学部心理教育学科教授熊上崇さんでございます。
この際、参考人の皆様にご挨拶を申し上げます。本日はご多忙のところご出席いただきまして誠にありがとうございます。皆様から忌憚のないご意見を賜りまして今後の審査の参考にいたしたいと存じますのでどうぞよろしくお願いいたします。
次に議事の進め方について申し上げます。まず水野参考人、浜田参考人、鈴木参考人、熊上参考人の順にお1人15分以内でご意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。またご発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、ご承知おきください。なおご発言は着席のままで結構でございます。
それではまず、水野参考人からお願いいたします。
水野参考人
大学で民法を担当しております水野紀子と申します。本日はこのような機会をお与えくださいまして本当にありがとうございました。今日、法制審議会家族法制部会の審議に参加した1研究者としての立場から、今回の法案についての個人的な意見を申し上げさせていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。家族法制部会では令和3年2月の法務大臣からの説明を受けてから約3年間をかけて子の利益を確保する観点から、離婚およびこれに関連する制度に関する規定などの見直しについて調査・審議を行ってまいりました。
私は30年ほど前の民法部会身分保障委員会の頃から法制審議会の家族法改正を家族改正を審議する部会に多く参加してまいりましたが、激しい熱のこもったかつ慎重な調査審議が行われた点では、この部会が筆頭であったように思います。
この部会では家族法領域の最大の難問といわれる離婚時の子の奪い合いという問題を審議対象に含んでおりましたから、子の立場、同居し別居しそれぞれの立場で痛切な経験と意見をお持ちの方も多く、これまでにない多量の8000件を超えるパブリックコメントが寄せられました。
参考人のヒアリングもそれぞれの当事者の立場だけではなく、DVや児童虐待の支援者や専門家など非常に多くのヒアリングを実施してお話を伺いました。パブリックコメントに寄せられたご意見も、事務当局がまとめて資料とした他、各会議の際には意見の元本が会議室に備え置かれて、委員たちが閲覧しており参加した委員は、とりわけ離婚後の巡る紛争について国民から寄せられた意見の痛切さを踏まえて議論をしてまいりました。そして、これらのご意見はそれぞれに真摯で痛切なものではありましたが、同時に多様にわかれておりました。
暴力のある生活からようやく逃げて離婚できて貧しいながらも平和な母子家庭を営んでいるのに、共同親権を申し立てられたらとても立ち向かえないという恐怖を抱えられるご意見がありましたし、逆に夫と姑に子供を奪われて家を追い出されてしまい、子供の環境が不安でつらい焦燥感に駆られているというご意見もありました。
今、挙げましたお母さんの例のみならず、最近は共働きで夫も育児に実質的に参加していたのに、委員に反して子供との接触を断たれる辛さを言われるお父さんの例もありました。また一方では、「夫婦としては失敗したけれども、両親としては協力してやっていきたいと2人とも思うけれども、単独親権では、親権者の心変わりを恐れて離婚の話し合いが進まない。ぜひ共同親権の道を開いてほしい」というご意見もありました。
この問題は、子供の福祉の根幹に関わるもので、かつ、どの国でも非常に難しい問題となっています。しかし日本ではことのほか難しさが深刻です。つまりDV対策や児童虐待対策が非常に遅れているからです。婚姻中の共同親権の段階から社会によって救出されるべき子供たちが暴力のある家庭の中で生きています。
資本主義の進展によって家庭が孤立するようになった時代以降、西洋諸、外国では積極的なアウトリーチを含めて、家族への社会福祉的介入を強めてまいりました。急速に近代化した日本はこのような介入を構築することなく、家族法においても、家族の自治を最大限に認めてきました。つまり、当事者たちが自分たちだけで決定し、自分だけで相手と戦うしかない家族でした。
そこには救われるべき当事者や子が守られる保証はありません。本改正案は、法制審議会の答申を踏まえたものであると認識しておりますが、答申には付帯決議がついております。この付帯決議は、改正法の内容の適切な周知を求めること、各種支援についての充実した取り組みを求めること、家庭裁判所における適切な審理を期待すること、改正法の施行状況や各種支援などに関する情報発信を求めること、これらの事項の実現のため、関係府省庁などが子の利益の確保を目指して協力することなどが盛り込まれています。
民法などの改正が実現した際には、こうした付帯決議の趣旨に沿って、政府および裁判所において適切な環境整備に向けた取り組みが行われることを期待しております。さて本改正案の改正項目としては、親子関係に関する基本的な規律、親権養育費、親子交流、養子縁組財産分与などがございます。
これらについて詳しくお話しますと利用された時間を超過してしまいますので特に強調したい点のみ簡単にお話しいたします。
まず親関係に関する基本的な規律ですが、本改正案では817条の12において親権の有無に関わらず、父母がなすべき責務などを明確化しました。ここにはこの人格を尊重する責務が挙げられており、この意見の尊重も含まれると解釈されるべきであると考えております。
ただし、離婚後の親権者の決定の場面において、この意見の尊重を直接的にときに書き込むかどうかは、法制審で議論になり、私は一貫して反対いたしました。
親を選ばせるのは残酷な選択を強要することになりますし、親は他方の親を悪者にする働きかけをするでしょう。子供の人格を尊重することにむしろ反する結果を招くと考えます。もちろんこの心情や状況は丁寧に調べる必要があり、子供が自分を尊重されたと感じられるように適切に説明する必要性はいうまでもありませんが、君の意見で決めるとか、決まったこととは、決まったとか言ってはならないことだと思います。
次に親権に関する規律の見直しです。離婚後、共同親権も選択できるようにしてあります。先ほどパブコメの話などでも申しましたように、これが最大の争点でした。裁判所が親権者を定める場合の考慮要素に関しては、裁判所が子の利益のため、父母と子との関係や、父と母との関係その他一切の事情を考慮して判断しなければならないこととした上で、父母の双方を親権者として定めることにより、子の利益を害すると認められるときは必ず父母の一方を親権者と定めなければならないこととされております。
この父母の双方を親権者と定めることにより、子の利益を害すると認められるときについては、DVや虐待などがある事案を念頭に置いた例示列挙がされており、こうした事案に対する懸念に対処できる記述になっています。
ただ個人的にはこの例示列挙にこだわらず、一切の事情を重視した実務の運用に期待したいと思っております。あまり育児に関与してこなかったから本音では親権にはそれほどこだわらないが、DVだと評価されたくないという理由で共同親権を主張する当事者がおられることを心配します。
共同親権では、一方の親が他方の親権行使に妨害的に同意せず、教育や医療の場面などで困るのではないかという危惧が言われます。最も現行民法でも父母双方が親権者である場合における親権行使のルールなどが必ずしも明確ではありません。本改正案では、父母双方が親権者である場合においても、子の利益のため急迫の事情があるときや監護および教育に関する日常の行為については単独で親権を行使できることとした上で親権行使について、父母の意見が対立した場合の解決手続きを整備することとしています。この急迫の事情については適時の親権行使をしないと子の利益を害するおそれがあるような場合と、解釈されるべきであり、必ずしも狭い概念ではないと考えております。常識的な線で運営されるのではないかと思います。
むしろ教育や医療の場面で本当に必要な親権行使が行われない場合については、現状でも現場は子供のために努力しています。医療ネグレクトに対しては親権停止という手続きも利用されますが、思いすぎて利用しにくいため医師が確定推定的同意や事務管理の方に子供を救おうという動きがあります。
文科省と厚労省は、児童養護施設に入所中の子が高校進学について親の同意を得られないときに柔軟に対応して進学させるように通達を出しています。子供を不当な親権行使から救うこのような現場の努力と整備にこそ、政府や関係官庁が一丸となって取り組んでいただきたいと思います。
次に養育費に関する規律の見直しです。養育費の確保が重要であることは異論のないところです。生保諸外国では刑事罰の制裁を課したり、直接税取り立て手続きに載せたりしております。本改正案では一般の先取特権を付与しています。
この改正により養育費の債権者は一定額の範囲で一般の債権者に優先して弁済を受けられる他、債務名義を取得していなくても民事執行手続きの申し立てをすることができるようになります。また養育費の定めをすることなく協議離婚をした場合に対応するため法定養育費の仕組みを設けています。
この他、裁判手続きにおける収入などの情報の開示命令の仕組みや民事執行手続きに関し一介の申し立てにより複数の手続きを連続的に行うことができることとするなど、債権者の負担を軽減する仕組みを設けることにしています。このような改正により、養育費の支払い確保の実効性を高めることができると考えております。
次は親子交流に関する規律の見直しです。親子交流については子や同居親の安心安全を確保した上で、適切な形での親子交流を実現できるような仕組みを設ける設けることが重要です。本改正案では現行民法において父母が婚姻中に別居している場面における親子交流に関する規律がないことから、817条の13で明文の規律を設けています。また家庭裁判所が事実の調査として親子交流の試行的実施を促すことができる旨の規律を設けることにしております。
試行的実施の結果については、その後の家庭裁判所の判断や調整の資料とされ適切な親子交流の実現に資することになると考えております。この他766条の2で、家庭裁判所が祖父母等の親族と子との交流に関する定めをすることができることとしております。
要支援に関する規律の見直しにつきましては、養子縁組については、吉海がされた後にその子の親権者が誰になるのかを明確化し、また親権者である父母間で15歳未満の子の養子縁組の在宅に関する意見対立が生じた場合の女性のルールを整理するものです。
最後に財産分与に関する規律の見直しです。財産分与については、財産分与を請求することができる期間を現行の2年から5年に伸長することとしております。また、財産分与において考慮されるべき要素を明確化することとしている他裁判手続きにおける財産情報の開示命令の仕組みを設けることとしています。
周知のように、日本の母子家庭の貧困率は非常に高いものとなっています。この改正によっていくらかでも是正できることを期待しております。以上でございます。ご清聴くださいましてどうもありがとうございました。
佐々木さやか議長
ありがとうございました。次に、浜田参考人にお願いいたします。
浜田参考人
浜田でございます。着席のままで失礼いたします。お手元に資料をお配りしておりますのでご参照くださいますようにお願いをいたします。大阪で弁護士をしておりまして今で22年目になっております。この間も多く子供に関わる事案を扱ってまいりました。今日はそのような立場からこの間今回の家族法改正について意見を述べたいと思います。資料3ページをご覧ください。
親権には権利の側面と義務の側面があると言われております。ただ親と子の関係について言えば、親は子の養育等に関する義務を負っているという側面こそが重視されるべきと考えております。今回の改正法案でも、817条の2で「その子の人格を尊重する」との文言が入るとともに818条では、「従前の子供は親の親権に服する」という表現がなくなっておりまして、こういった点からも子供の利益・権利を重視すべき方向性が打ち出されるものと理解をしております。
資料4ページをご覧ください。一般の通常のときにおいてもですね、子供の利益というのは大切なものでありますが、親と親との紛争が生じたときには、その要請は一層強まるものであります。言うまでもなく父母間の紛争は子供にとっては全く望まないものであるからであります。
父母間の紛争について多くの子供さんが「悲しかった」とか「ショックだった」と思っていたということが、今までの数々の調査でも確認をされております。加えて、親同士の紛争はあくまで親同士のものであって、子供はただ巻き込まれる立場なんだということを強調して申し上げておきたいと思います。
親権の義務性という観点に着目いたしますと、離婚によって親権が一方のみになるということは子供にとってみれば、規模や義務を果たす人が1人減るということでもあります。ともに暮らすことがなくなるというのは致し方ないといたしましても、親は2人とも引き続き子供のことを考え、養育に対して責任を負担する人であってほしいと考えます。
つまり私の意見では、離婚後の監護してない方の親御さんは、養育費を支払い、お子さんと面会交流を行うだけでは足りないんであります。
これらに加えて子供にとっての重要な決定に責任を持って関与し、お子さんから相談があれば真摯に応じ、お子さんから説明を求められれば丁寧に回答しというような作業を、離婚後であっても行ってほしいと考えております。
資料5ページをご覧ください。このような発想に基づけば、離婚後の親権についてはできるだけ共同親権が広く認められるべきということになるものと思います。今回の法案では「離婚後の共同親権が原則というわけではない」と理解をしております、が離婚後の共同親権はお子さんの利益のために必要なものであると考えます。
加えて親権制限審判などと比較をいたしますと、協議離婚によって簡単に一方の親が親権を失うことの方がむしろ聞いてにも見えるところであります。私は児童相談所の仕事などで親権停止審判や親権喪失審判も取り扱ってまいりました。
いずれも裁判所に人をを受けるためのハードルはかなり高いところがございます。それは子供にとって親権者の存在が重要であるからであろうと思います。そうであれば、子供の利益のために共同親権ということが考えられるべきではないかということであります。
もちろん単独親権を望む声があることや、実際問題として単独親権の方が良いと思われるケースがあることも承知をしております。この観点で改正法案を見ますと、裁判離婚において、裁判所がいかなる基準に基づいて共同親権か単独親権かを決めるのか、条文から直ちには読み取れないということを若干心配をしております。
弁護士として相談を受ける立場から言いますと、このままでは裁判所がそのケースについてどういった判断をしそうかという、いわゆる予測可能性の観点がまだまだ低く、したがいまして離婚するかどうか、そして、またその場合にどのような手続きを選択すべきかについて、十分な法的アドバイスができない恐れがあるものと考えます。これは法曹・法律家にとっての問題というよりか、離婚を考える当事者にとって大きな問題となりうるところだと危惧しをしております。
そこで国におかれてはこの際、改正法の施行に先立って、裁判所がいかなる基準に基づいて、またいかなる考え方に基づいて判断をするのか、その指針などを明確にしていただくよう希望したいところでございます。
資料6ページをご覧ください。共同親権の場合、日常の行為であれば単独行使が可能とされております。この日常の行為の範囲についてはある程度広くなるものと解釈をいたしませんと子供さんの利益が害されるおそれがあるものと思います。このような場面について児童福祉法では、例えば子供さんが児童養護施設などに入所しているなどしているときには監護および教育に関して施設長が必要な措置をとることができるという条文がございます。そして、親権者はこれを不当に妨げてはならないとされております。
これは実際に子供を監護している側にある程度の裁量がないと、子供のためになる判断や活動ができないという発想のもとに作られているものと評価できると思います。これと同様に考えられるべきではないかと考えます。日常行為以外で親権行使者について協議が整わない場合、家庭裁判所が親権行使者を決定するとされております。まず、この決定は迅速に行われる必要が極めて高いところです。例えばどの学校を受験するのか、例えば第2志望に先に合格しちゃったけれども入学手続きをするのかどうか、入学金を払うのかどうかといったところ、例えばですが、判断すべき時間が極めて限定的になるということが多いと考えております。
こういった場面で急迫の事情ありと言えば、親権の単独行使ができることとされておりますが、ここでの課題は、この急迫の事情ありと当たるか否かをまず判断するのは親御さん本人だということであります。無論裁判になるかもしれませんがそれは事後的な話であります。そうしますと、この急迫の事情ありと言えるかどうかについて一般の市民にとってもわかりやすい明確な判断基準が示される必要が極めて高いものと考えます。
資料7ページをご覧ください。ここまで親と親の意見が合致しない場面を見てまいりましたが、その際に子供の意見がどう扱われるかについてであります。
親権行使も離婚後の親権者の指定もすべからく子供のためであると考えますと、その内容を決するにあたっては子供自身が意見を言う機会が与えられるべきと考えます。これは子供の権利条約の意見表明で定められました意見表明権の発言場面であり、家事事件手続き法でも子の意思を把握して、子の意思を考慮すべきものと定めているところであります。
児童福祉法で言いますと、令和4年の改正で意見聴取等措置、意見表明等支援事業という規定が入りました。いずれも児童相談所等が行う措置に当たって、子供が意見を言う機会を期しきちんと保障しようというものであります。
また、意見を聞くためにはその前提として子供さんに対して十分な説明がなされなければなりません。これがないとお子さんも意見表明のしようがありません。しかし実際のところ、特に家庭裁判所の手続きに入ってからは子供さんに十分な説明を行って、その上で子供の意見を十分に聞くということはそんなに簡単なことではありません。
そこで、そのために利用できる制度として、子供の手続き代理人についてご紹介を差し上げます。
資料8ページをご覧ください。定義と制度概要をそこに書いた通りでございます。離婚や親権者の指定面会交流など子供に影響のある事件類型において利用が可能でございます。これらの手続きに子供が関与する場合に、弁護士が子供の手続き代理人としてサポートを行うという制度です。
資料9ページをご覧ください。具体的なサポートのある要望もそこに書いた通りでございますが子供のために主張・立証を行うとか子供に情報を提供してその意思決定を援助し、子供の利益にかなう解決がなされるような働きかけも行います。
日弁連では最高裁判所と協議を行った上で子供の手続き代理人が有用と思われる事案の類型というペーパーをまとめております。平成27年のことでございまして、ここに記載された類型は裁判所にの目から見ても有用と言えるものであるということをまず指摘しておきたいと思います。
資料10ページをご覧ください。この制度に対しては、よく家庭裁判所には調査官がいるので子供の意思等はそこで十分把握できているんだというような指摘もなされるところです。ただ、それでは十分ではないと思います。子供の手続き代理人は、家庭裁判所調査官と対立したり、役割が重複するような存在ではなくて、役割を分担しながら協働ともに働く協働を築くことができるものであると考えます。
特に私が強調したいのは、子供の手続き代理人であれば、子供に対して十分な説明を行うことができるという点であります。先ほども触れました通り、十分な説明は子供さんの意思形成意思表明の前提として大変重要でありますが、家庭裁判所調査官は中立のお立場であり、また職責上もこういった数点の活動は困難であります。実際の事例でも弁護士は放課後とか週末とかを含めて、お子さんと会ったり、またLINEなどのSNSでやり取りをしして何度も交流を持ち、その中で信頼関係を形成して、その上で意思決定意見表明などの支援を行っております。
資料11ページをご覧ください。この制度の課題は、利用件数が極めて少ないというところであります。家事事件手続き法制定から10年以上が経過をしておりますが、今もなおそもそも制度の存在すら広く知られているとは言い難いところがございます。
加えて報酬の問題もあります。裁判所が選任するその意味で国選と言ってよろしいかと思いますが、そういう方法もありますが、子供の手続き代理人の報酬が非公から支出されることはありません。実際には、お父さんお母さんの双方で分担をいただくということが多くなっております。
さらに、お子さん自らが自分に代理人を付けたいんだ、という場合でも法テラスの民事法律扶助制度を利用することができません。このためお父さんお母さんから報酬支払いの協力が得られない場合には、日弁連が行っている法律援助事業を利用することになります。
しかしお子さんにとって大変重要な制度であり、結局要は離婚等の家族紛争の解決全体にとっても有益な活動であるものですので、この手続き代理人についても民事法律扶助制度を利用できるような制度改正を期待しております。
続けて12ページをご覧ください。裁判所側の体制整備も大変重要だと考えます。家庭裁判所の事件数や業務は大きく増えておりますが裁判官はあまり増えておらず、調査官にいたってはほぼ増員がありません。また、全国の裁判所の渋谷出張所では裁判官や調査官が常駐していないところもたくさんございます。
そうなるとその地域の住民は仕事を休み、小さな子を連れて遠方の裁判所まで出向かないといけない、というような事態も生じます。住まいからなるべく近い裁判所で裁判を受けることができることは裁判を受ける権利の実質的保障の観点からも重要なことであると考えます。
さらにお子さんに関することで言いますと、お子さんに対する関する調査を行ったりし面会を行ったりする児童室などと呼ばれる施設がありますが裁判所支部家庭裁判所支部の約半数には設けられておりません。こういった点も充実されることさせることが不可欠であると考えます。
資料13ページをご覧ください。裁判所の問題だけではなくて私どもを初めといたします弁護士の関与も一層広がっていくべきものだと考えます。今でもその関与は十分ではないと言わざるを得ませんが、今回の改正法によって、親権行使者の指定の事件などが新設されることになりましてこういった中では、弁護士がその専門的知見を生かして活動することが必要不可欠であるものと考えます。
資料14ページをご覧ください。私の意見は父母の紛争と親子関係とは一旦切り離して別のものだと考えてくださいということであります。
ただこれは実はそれなりに大きな意識の変革を求めることになるやもしれません。またその点以外のところでも、離婚をするにあたって考えなければならないことはたくさんあります。そうであるのに私どもを初め私ども弁護士を初めとするような専門家へのアクセスは必ずしも十分とは言えません。
そこで離婚を考える全ての当事者に対して情報提供をする機会が設けられるべきと考えます。これは親ガイダンスとか離婚後養育講座などと言われるものでありまして法制審家族法制部会でも一時期導入が議論をされておりました。
今回それを受講すべきことが義務になるというようなことにはなりませんでしたが、子供を持つ親御さん双方にとって有益なツールとなるものだと考えますのでぜひ広まってほしいと考えております。
最後に資料15ページをご覧ください。今日触れてきたような考え方からいたしますとそもそもこの親権という用語そのものを変えてしまってはいかがかというご提案でございます。ここに記載をいたしました六つほど新たな用語としてご提示を差し上げております。これは法制審議会家族法制部会の中間試案に対するパブリックコメントの際に、私も所属いたします日弁連の子供の権利委員会の有志でですね、新たな用語として考えてみたものでございます。
今回の改正法案には入ることがなかったですけれどもこれから先将来に向けての議論の参考になればと思ってあえて記載をさせていただきました。私からは以上でございます。ありがとうございました。
佐々木さやか議長
ありがとうございました次に、鈴木参考人にお願いいたします。
鈴木参考人
中央大学法学部で兼任講師を務めております鈴木明子と申します。共同養育支援法全国連絡会母の会においては、アドバイザー兼共同責任者を務めさせていただいており、我が子に会えない母親たちの存在についてお話する機会をいただいております。
今回、この貴重なお時間をいただき、大変ありがたく思っております。私は法学部で兼任講師をしておりますけれども、法学や法律の専門家ではないということはお伝えしておきます。私の専門は民俗学であり、日本の家制度、あるいは地域社会を研究対象としております。
少し前の日本社会におきまして、見られた親子の断絶というのは離婚によって生き別れた母親が我が子の姿を遠くから見つめるという切ない話がありました。時代が移り変わり性別役割分業が進み、母性優先という現象が登場し、現代の日本では母親単独親権者が多数となり母親に引き取られる子供たちが増えております。
かつては父親の再婚によっていじめられる子供たちの話がたくさんあり、シンデレラや白雪姫といった話がわかりやすいと思いますけれども、そうした同じ話が日本にもたくさんありました。一方、現代では母親の再婚相手による子供たちの虐待という悲しい事件が後を絶ちません。
日本文化を研究している身としては祭りや行事といった現象・舞台としての家というのは揺らいでいるのになぜか現代社会においてはひとり親という問題に関して家由来の縁切りという文化が残っているのに愕然としております。
母親の単独親権者が増えている一方で、我が子に会えない母親が増えているとも言われております。従前の監護状況によって監護者が決められているのであれば、母親による面会交流の申し立ては増え増えるはずはなく、減るはずではないかという仮説を立て、研究をしております。
今回は我が子と引き離される母親についての話を取り上げていきたいと思います。
現在、家裁を利用している人々からは、「家裁は嘘が通る」「証拠を出しても考慮してもらえない」など様々な悪評を聞きます。
国会での答弁におきましては、適切に審議されていると繰り返されておりますが、ブラックボックスな家裁と言われることがあります通り、密室の真理であるため、客観的な検証が難しく、誰かが声を上げても、個別の事案として一蹴されてしまう現状があります。
しかし、個別の当事者の話も研究の蓄積によって客観的なデータになりうるということは、これまでの他の当事者研究からも明らかであり、日本の近現代史における歴史を歴史的な観点も踏まえていくという点で、私の専門分野は親和性が高いと考えております。
我が子と引き離される母親たちというのはアンコンシャスバイアスによって、同じ立場の父親たちからも偏見の目を向けられることもあり、弱い立場に置かれております。
産後すぐに追い出された専業主婦で追い出された共働きの家庭で、お父さんたち同様に、仕事から帰ったら家がもぬけの殻であったなどなど、従前の監護者であった子供たちを連れ去られたお母さんたちは精神的にも肉体的にもまた金銭的にも追い詰められていることも多く、話を集めることは難しく、研究としてはなかなか進めるのが難しい現状もあります。
しかし、断片的ではありますが、現在進行形で起きている我が子と会えない母親の存在を浮き彫りにすることによって、その背景にある単独親権による子供の奪い合いと面会交流の現状関与する手法の現状についての一端を明らかにし、今後への手がかりにしていただきたく存じます。母親の現状を明らかにすることはまた母親より何倍も多いお父さんたちの現状の理解にも通じると考えております。
今回の民法改正に関しては、まだまだ不十分であり、改善していただきたい点は多々あります。しかし、日本的な縁切り文化の意識を変える第一歩にはなるものと信じております。まず資料1から見ていただきたいと思いますけれども資料1-1グラフ1に関しましては既によく知られている離婚件数に関しての統計データをグラフ化したものですのでそこは飛ばさせていただきます。
今回使いたいのは資料1-2からになりますがブラックボックスな家裁と言いましたけれども家裁というのはプライバシーの問題ということで情報はほとんど公開されておりません。司法統計のデータはありますが、大枠しか見えていないため、数字などのデータだけはもっと公開してほしいと研究する立場から思っております。またぜひ利用者アンケートなど行っていただいきたいと思っております。
今回用いた数字も実は一般公開されているものではありません。仮説をもとに様々な資料を探し、最高裁判所に問い合わせて入手することができた資料になります。
元の資料に関しては資料1-4としてつけ添付しておりますので、そちらをご覧ください。こちらの資料を基に作ったのがグラフ3になります。私の方では母親についての言及が中心となりますが、我が子に会えない母親が増えているのではないかというふうに言われておりますけれども、このグラフを見ていただきますと母親による面会交流も実は増えておりまして、現在母親親権者数が増えており、父親親権者が減っている中で減少していないという現状が浮かび上がってまいりました。
すなわち、我が子に会えない父親親権者が減っているにもかかわらず、我が子に会えない母親たちは増えていることになります。
こうしたことがなぜ起きているのかということに関しましては、背景について参考でお話したいと思っておりますけれども、一番大きな理由といたしましては資料グラフの4のところに丸で囲みましたけれども、2009年以降、数字が増えております。
これを微々たるものと捉えるのかどうかは、人によって違うかもしれませんが、それまでの毎年1%程度の増えだったんですけれども、2010年から約2%ずつ、約倍増えていくことになっております。
なぜそういうことになったのかということを、私の方で歴史的な状況をどうだったのかということで調べてみたところ、資料23などにあります通り、増加が見られる背景としては日弁連が日弁連60年史というものを公開しまして、そこで「単独親権による子供の場合、それから奪い合いですね、それから親権を奪われたら子供に会えなくなる」というようなことを公開した。これが大きいのではないかというふうに思ってます。逆に言えば父親でも先に連れ去ったから親権を獲得できるということで、父親による連れ去りが行われるようになり、こうした数字にその結果が表れているというふうに思っております。さらに言えば連れ去り勝ちによって親権を獲得する裁判所の運用実務これが可視化されたということになってくるのではないかなというふうに思っております。
このように従前の監護者であった母親であっても1度連れ去られてしまいますと、男女平等によって監護者になれないだけでなく、会うことさえもままならない状況に陥ります。本来は話し合いの場の外であった調停が司法制度改革によって2004年以降、家庭裁判所人事訴訟すなわち離婚裁判が移管されました。
そういたしますと、訴訟を見据える対立の場に家庭裁判所が変わったと。これも司法制度改革の影響として言われるところでございます。さらに民事から家裁ということで地方裁判所から家裁ということで全く客観的な検証ができない密室の審議の場に変わってしまったということもあるかと思います。
さらにもう一つこれも言われていることなんですけれども、代理人弁護士がつく事例が増えたことによって、そこがまたさらに追い打ちをかけたのではないか、とそういうようなことも言われております。
また家庭裁判所の調査官や調停委員、弁護士の方などと話をしますと、真摯に対応されている方たちがいるというのもよくわかっております。しかし一方で子供に子供のためになっているとはどうしても思えないような話も多数聞こえてきます。
依頼人が付く、代理人がつくということはやはりそこにはある種、勝ち負けというものになってまいります。そうすると、依頼人を勝たせるという勝負になってしまうので、依頼人を勝たせるためにはどうしたらいいのか相手を貶める――そうした状況が出てまいります。
そうしたことによって一層親子の断絶が進んでしまっているということが母親の立場においても見られるようになったと思います。
さらに言えば、単独親権以外に葛藤を高める要因の一つとなっていますのが、民法770条の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」、有責主義などとも言われておりますが、離婚に際し親権者指定を獲得するため、悪質な場合には子の連れ去りや追い出しを行い親権者としての優位性を手にするために相手を悪者にし、相手をおとしめて自分を有利にするということで使われております。
ぜひ今回そうした葛藤を引っ込めるために、今回の民法改正では取り上げられませんでしたけれども1996年の民法改正要綱案で提案されていた破綻主義などに対しても今後議論として考えていただきたいなというふうに思っております。
では、そうした我が子と話されている母親の面会交流の現状について次に資料からお話をしていきたいと思います。
資料5に関しては、母親が審判で決まっても会えなかった事例ということで、これは家庭の方の再家庭の方と裁判に挙げられている資料です。ご覧ください。
そして資料6に関しましては、従前の監護者であり共同親権中の母親が監護権を取り戻せないだけでなく、我が子に会えない現状について挙げております。こちらの方もお読みいただければというふうに思います。家裁での調停や審判が決まっても交流ができない状況に関しまして、続いてお話を少し上げていきたいと思います。
親権を父親、監護権を母親に連続して離婚後に面会交流をしていたが、ある日、親権者の父親に子供たちを連れ去られ、その後会えなくなってしまった。
何が起こったのか、どうしていいかわからないうちに、元夫の再婚相手と養子縁組されてしまった――こういう人たちが何人もおります。日本人男性と日本で結婚し子供を連れ去られ、子供と会えなくなってしまった外国籍のお母さんたちも何人もおります。
目の前で子供たちを車に押し込められ、連れ去られしばらくしてやっとし面会で子供たちに会えたとき、「ママのこと大嫌い」と言われるも、「そう言わないとママに会えなくなっちゃうから」と練習してきたという幼い子供たちの必要な声なども聞こえてまいります。
連れ去られた直後、子供たちはママに会いたいそういうことを言う人、子供たちが多いです。
しかし連れ去られてしばらく経ってくると、ママ大嫌いというような言葉を発するようになります。資料6の3資料7-1にも詳しくあるので見ていただきたいですが、幼い子供がママをくそ婆というようなそういう状態に陥っております。
これは監護者が子供にそうさせているということは明らかであり、家庭裁判所がこの状態を問題ないと見なしている現状は以上ですし、こんな状況を放置している家庭裁判所自体が児童虐待に加担していると言っても過言ではない状況にあります。Aさんの場合、夫自身が不貞している有責配偶者です。
まだ離婚していない共同親権が、ですが、子供たちと5年会えていませんママのことを嫌いと言っていた子供たちが、いつしか引きこもりとなり、不登校になるといった悲しい事例もたくさんあります。
子供の奪い合いが子供たちに影響を及ぼし、及ぼしているという話がたくさんございます。
資料7-1から7-3に関しましてはこうした母親でさえも我が子たちに会えない状況に関しまして海外のメディアで捉え取り上げられているという事例です。
今お話しました通り、家裁で決まっても会うことができません。すなわち、面会交流の権利性がないさらに言えば、法の支配がないという状況にあります今回の法改正がそうした状況に対してどの程度寄与するのかというのはわかりませんけれども、ぜひそうした問題に対して何らかの制度設計やガイドラインの方をお願いしたいというふうに思っております。
最後にもう時間ありませんけれども、制度設計を考えるための仕組みの基礎資料としていくつか挙げておりました。家庭裁判所の充実や行政の支援など、様々に提言されていますが、法律を業としてない立場だからこそ少し忌憚なく、思いつくままに述べさせていただきます。
家裁の充実が問われておりますが、資料中は1980年、事件が少なかった時代に家裁調査官が後見的機能を果たしていた記録です。家裁の充実には裁判所定員法など他の法改正が必要になってきますし、また、ただ増やせばいいというものではなく、貢献的役割が重要です。
増大した事件数からいって同じことを期待するのは難しいため、家裁以外の機関や職種との連携が必要になってくると考えます。
子供手続き代理の活用も言われていますが、子供の意思を適切に聴取するためには心理職などの関与も求めたいところですが、家事事件手続き法に子供と医師子供の意思とあることにより法律事務とされてしまうため、弁護士にしか関与が許されないのでしょうか。心理職や支援機関や第三者の関与といったときに問題になってくるのは非弁行為であります。
また、ADRの利用などもありますが、このことに関しても別の法制審を立ち上げないと、利用することができないのかなどなど考えていただきたいことはたくさんあります親教育や共同養育計画の作成などが重要な課題となってくると存じますが、行政や支援機関を初めとして勧誘する体制について、改めて非弁行為などの問題を踏まえて捉えていただく必要があると考えています。
最後に、今回の民法改正は子供のためと言われております。その一方で、親権は親による選択という視点でしか書く語られておりません。法によって強制的に親権を剥奪されてきた現行の強制単独親権制度下においても、親に捨てられたと捉える子供たちがいます。
民法改正で最終的にどうなっていくのかわかりませんけれども親に捨てられる子供たちにとってこれ以上残酷なことはないと私は思っております。ぜひそうならないようにきちんと判断できるように、そして子供の意思、子供の涙を減らすようにということで、改めて子供たちの未来のための構成法改正としていただくようにお願い申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。
佐々木さやか議長
ありがとうございました。次に、熊上参考人にお願いいたします。
熊上参考人
和光大学の熊上と申します。1994年から2013年まで19年間家庭裁判所調査官として、北海道、東北、関東の5ヶ所の家庭裁判所で勤務し、少年事件・家事事件に従事してまいりました。大長でも支部でも勤務しておりました。困難な状況にある子供たちのために仕事をしてきたつもりでございます。2013年から大学研究者をしております。
本法案での共同親権は、子の転居、教育や医療について双方の合意がないと、子供は希望する進学や医療を受けることができない。
父母の合意が必要ということは、一方の共同親権者が拒否すれば、急迫の場合は子供が進学や医療を受けることができず、いわば一方に拒否権を与えるものであり、子供にとって不利益なものではないでしょうか?
そもそも合意のないケースで共同親権を家庭裁判所の決定とすることが、子の利益になるのか――という説明は政府からなされていないことも重大な問題です。また本法案について、離婚後もパパもママも関与できることが子の利益と政府は説明していますが、現行の民法766条でも別居の子供への関与は可能であります。子の監護に関しては、父母の協議で定め協議ができなければ家庭裁判所が決定するということができるということになっております。そもそも、本法案の共同親権は子の利益となるのでしょうか?
まずは子供たちの声を聞くべきです。子供自身の意見や意思を抜きにした子の利益は成り立ちません。子供たちのことを子供抜きで決めるべきではありません。Nothing About
us is OUT Earth。私達のことを私達抜きで決めないでこの言葉、国連障害者権利条約の障害者の人々のスローガンでしたが、同じことが子供に関する法制度にも言えます。
そもそも離婚家庭の子供たちは共同親権を望んでいるのでしょうか?
配布資料1ですが、これは2024年3月29日、国会議員会館内で院内集会における子供たちの声です。子供たちの声をいくつか紹介します。16歳「これ僕たちにデメリットしかない。何かにつけて両親の許可が必要って面倒なだけ。何か提出するのに期限。期限に間に合わなかったら国は責任取れますか」
「今は1人の親権者のサインというのに、共同親権があったら面倒だし、誰も得しないじゃないですか」
9歳、「共同親権に反対です。お父さんとお母さんが離婚前の別居中に僕の手術が必要になったときお父さんが嫌がらせでサインしてくれなかったと聞きました。病院にお願いしても、両氏のサインがないと駄目だと言われて数ヶ月手術手術が伸びたそうです」
16歳「離婚時に兄の私立高校を辞めさせろと父から児童相談所に要請がありました。理由は養育費がかかるからだそうです。共同親権だったら今の高校も続けて帰ることができるかわかりません。どうか助けてください」
子供たちの声としては私の知る限りでは、進学や医療転居で双方の合意が必要な共同親権を望むという声はありませんでした。離婚家庭の子供たちは進学などで双方の許可が要るという共同親権は望んでいないのではないでしょうか?
法案に子供の意見表明権や意思の尊重が含まれていないことも問題です。資料2の英国イギリス司法省2020年、文献レビューでは、子供の声を聞くことは子供の権利であり、子供にとって本質的な価値と利益であり、法的な評価システムに子供が参加することで、子供の自尊心が高まり、子供がエンパワーメントされ、子供が自分をコントロールできる感覚を持つことができ、逆境への対処力が高まると、子供への参加を認めることは子供の重荷とは対立しない子供は、決定権ではなく、意見を尊重されることを求めていると記されています。
配布資料3です。私、熊上が面会交流をしていた子供15歳から29歳299人、していなかった子供には子供252人の調査をしました。子供たちは面会交流の有無に関わらず、子供の意思が尊重されないとつらさ、苦しさ、怒り憎しみなど心理的負荷が多く回答され、書きたくない、思い出したくないという拒否的な記述も多く見られています。
子の意思の尊重は必須なのです。なぜなら子供たちのことを決める法案中です。次に、本法案では、家庭裁判所が単独親権とする条件として、DVやそれを双方話し合いが困難であるときとしています。家庭裁判所がDVやそれを判断できるのかという問題があります。
残念ながら家庭裁判所はDVを完全には認定除外することはできていません。資料4です。法制審第20回に提出された最高裁判所て、家庭裁判所の手続きを利用した人への調査結果です。これは家庭裁判所の手続きを利用した8147人の調査結果です。その一部を紹介します。家裁の調査官によく話を聞いてもらったという声もある一方で、家庭裁判所の調停において、「配偶者はDVをしていないと言っているから、していないんでしょう」「それはDVは二、三回だったんでしょ」「年に4回ほどの暴力は大したことではない。暴力は1回だからやり直してみたら」と言われたり、面会交流との関係では、DVや子供にはなかったから養育費払ってほしければ面会交流しなさい、子供は両親が好きなものと言われたという経験が記されています。
こうしたケースで面会交流が家庭裁判所でDVが完全に除外させずに実施され、結果的に子供が体調を崩したり、おねしょや自傷行為や教などをするケースもあります。私の知るケースでは、自分の存在に自信がなくなり、他人を信頼できず、他人と接するのがもう怖くなったという子供もいました。このようにDVが除外できず、家庭裁判所が決定すれば、子供の心身に深刻な負の影響を及ぼすのです。
次に、DVが家庭裁判所で除外されず4歳の子供が命を落とした家庭裁判所伊丹支部のケース配布、資料56の新聞記事です。面会交流は、DVや子供の虐待ケースについては、面会交流しない除外することになっていますか。このケースでは、東京や母親は物や家具を投げられたり、部屋の壁に穴が開けられたり、夜中にたたき起こされ、お前が悪いからやと言われていました。こうした状況の写真を家庭裁判所で示しても、元夫から写真は合成でと言われて否定されていた。
そうです。調停委員から「父母なんだから子供のことを考えたら連絡を取らないといけないのではないか」と言われ、それまで「直接連絡していませんでしたか?」「父母が直接連絡していませんでしたか?調停員に言われてそうしなければならないと思ったとLINEを交換し、翌日から長文のメッセージが毎日届き、元夫がいつ来るか気が気でない状態になり、朝廷が初めての面会交流の日に子供が殺害された。
このように、家庭裁判所でDVを完全にしっかりと除外することができず、悲劇が起きている。しかしまだその検証もなされていません。家庭裁判所の実務では、中立的な立場で、双方の陳述を聞きますが痛みのケースのように、ほとんどのケースでは一方がDVを訴え、一方が否定します。例えば、長時間説教されたとの主張に対してじっくり話し合っただけだ、とか、
投げ飛ばされたという人に対して「興奮していたから止めようとしただけだ」なと述べば、お互いの世界から見える景色が違うこれがDVのケースの特徴です。二つの世界があるので家庭裁判所がDVを認定除外するというのは非常に困難になります。
そしてDVを除外できず、子供の命が犠牲になったり子供への負の影響が出ることは日本だけでなく、海外の家庭裁判所でも共通の課題となっております。資料7は米国センターフォーエクセレンスの報告この資料は子の監護紛争で子供が亡くなった12ケースの分析ですが、こちらの5ページに家庭裁判所が、DVや子供への虐待のサインを軽視したというふうに記載されています。
資料8は、イギリスのウーマン、2016年19人の子供が裁判所の子の監護紛争で亡くなったケース分析ですが、同じく家庭裁判所がDVを除外せずに面会効力を決定したことと分析しており、これは世界的な課題でもあります。
面会交流、親権別問題ではありますけれども、こういった問題が起きないか懸念されるところです。
養育費についてです。本法案では法定養育費については金額が明示されていませんが定額というふうに見込まれています。先取特権があると言いますが、そもそも差し押さえできる給与が給与や財産がない人もいます。
私は家庭裁判所の調査官の在職時に養育費の履行勧告を担当していたことはありますけれども、そもそも養育費を払いたくない人が多く、また決まっても履行しない。払わないなどと言い、その背景には元配偶者の感情的なもつれがあります。
結果として子供が困窮します。少年事件、これは養育費の支払いがなく、同居や多くは母親が生活苦のために昼も夜も働いて、結果的に子供が放任されて施行に至るっていうそういう少年事件も多いです。海外では面会交流を促進すれば、養育費がの支払い率が高いと紹介されていますが、例えば米国では、養育費の支払い率は約70%とされていますが、その理由として養育費を支払わないと運転免許証やパスポートの停止などですね、そういった制度があるからであって、諸外国の養育費制度を考慮せず面会交流の有無と養育費支払い率を関連付けることはできません。
海外で行われている養育費の立替徴収などの制度は、なぜ取り入れられないのか。同居や別居の合意を売る制度としての共同親権だけだけが作られ、なぜ別居への養育費不払いはそのままなのか。非対称性が著しい不平等性がある。
子供および同居や困窮のままになってしまうというふうに考えております。共同監護についてです。父母が互いにリスペクトし、子供の意向を踏まえて協議できれば子供にとって、双方から愛されていると感じ、子供に好影響です。しかし父母が対立し話し合いができないケースで、家庭裁判所が共同での親権は共同監護を命じると子供は幸せになるんでしょうか?
またスケジュール通りに子供が父母間を行き来する共同監護計画は子供の利益になるんでしょうか? これについて米国の離婚家庭の子供に15年間長期にわたって追跡したバーンスタイン博士の古典的研究があります。資料9の表せない博士のそれでも僕らは生きていく、以下のように述べられています。ポーラの父親は月に2度週末の金曜日の放課後から日曜日の6時まで子供たちを預かることになった。長い休暇は毎年かわりばんこに過ごすことになった。
その後3年間ポーラとジョンは、まるでタイムカード打つ工場労働者さながらにこのスケジュールを遵守された。上が友人との付き合いや学校の活動が犠牲になることに苛立ちを感じ、父親と自分の生活に干渉してくる裁判所に激しい怒りを感じていた。
姉のポーラは「いくつになったら父さんとの面会を拒絶できるの。だって行かなくちゃいけないんですもの。馬鹿な判事がそう言ったのよ。月に2回と7月は丸1ヶ月よ。7月なんか大嫌い、最悪だわ。去年の7月はずっと泣き通しでなんでこんな罰を受けるんだろうって考えたら、私がどんな罪を犯したっていうの」
ワラスタイン博士は、「研究対象の離婚家庭出身の男児は1人残らず、自分たちの子供に同じ経験をさせたくない」と語っていました。
自分の子供には二つの家を行き来させたいといったものはいませんでしたと指摘し、離婚していない家庭の友達が、週末や休日の過ごし方を自分で決定できるように比べ否応なしに行くべき場所を決められ、存在を軽んじているような気分になることだったと述べています。
子供たちは、安心した環境で育ち、子供は自由に生きてよい。東京都あるいは別居との信頼関係の中で、子供が行きたい学校に行く、行きたい病院に行く、やりたいことをやりたいという嫌なことをいいこと嫌だと言うことができ、会いたいときほどがあいたいときに会えることができ合いたくないときは友達がいたくないときや、友達の都合を優先したときにはそれが尊重される――そのような子供のが安心して過ごせる環境整備が子の利益であります。進学や医療で合意がもらえないかもしれない、家裁にその都度行かなければいけないかもしれないと子供を不安にさせたり諦めさせることがあってはならないのです。これまで述べてきたように、非合意ケースにおいて対立する父母のもとで意思決定ができないことが生じれば、子供の利益にならず、家裁がDVを除外することは困難であることから、共同親権を導入するにしても、子供の意見を尊重することを前提に、父母が対等に合意したケースに限って認めるべきでしょう。
本法案は以下の通りに修正しなければ、廃案にするべきと考えます。非合意ケースは、原則的には単独親権にする。子供の意思の尊重を明記する。共同親権の場合も、子供の進学や医療のために別居親の合意を得る必要がないように、監護者指定を必須にする。これによって、子供が安心して生活でき、この意見に、子の利益にかなうのではないでしょうか?法案が子供を泣かせるようなことがあってはならないと考えます。終わります。ありがとうございました。
佐々木さやか議長
以上で参考人のご意見の陳述は終わりました。これより参考人に対する質疑を行います。なお、質疑および答弁は着席のままで結構でございます。質疑のある方は順次ご発言願います。
田中雅史議員
自由民主党の田中雅史です。4名の参考人の皆様方今日は大変ありがとうございます。今お話を聞いていてですねDV虐待、それから子供の強奪、こういった事例はできるだけ早くなくしていかなきゃいけないと心の痛む事例をお聞かせいただいて、そう強く思った次第であります。
今回の改正案の中で社会一般あるいは国民全体のですね、やっぱり共通理解とか栄養は非常に大事だというふうに私は思っております。今回の附則改正案の附則でもですね、親権の決め方ですとか、あるいは急迫の事情のあり方、あるいは監護や教育のあり方等については法の趣旨も含めて国民への周知を図るというふうになっているんですが、その前提として家族のあり方ですとか、子の権利あるいは親の義務、こういったことについて、現状日本社会での理解っていうのはどうなっているのかっていうのは、それぞれ4名の参考人どうお感じになってらっしゃるかっていうのをまず伺いたいと思います。
それでは水野参考人から順番でよろしいですか?
水野参考人
日本社会の理解でございますけれども、伝統的には非常に優しい育児をする民族であったというふうに言われております。ですから、幕末などにやってきた西洋人たちが、日本人の優しい育児の仕方について非常に感動して残している記録がいくつもございます。今度体罰の禁止を民法の条文に入れましたけれども、どうして体罰の禁止が入れられたのか。そんなことが可能だったのかと、私は台湾の専門家から質問を受けました。
とても入れられないだろうと思うと、私はそのような背景には日本人のそういう優しい国の伝統があるというふうに考えております。
ただ体罰が日本の社会に広まってしまったのはやっぱりファシズム機に軍隊の中の暴力的なものが学校教育を通じて広がったのではないかという仮説がありました。
少しそんな気がしております。
それでもまだそういう伝統は定量では残っていると思います。そして子供のために両親が今度の改正案の条文をきちんとそのあたりについては文言に書いたはずでございますけれども、子供の健康な成長を図るために両親ができるだけのことをするという意味では大きなコンセンサスは日本の社会の中にあるのだと思います。
ただ問題事例が生じたそういうことが冷静にできない親があったときにその子供を救う体制が日本は非常に脆弱であるここが問題だと考えております。
短く答えなくてはならないんですが例えば同じフランスですが、私どももその調査にも参りましたけれども、アウトリーチで幼稚園に精神科医が定期的にまいります。子供たちの様子を、保母さんたちと先生たちと話し合ってこの子はちょっと問題があるということその後について調査が入ります。
そして調査が入り、親にあなたのその方ちょっと問題があるのだけれど、私達はケースワーカーを派遣するから協力しないかというふうに言いますともちろんそうなんです。次は指定を上げてしまうんです。だから教えてもらえればと言えば、そこで契約ベースで結構です。しかしほっといてくれって言ったら途端に検察官に連絡が行きます。そして児童の親権制限判決が申し立てられます。そしてそれが翌年、年間9万以上ございます。日本の親権制限判決というのは実はございません。親権停止喪失判決が2桁で親権停止判決がやっとみて他に上ったところです。
こういうふうに背景の事情が全く違っております。そのことについて、ご理解をいただいた上でしかし、一朝一夕に変わるものではございませんので、どういうふうに子供たちの福祉を図っていくかということを、まさに議員の先生方には幅広い視野でお考えいただければと思います。
日本の社会に欠落しているものこと、私は言葉や理念をいじることによってあまりもちろんそれも概念も言葉も理念も非常に大きな力を持っておりますけれども、我々の社会は約数百年余り前にやっと権利とか義務とかいう言葉を作って民法典を作ったばかりでございます。
そこで言葉や、そこそこで作られたばかりの言葉をいじることによって我々の社会が簡単に変わるとは残念ながら思っておりません。もっと社会の変化は、社会が持っていた安全弁は急速に村社会活動の裏社会が持っていた安全面は急速に失われていって、我々の社会に必要なそれに代わる安全弁を組み立てなくてはならないのだと思っております。すいません、長くなりました。
浜田参考人
ご質問ありがとうございます。家族像とかその子供の権利といったところについて実務に携わっておりますとですね。二つ思うところがございます。
まず一つその考え方としてその質問するとですね、そうだよねと子供の権利大切だよね、夫婦は平等にきちんと話し合わなくちゃいけないよねという答えが結構、返ってまいります。ところがその例えばその離婚の紛争でも児童相談所が絡む案件でもそうですが、実際に「どういう生活をなさっていましたか。この先どうしたいですか」と聞くとですね、結構そこまでに行っていらっしゃらない方というのは結構出てくる。
で、その背景にはここからは推測ですけれども、やはりご自身がどのような環境で生活なさってきたかというところの生活、いわゆる生活歴とかに基づく影響というのがかなり大きいのではないのかなと思います。
その意味で言いますと、必要な変革というものにはそれなりな時間を要するのではないかというところであります。変革のためにもですね、こういった国会等でこういったことが真正面から議論されている。この議論についてはその社会の注目も大きく集めているというところだと認識をしております。そういったことも一つ一つがですね、市民の全般の認識を変えていくきっかけになっていくんだろうなとこのように考えております。
鈴木明子参考人
日本の歴史の中で見ていたときに家族のあり方というのは本当にその時代時代で変わってきていると思います。先ほども少しお話ししましたけれども、かつて日本は家父長制が明治期にありました家制度のもとに家父長制による父親単独親権でしたけれども、それが戦後の民法改正におきまして、母親も親権者をとなることができることになり、その中で昭和22年でしたか。そこから母親親権者が多くなっていくのは1960年代です。つまりそこまでまた意識が変わるのに時間がかかっております。
ですのでそうした時代の流れの中で法律があることによって意識が変わっていく。これまでは単独親権のもと親子の縁切りというような意識が続いておりましたけれども、今回の改正によってそうした意識がまた変わっていくのではないかと子供のためにそうあってほしいというふうに思っております。
熊上参考人
本法案が国民に周知されてるかっていうことなんですけども3月に署名を内閣府にこの法案のもやめてほしいというですね、6万通ぐらい出しに行きました。衆議院の議論があって、23万人に増えました。
ようやく国民もこういう法案なんだと。つまりどういうことかっていうと、例えば、双方の合意がないと子供と一緒に転居できないんだとか、特別支援学校に入るのに、事前の許可が双方の許可が要るんだとか、そういうことの周知がつい最近になって衆院で議論があって増えてきた。国民の周知もやや高まってきた。
しかしまだまだ十分ではないです。国会議員の方とお話しますが、地方議員の方にレクチャーすることはあります。地方議員の方も知らない方が多いです。
「離婚後もパパもママも関与できるからいいよね。選択できるからいいよね」
それは間違いではありませんし、そうした選択もできるわけなんですけども、「合意してなくても家庭裁判所が決定することもあるんですよ」とか、先ほど言いましたように「双方の合意がないと子供と転居できませんよ」ということを言いますと地方議員の方も非常に驚かれます。まだまだ国民への周知というのは十分ではないというふうに思っております。
田中雅史議員
ありがとうございました。趣旨も含めてですね、今後しっかりとやっていかなきゃいけないんですが、こういったDVや虐待、あるいは子の強奪といったこういった不幸な事例を起こさないような、法律あるいは社会のシステムっていうものをどう考えていくのかっていうことは非常に大きな課題です。
先ほど水野さんにもおっしゃいました、村社会が大体壊れた、壊れていった状況の中で、それに代わるシステム、地域の中で多くの皆さん方が支えていく仕組みっていうのを、これをどうやって作っていくのかっていう部分はたぶん周知だけではそう簡単に変わっていくものではないんだろうと思っています。
それに寄与するような法制度のあり方っていうものを今後も考えていかなきゃいけないというのはあります。
今後、法施行の2年後の施行までにですね、そういった部分で対応できるところがあれば、しっかり対応していかなきゃいけないなというふうに思ったところであります。ありがとうございます。
続きまして水野参考人に伺います。
先ほどDVとかおそれがある場合については裁判所が単独親権に決定すると。これ、午前中の審議もあったんですが、どうやって客観的に判断するのか。そうしたことも取り上げられて、先ほどのご意見の中ではやっぱり総合的な部分で全般的に判断すべきだというふうに主張されたという話に至ったというふうに思います。
その上でですね、であるならば、やっぱりこの裁判所の裁判官の判断のばらつきをどうやって最小限にするかっていうことっていうのは私は極めて大事なんだろうというふうに思います。これ、総合的に広げてなおかつ裁判官の判断のばらつきも広かったらですね、これどこに行くかわからない。そうした部分において、当事者は非常に不安に思うんじゃないかなと思うんですが、この裁判官の判断のばらつきを極力抑えていくためにはどのようなことが必要かということをお考えをお伺いできればと思います。
水野参考人
ご質問ありがとうございます。非常に重要なご指摘をいただいたと思っております。私の報告の中でも申し上げましたように、「日本は個人がいきなり言い立てた場所で戦わなくてはならない。そこがいきなりのその場になってる」――それ、そのこと自体が、非常に問題なことなのだと思います。
DV被害者はともかく助けてくれと手を挙げればそれは社会がいろんな形で助けを助けてあげるっていう体制が組まれていなくてはなりません。
しかしそれが裁判という対等な当事者が法という武器を用いて戦うという場面にいきなりいかなくてはならないわけですが、それは弱者がそういう場でいきなり戦えるかっていう問題がございます。
そして裁判官のばらつきと申しますけれども、それもやはり日本の場合には裁判官の数も限られておりますし、手法が万能だとは思っておりません。
しかし家庭裁判所以外がそういう判断を最終的にできるにふさわしい場所があるかというと、やっぱり最終的には家庭裁判所でならなければならないのだと思います。
それ以前にたくさんの行政的な支援がDV被害者や、あるいは被虐待児童のために提供されている必要があると思います。そこの部分、行政の支援が手厚ければその問題はおのずから委員委員議員がご希望なされた部分の大きな部分は解消されていくものだというふうに考えております。
田中雅史議員
ありがとうございました。やはり行政の支援というのはしっかりと拡充していく必要があるというのは、先ほどお話を伺っておりますと強く思ったところであります。
次に浜田参考人に伺います。先ほど「家裁の判断がなんじゃこれというようなケースもある」というのをお聞きになって、実際に実務に携わってらっしゃる参考人はどう思ってらっしゃるのかということ。
それからもう一つは監護をしていくにあたって子の親権を定めることについてもそうですし、日常的な監護と急迫の監護っていうのはこれから具体的に決まっていくものと思うんですが、意見のご意見の中でおっしゃっていた通り、やはり具体的な基準を定めていく必要があると思うんです。
先ほどの実態的に判断がどう考えてもちょっとおかしいのではないかというような事例が参考人の経験からもあるのかということと、それを具体的にこの基準に落とし込んでいったときに、基準に落とし込むってことは逆に狭まるって話なので多様性があったときに柔軟性がなくなるっていう面でメリットが私はあるんじゃないのかなというふうに思うんですが、そのあたりのお考えはいかがでしょうか?
浜田参考人
ご質問ありがとうございます。まず裁判と申しますのはご承知の通り、証拠に基づいて裁判官が自由な心証のもとに判断するというところがございます。ですので全てのケースにカチンと予想通りになるものでもなく、ましてやその基準を当てはめるわけにもいかないという限界がまずもってございます。
私もいろいろ事件をやってまいりまして、そのびっくりするような負けの判決をいただいたようなことを、これから家庭裁判所にとどまらずございます。
そのときにはただやはり、その証拠をどういうふうにこちらが評価しお示しすることができていたのかといったところが、むしろ私どもの反省ポイントとして残るところです。
もちろんそういったときにはその上訴審において再度判断を求めるということでリカバーを図るしかないというところがございます。
びっくりすることは率直に言ってございます。日常のどのことでありますとか急迫の事情ありやなしやといったところについて、その基準とか考え方をというふうに申し上げました。これは法施行からあのなある程度の日数が経ちますと、その間の裁判例の蓄積が出てまいります。
そういたしますと大体裁判省の考えることは「こうだよね」とある程度わかって来るようになるんだと思います。
問題は施行直後その例えば裁判例等が公表されない中でどのように判断をできるのか。そういったところについて、先ほど申しましたように国がある程度、「こういった考え方をベースにしてるんだよ」ということをなるべく詳しめにまずはお示しいただく。
そのことによって、それはのちのちの定率された裁判基準で変わってくるやもしれませんが、まず最初、数年間をこれで過ごし過ごしてみようぜというところをお示しいただけるとありがたいなと思っております。以上でございます。
田中雅史議員
終わります。ありがとうございました。
福島みずほ議員
立憲社民共同会派、社民党の福島みずほです。今日は4人の参考人の皆さん本当にありがとうございます。午前中でもあったんですが非合意強制型共同親権の問題で合意できないというのは基本的やっぱり話をするのが難しいのではないかと思ってます。子供の教育方針巡って2人がいい話を有する紛争が起きている離婚して、それがうまくいくっていうのは本当に考えられない。
そこで熊上参考人にお聞きをいたします。合意できないケースで協働を命じられた場合の子供の心理や問題点、あるいはなかなかそれが本当に紛争激化していくということについていかがお考えでしょうか?
熊上参考人
合意できないケースで、家庭裁判所が共同親権を決定した場合ですね、子供はどうなるかというと、「僕は高校行けんのかな」とか、「俺これ、別居している親の許可を得なきゃいけないんじゃないか」とか。「許可を得られなかったら高校とか行きたい学校行けないんじゃないか」とか、手術もそうですけどね。「この病院で手術を受けたいんだけど大丈夫なんだろうか」と。ものすごく不安になると思います。
それは家裁で単独行使が可能かどうか決定できるとこういう立て付けになってるんですけども、家庭裁判所の調停はやはり申立てから何ヶ月もかかりますし、合意がそこでできなければ審判ということでさらに時間がかかると。子供にとって宙ぶらりんな状態が数ヶ月1年近く続く。高校いけるのかどうかとか、手術するのかどうかとか。そうした中で子供は諦めちゃうと思います。もう僕は私は自分の好きな勉強できないんだなとか、好きな手術できないんだなとか。
海外の研究でも同じことが言われてます。常に卵の殻を歩いている状態だなんていうふうに言われますね。
空の上を歩いている状態だ。自分が何をし自分の勉強ができるのかとか、そういったですね、対立している合意のないケースで共同親権を認めることで、子供が宙ぶらりんになり不安になり、諦めてしまう。これは非常に危惧していますね。
福島瑞穂議員
単独行使できる場合と、共同親権で共同でやらなくちゃいけない場合の区分けって実はなかなか難しいと思います。両方に問題がある。単独行使だと例えばよく言われるお母さんはプールに入れたいがお父さんは駄目とキャンセルする。
例えば別居親が行使する共同新共同でやらなければならないケース、例えばパスポートの申告やそれから中絶をする場合の同意ですよね。でもご存知今はあまりその共同親権ではあるものの、あまり社会的には意識されておらず中絶の場合の親の同意や、それからパスポートの申告も、どっちかの親が書けばいい。
スマホの契約とかもどちらかの親が書けばOKだったのが、これから変わってしまうんじゃないか。病院も共同の合意が必要だから1人の合意では駄目だと紛争されたら、そうなってしまうので、時間がかかってしまう。
一緒に住んでたらまだ話ができるでも離れていて離婚していて、電話やメールや様々なことで合意・同意を取る。
許可を取るっていうのはすごく大変で、ストレスだろうと思うんですね。
昔じゃないけど、お父様のお父様に聞いてみないとわからないですからみたいな、なんか戦前かっていう話で、結局、これは家父長制に基づく父権介入。
養育費をちゃんと払って子供のことを愛情を持って見守るっていうよりも、共同親権がむしろ介入権として登場するんじゃないか。それを大変恐れるのですが、いかがでしょうか?
熊上参考人
今までも別れても子供の子と2人で相談し、できできる制度にはなっています。
今回の法案では双方の合意がいるといいう制度ですから、非常に問題。拒否権になってると思いますし、また日常の問題に対しても、プール入る入らないとかでもですね、僕はプールに入れるのか、私は入れないのかっていうそういったですね、非常に日常生活でも不安定な状況になる。
ということで子供のメンタルヘルスに及ぼす負の影響というのは大きいものではないかなというふうに思います。
ですので、やはり一定程度のことは、監護者がきちんと自分で監護者が決定することができるというふうにしないと、あらゆる生活場面でこれも許可を得なきゃいけない、とかそういう2巻争いにしなきゃいけない。家庭裁判所に行かなきゃいけない。そういう子供たちを作ってはいけない。
きちんと監護者がある程度決められるという形にする、監護者指定を必須とするっていうことは非常に重要かなというふうに思います。
福島みずほ議員
結局、共同でやらなくちゃいけないのに単独でやったら、それは後で訴えられたり、裁判になる可能性もあると。あるいは共同でやらなくちゃいけない場合、なかなか進まないこのうちの変更や、それから例えば同居親が新たなパートナーができて、養子縁組を子供とやるなんていうのも、これ共同で合意でないといけないので別居親が同意をしてくれない限りできないんですよね。やっぱおっしゃる通り、子供の未来をやっぱ狭めちゃうと思うんですがいかがでしょうか?
熊上参考人
子連れ養子縁組で新しい親と養子縁組するときに15歳未満の場合は別居親の合意が必要というふうになってます。でも対立ケースだったら、もう合意してくれないっていう諦めちゃうケースも増えると思います。わざわざ家裁に行ってもめているよりもですね、そうすると、新しい再婚家庭においても進学や医療で、別居親の許可が合意が必要ということになってしまいます。
つまり再婚家庭に対する再婚家庭の子供への操作が可能になるということになるんですね。こんな再婚家庭の子供を縛るようなことがあってもいいのか。こういうふうに思いますね。再婚家庭の子供が新たな家庭で安定・安心して勉強したい学校行きたいなんて考えても、もっと許可を得なければいけない。再婚家庭の子供たちが非情に不安定になる。そういう問題があるというふうに思っております。
福島みずほ議員
家庭裁判所がDV虐待を除外できるかということについて、それぞれ話をしていただきました。DVはやっぱり難しい。私も弁護士で、やってきましたが、あざがあったり精神的な疾患がある、いろんな診断書を取ったとしても、それが夫のDVの結果がどうか因果関係がわからないとか、たまたま録音してればいいけれど、殴られたり怒鳴られたりしてるときに録音をはじめるわけにはいかない。その瞬間をビデオで撮るなんていうのはあり得ない。だから祥子かないんですよ。基本的に。
しかもすごくショックを受けてるし。DVの本質はやっぱり支配とコントロールに基づく相手の力を奪うことだからできないんですよね。基本的に証拠はないんですよ。だからそういう状態でやはりDVがやっぱり認定してもらえないケースもあるし、もうそもそも諦めてしまうという場合もある。離婚できればいいからもDV、主張しないという場合も本当にありました。そうすると、いや、いやいやいやDVなどがある場合は単独親権にしますから大丈夫ですよっていうのは、ものすごく良い。そう思いますが、熊上参考人いかがでしょうか?
熊上参考人
そうですね、やはり写真とかですねLINEとかがあったとしてもですねそれはLINEはただ連絡しただけだとかですね、例えば毎回レシートをチェックして、これは何に使ったと聞かれると、もう耐えられないというような場合がDVの恐れというふうになるのかっていうと、これは非常に微妙なところかなと思うんですね。
そういった微妙なケースでですね。今日共同しBBかどうか、またその恐れがあるかちょっとわからないし、共同で話し合いも多少可能なんじゃないかなんていうふうに裁判所が認定したりすると、共同親権が決定されて、先ほど言ったような子供のその後の進学・医療などの場面で、そのたびごとに不安になり、あるいは家裁の紛争に持ち込まなければいけないということになります。
DVあるいはおそれっていうのを要件とするのではなくて、合意ができないと話し合いが不可能である、といったことを条件にする方が、家庭裁判所としても明確になりやすいのではないかなというふうに思います。
福島みずほ議員
諸外国で非合意の共同監護の家庭裁判所命令っていうのはうまくいってるんでしょうか?熊上参考人お願いします。
熊上参考人
諸外国での非合意の共同監護ですね。もちろん100%ではないんですけども、非常にいろんな問題点は指摘されています。子供が嫌だと子供が行きたくないと言ってですねイギリスの報告書とこういうのがあります。子供が行きたくないと言いますね。週末ごとにとか、行きなさいって言うんですよ、東京やが行かないとお金を払わなきゃいけない制裁金を払わなきゃいけない。
泣きながら言うんだそうです。それで泣く泣く子供が訪問したりします。そうすると子供はどうなるか。別居親だけじゃなくて、行かせた同居親も憎むようになる。非常に子供にとってつらいです。両親も憎むことにもなりかねないですね。
ですので、ぜひ合意型の共同監護というのはですね、そういった子供たちを傷つけ、親に対するネガティブな感情も双方の親に対するネガティブな感情も生じさせてしまう、こういった大きな精神的な負荷があるということがあると思います。
福島みずほ議員
事故事件をやって、例えば新婚の頃に一発殴られたと。その後は殴られてないんだけれども、彼女はいつでも出られるように洋服着て寝るって言ってたんですね。だからやっぱり一発殴って大したことないっていうわけではなくて、もうとにかく一度でも暴力振るわれたらもうアウトでやっぱり怖いんですよね。
ですから、急迫の事情とかDVの恐れって言っても、やっぱそれは怖いんですよ。だから夫がいないときに家を出るとか、子供を連れて出ようとかいうふうに思うわけでそういうことについて熊谷参考人いかがでしょうか?
熊上参考人
暴力を一度名のみならず回数はともかくとして、やはり非常にトラウマというものが生じてくるとこれはなかなか消えない。
戦争とか犯罪被害とかのトラウマもですね、時代とともに軽減するわけではなく続くわけですよね。その場面がトップに来たりするとですね、家庭内のDVにおいてもトラウマが生じ、 何かふっとことあるごとにトラウマが生じてしまう。
その結果鬱状態になってしまったり精神的に参ってしまったりとそしてもう寝込んでしまったり、仕事に行けなくなってしまったりする。
そういった非常にメンタルヘルスへの影響がトラウマによって生じてくるということはあるかなというふうに思います。
福島みずほ議員
浜田参考人にお聞きをいたします。親権というのを親の権利ってするのを捉え直すべきだとか子供の手続き代理人制度をもっと本当に子供の意思を尊重するような制度やるべきだったら、それは本当にその通りだと思います。
子供の意見表明権、「あなたはお父さん取るの?お母さんが好きなの?」っていうのではなく、子供が「あなたはどうしたらいい?どっちの学校行きたい?どういう未来を考えてる?」ってそれはカウンセリングというか、きっちり聞けば子供は自分の意見をちゃんと言ってくれるというふうに思うんですね。
その点、やっぱり私は子供の権利に関する条約が子供の意見表明権って書いてるから、あなたはどっちだって詰め寄るのではなく、子供を本当に尊重して、あなたのことをみんなが尊重してるよっていう、それは必要だと思うのですがいかがでしょうか?
浜田参考人
ご質問ありがとうございます。大変重要なご指摘をいただいたと思っております。まさにご指摘の通り、子供を詰める、子供を追い込む、子供に決めさせるといったものを、私としても考えているものではございません。そうだから今委員もまさにおっしゃったように丁寧な説明をして、君は自由に意見を言って言わなくてもいいし、言ってもいいし君が言ったことについては大人は一生懸命考えるんだよ。
なので、君の意見を教えてくれないかということを十分な信頼関係のもとにお子さんに質問をする。お子さんが言ってくれたらばそれを大人側は一生懸命ちゃんと真正面から捉えてきちんと検討する、こういったものが大きな枠組みとして考えられるべきであろうと考えております以上です。
福島みずほ議員
私も実はその子供の親権、共同親権と思ったり面接交渉をもっとやるようにと思ったり、今の話にの延長線で言えば、子供を見守る本当に愛情を持って子供が安心できるという環境をちゃんと見守ってるよっていう大人の数を増やすことだとというふうに思っています。家裁の今のキャパは2ヶ月後とか3ヶ月後とかいうのでキャパなどについて浜田さんいかがでしょうか?
熊上参考人
ご質問ありがとうございます。まさにおっしゃる通りでしてその際、家庭裁判所の混雑状況というのはもう本当にもう実務をやっているとちょっとどうにかならんかなと思うところでございます。
裁判所の裁判官が増えることも大事ですけれども、それ以外のそのほ例えば調査官それ以外の事務的な役職のところその辺りも大幅な増員というのは不可欠だろうと思います。
加えましてその子供に対する見方の関わる大人を増やすという意味で言いますと、私ども弁護士もですね。もっと積極的に子供に関わることについきちんと手を差し伸べていかないといけないと考えております。
福島みずほ
以上です。ありがとうございました。
伊藤孝江議員(公明党)
公明党の伊藤貴恵です今日は本当にありがとうございます。では質問をさせていただきます。まず水野参考人にお伺いをいたします。先ほどの審議の中でも今回の法改正に向けての議論の中で子供の利益というのを最重要のポイント、という話があったかと思います。共同親権を導入することを、特に制度設計の中で、必ずしも同意が当事者間でできていない場合であっても共同親権になりうる可能性がある仕組みを導入することについて、子供の利益との関係でどのような整理がなされたのか、ということについてご説明いただけますでしょうか?
水野参考人
ありがとうございます。部会ではもちろんこの点についても議論をいたしました。
法制審議会の中でかなり議論はされましたが、ともかく全体としては何より子供の利益のための養育のあり方っていうのが大きな最大の観点でございまして、そうするとその夫婦の合意っていうのは必須ではない、と考えられました。
部会では弁護士の委員の方から両親の合意はないんだけれども、双方の親権共同の行使が適切であると考えられるような場面が実際にもありうるというふうなことが指摘されておりました。
例えば同居親と子供との関係性が必ずしも良好ではないとか、あるいは同居親の養育にやや不安があるので別居親の関与もあった方がこの福祉にかなうと予想されるようなケースもある。
そういうふうに指摘されておりまして、現行法では同居親を単独親権者として、別居親との親子交流をできるだけ充実させるっていうふうな方策が考えられますけれども、そこに共同の親権という選択肢が入ってきますと。
子供の福祉という観点から、より充実した検討が可能になるというふうなことを弁護士の委員が指摘されておられました。
夫婦の協議が整わない理由にいろんなものが考えられますした。従いまして裁判所では父母の協議が整わない理由などの事情を考慮して、共同して親権を行うことが困難であると。子との観点を含めてその他一切の事情を考慮して実質的総合的に判断するということになっておりますので、また父母の双方親権者と定めることにより、子の利益を害すると認められるときっていうのは、必ず父母の一方を親権者と定めなければならないっていうふうにされておりますので、大丈夫なのではないかというふうに考えております。
伊藤孝江議員
もう一点、三つの参考人にお伺いをいたします。先ほども少しフランスの事例との比較がありましたけれども、参考人が書かれた資料の方も読ませていただいた。私もかなり驚いた部分もあるんですが、フランスだと親権行使への公的介入が日本とは比較にならないぐらいの規模で積極的に行われていると。
フランス民法の育成扶助が判事とケースワーカーが親権行使を監督する制度で、年間約10万件の育成扶助判決が下され、年間約20万人の児童が対象となっていると。そのことも含めて、もちろん社会の社会資源をどんなふうに使うのかとか様々な支援制度の違いがあって、こういう結論。日本がそのまま今そんなふうにできるのかどうかというとまた全く違うということは理解をしております。
今回その親権の行使っていうのが子供のために、子供の利益を考えながら適切に行使をしていくことができるかというところでの様々な立場からの不安がある中で、これから日本の司法の介入であったり、行政の支援であったり等を含めて、この親権行使への介入という点について日本としてはどういうことを課題として考えていくべきなのか。
お考えがありましたら教えていただけますでしょうか?
水野参考人
ありがとうございます。議員がおっしゃる通り、なかなかこの日本でフランス並みの制度を直ちに構築するというの私もまず非常に難しいと思っております。
まず児童事件の担当判事っていうのがフランスの場合には親権制限を担当いたします。親権制限を受けた子供たちは自分のことを決めるのは例えば僕のことを決めるのはマクロン判事なんだっていうふうに固有名詞で認識しているというふうに聞きます。
日本の家庭裁判所の判事を年間使っている件数から考えまして、とてもそんなことは無理でございます。
ですから、本来の近代法の構造から言いますと行政がプライベートなところいわば手を突っ込んで親の意思に反して介入をするわけですから、そのときには司法チェックがいるというのが、本来的な近代法のあり方だとは思います。
日本は何しろあまりにも急速な近代化を遂げた国です。その限界を考えますと、私は当分は行政を勝也して児童相談所などの人員等そして携わる人々の訓練予算をできるだけ計上し、子供たちの福祉のために行政的な支援を手厚くすることによって対応して頂きたい。
弁護士の先生方も児童相談所にずいぶん協力してくださっておられますけれども、司法的なチェックっていうものを不可欠にするという形ではなく、まず行政的な支援を手厚くすることによって、しのいでいく。
そういったあるべき姿に近づけていくっていうことが必要なのだろうと思います。
先ほどから本当に非常に悲惨な事例っていうのがいろいろと参考委員の方から、ご指摘されまして確かにその通りなんです。
でもこれは単独親権を維持すれば、そういう事件が起きないかということは全くございません。むしろ、共同親権間にある婚姻中の特に夫婦仲が悪くなって離婚を前にした頃というのが一番熾烈な状況だったりいたします。
そして夫婦が仲良くといいますか、共同して暮らしていてもその両夫婦ともに子供の福祉を図れないような親である場合もございます。
社会がそういう場合には子供を守らざるを得ずこれはもう今の様々なボランティア子供食堂とかですねそういう民間のボランティアも少しずつ広がっておりますけれども、ありものを全て活用するとともに行政の支援を手厚くすることによって子供たちを守る。その上での民法の民法という共存のルールをどちらの方向に向けて理想の方向へ向けて動かしていくかということなのだと思います。ありがとうございました。
伊藤孝江議員
ありがとうございます。続きまして浜田参考人にお伺いをいたします。先ほど陳述をいただいた中で、特に子供の手続き代理について代理人についてまずお伺いをいたします。
先ほど資料の中でも子供の手続き代理人に関しての役割として示していただいて、家庭裁判所の調査官とは全く立場も役割も違う、というわかりやすいご説明もいただいたところです。
弁護士として代理人をされていたり、家庭裁判所で調停委員もされているという立場の中で、現状、両親が紛争状態にある離婚の紛争状態にある子供に対して、適切な現状や今後のことなどを話して、どうするかを決めていく。そうした説明自体を子供にきちんとなされている。
もちろん、年齢によっても全く違うかと思うんですけれども、そういう事案っていうのはよく見受けられるというイメージでしょうか?
浜田参考人
ご質問ありがとうございます。今のご質問ですが、子供に対する説明というのは親御さんからというご趣旨でしょうか?
伊藤孝江議員
親御さんからという場合もあるでしょうし、もしかしたら調停委員なのか裁判官なのか、あるいはまた別の弁護士という立場の方なのか? どなたかから子供に対してそういうきちんとした情報が適切に提供されているのかという点についてお伺いいたします。
浜田参考人
ありがとうございます。ご指摘の点は私の実務的な経験に基づいたもので申しますと、甚だ不十分であるということではなかろうかと思います。
特に裁判所調停委員等が子供さんに直接会うという機会はほぼほぼございませんし、調査官は調査か面接の中ではありますけれども、その中でもですね、その状況の説明等ということよりかは調査を命じられた事項についての調査ということになりますので、そこはどうしても十分ではない。
親御さんもですね。これは良くも悪くもですけれども、どうしてもやはりご自身がその理由が対立当事者の一方でいらっしゃるわけですから、そこでの冷静な説明客観的な説明としてはこれはどうしてもやりにくい。
これも制度上、立場上の限界だと思います。
そういたしますと、例えばそこで弁護士が関与させていただくことができれば、うち我々から説明しますけど、ご案内が差し上げられますが、そういったケースはまだまだ少ないのが現状と理解をしております。以上です。
伊藤孝江議員ん
この子供の手続き代理人が子供についた場合ですね、この子供に対してのそういうケアの部分とあわせて、そもそもその離婚紛争に対して何かしらの影響を与えることができるということは想定できるんでしょうか?
浜田参考人
それはできるものだと思っております。といいますのも、もちろんその先ほど福島委員からもございましたけれども、その子供に決めさせるとかですね。
そういったものではなくて適切に子供の立場を説明した上で意見が出てきた。その意見を両方の親御さんにフィードバックすることで親御さんの考え方とか行動の変容を促すことができる。
もちろん全てがそうなるわけではありませんけれども、そういったことができるケースというのはたくさんあるものと考えております。以上です。
伊藤孝江議員
ありがとうございます。ただ先ほども課題の中で、この子供の手続き代理人が利用件数としては、極めて少ないという現実がある。それについてご説明をいただきました。
その中で一つの原因としては報酬の観点というふうな説明がありました。
本州以外のところで何かしらのその課題があるのか。そして取り組みが必要じゃないかという観点でお聞きできればと思うんですが。
例えば中学生高校生ぐらいであれば、自らアクションを起こして弁護士とかに聞いてみるっていうのもできるかもわからない。
もちろん、できるんですけれどもなかなか現実には難しいというところもあるでしょうし、また先ほどもありましたけれども、そもそも、その子供の手続き代理人がつくのが望ましい事案かどうかっていうところの判断であったり、子供に誰がどのようにその説明をして、どういうふうに子供に考えてもらうのかっていうところもなかなか周りの大人の意識というのがまだ共有できていないのではないか――ということも考えられるというふうに思います。
紛争当事者であったり関係者の間で子供の手続き代理人をつけるのがいいかどうか。というところも含めて考えていくような、そういうイメージを共有しなければならないというようなところも個人的には思います。
けれども実際その報酬以外の部分でこういうところも課題だとか、そしてこういう取り組みが必要だというところありましたら、ぜひご見解をお願いいたします。
浜田参考人
ありがとうございます。まず一つ一番やはり大きいのはその裁判所のご理解をもっと得ていかなければならない。
裁判所がその参加を認めてくださらないと裁判所手続き上は先に進まないというところがございます。ここが一つ大きなところ。
あともう一つはやはりその制度の周知。これは親御さんに向けてもそうなんですが、子供さんに対する直接周知というのも今は取り組んでいるところであります。
ご承知いただいております通り、各地の弁護士会でですね、いじめ予防授業などの形で弁護士がその学校に出向いて、例えば自分の持っている権利とかそういったことについて授業を行うという取り組みがございます。
それ以外にも教育全般でございますが、そういったところで、君たちが困ったときには君達自身が弁護士に相談できるんだよ、というメッセージもお子さんたちに直接伝えるという作業を行っております。
小学校高学年以上ぐらい主だと思いますけれども、そういった中で、現にですねお子さんから直接例えば弁護士会にコンタクトを取ってくださるというケースももちろん数は少ないんですけれども、あるわけですね。そういったところを一層広めていくことが大事ではないかなと考えております。以上です。
伊藤孝江議員
浜田先生に参考人にお伺いをいたします。今回離婚を考える、あるいは離婚に直面している2人当事者の方への親ガイダンスというようなところの充実の必要性というのも、改めて議論がなされているところです。というか進めていこうというところではあります。
実際、今の参考人のご説明であれば親ガイダンスとあわせて、そこに当事者として本来であれば巻き込まれてしまっている子供に対しても、ガイダンスという方が正確かどうかは別として、そういう情報提供であったり、こんなことを考えていくっていうようなことにもっと当事者自分のこととして触れていく機会っていうのを作っていかなければならないんじゃないか。というのも支援策の一つとして考えるんですが、いかがでしょうか?
浜田参考人
ご指摘ありがとうございます。親ガイダンスというものはどうしても例えば役所のですね、離婚届の用紙をもらいに来た方とかですね。どうしても大人向けという発想が頭にありましたが、まさにお子さんにとってその君達自身の権利主体性というものを意識してもらいたいという点では、本当にもう委員ご指摘の通りだと思いますので、先ほどのあの学校に出向いていくことを含めましてですね、私どもでも引き続きできることをしっかりやっていきたいなと思っております以上です。
伊藤孝江議員
時間ですので終わります。ありがとうございました。
清水貴之議員
日本維新の会の清水と申します。よろしくお願いいたします。本日は貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございます。
まず初めに熊上参考人どうぞよろしくお願いをいたします。
実際に家裁で調査官をされていらっしゃったということですが、今回の法案の審議、参議院の方でも入っておりまして、法務省や裁判所と議論を様々してますと、最終的にですやっぱりなかなかきちっと決めるのが難しいでしょうから、様々なその事情に合わせてケースに合わせて裁判所で適切に判断をします――みたいな答弁が多いわけですよね。
実際にはそうなるだろうなというのはもちろん想像するわけなんですが、ただそこに至るまでの過程で例えばDVがあったか何かなかったのか。
どういう状況だったのかとかですねこれが本当に適切に判断できるのかどうか、もしくは子供の意見をしっかり聞いて子供の判断意見を聞く聞くのがいいのかどうか。
そんな議論もありましたけども、子供の利益を考えてみたいな話があった場合に、それをどうやって例えば子供から話を聞く場合にどうを適切に聞いてそれをどう判断していくのかとかですね。
こういったことが果たして具体的にしかも適切に裁判所として可能なものかどうかっていうそういった不安がきっとですね、残っているなというのをなので全てを任せきれないといいますか。
なんですかね賛成されてる方も反対されてる方も非常に不安が残ったまま進んでいるような気がしているんですけども、実際に現場にいらっしゃってその辺りというのはどう考えられますでしょうか?
熊上参考人
どうしても家庭裁判所の調査官、双方の話も聞くわけなんですけれども、一方の方とは一方の方と言ってることがまるっきり違うということになります。
それはそれで二つの父違う世界があるんだなと、これだけ隔たりがあるんだな。ということはきちんとまとめることができるのかなと思います。
ただ不安な点として思うのは、例えばなんですけども、例えばDVがあったとし、片方が行ったときに、いやそれは違うんじゃないかとか、そういういわゆるそういう話になったときに、そのDVが認められるのかっていう不安を、DVを受けた側というの方々は非常に心配になるんじゃないかなと。そう思ってると思います。
その結果、例えば親権とか監護の問題で、何か負担のある決定をさせるとなると、その後が問題なんですね。
家庭裁判所で決定して終わりじゃなくて、その後例えば面会交流とかであれば、子供が3歳のときに、これってまだあと10年以上続くわけなんですね。不安を抱えたまま続けなければいけない裁判手続きの中の不安というのを考えるんじゃなくて、その後例えば子供3歳だったら、その後十数年の不安まで裁判所はわかってくれるのかということなんですね。例えば面会交流支援団体いくつか、訪問させていただいて、家庭裁判所で決まったんですと、もう繋がったんですけど、今決まっちゃいましたと、すごい不安な顔で子供を連れてきて、向こうはもう見見ない車も見ないようにって言ってですね、置いてってっていうそういうことがですね、続くわけなんですね5年10年とですね、これが消えないんですよ。、なかなか。
なので不安というのは一時的な紛争時とか調停時だけの不安だけではなく、その子供が成人するまでの不安、ここまでですね、きちんと考えなければいけないかなというふうに思っています。なので家裁の調査官、あるいは家裁の職員としてはですね。
決定時だけではなくて、その後の子供たち、あるいは関係者がですね、不安に思わないような不安を軽減できるような、そういったなことをしなければいけないというふうに思っております、
清水貴之議員
そこでやっぱり出てくること。それは、家裁の体制はどうなんだということや、人員は足りてるのかとかですね。そのあたりについてはいかがですか。
熊上参考人
小規模な裁判所に勤めたこともあるんですけども、そういうところでは裁判官の刑事民事家事少年と全部担当してますし、調査官ももちろん両方やってますし、なかなか次の調停ができないということもあります。
本当に増員というのは常に求めてるんですけども、例えば成年後見なんていうもう制度ができたときも、ほとんど増えてないですね。
未配置のところもありますので、そこはしっかり手当をしなきゃいけないと思ってるんですけども、なんか本当に今までのことを考えるとできるのかなという不安は非常に強いです。
清水貴之議員
ありがとうございます。次に鈴木参考人お願いいたします。今回のいただいた資料でもテーマが我が子と引き裂かれる母親たちということで女性の側に視点を当ててですね。特に女性の側に視点を当てて資料を作ってお話をいただいてということなんですけどもまずなんですかね。
思いといいますかなぜ女性をクローズアップしてというのをなぜ今鈴木参考人が特に重要視して取り組んでらっしゃるのかというのをまずお話いただけますでしょうか?
鈴木参考人
ご質問ありがとうございます。私女性の暮らしについて民俗学的にK研究をしてきたというそういう経緯もございます。
さらに我が子と引き離される母親というのは子供と会えない人たちの中でもより弱い立場に置かれております。
子供と同居している母親の場合であれば、子供がいることによって精神的にDVを受けていても安定することができると思いますけれども、より困難な状況に置かれている人たちの研究が全体として、男性の方の研究もないんですけれども、その中で私は特に女性の問題について改めて捉えたいと思いました。
清水貴之議員
言及いただいた中で共同養育計画の重要性というのをお話をいただきました。実際、やはりこれは協議離婚なかなか裁判離婚になってしまうとなかなか結構協議していくと難しいのかもしれませんが。協議離婚なんかの場合でしたらしっかりと計画を立ててっていうのは重要だと思うんですけども、実際にどこまでこれができていくのかというのも考えなきゃいけないかなと思います。
どういった形でこれを作っていくのが一番有効性が高いというふうに思われてるかなというところをお聞かせいただけたらと思います。
鈴木参考人
ありがとうございます。どのように作っていくのか。おそらく本来であれば裁判の中できちんと決めていくということの方が、立ち合いがいるのでやりやすいのではないかなというふうに思っております。
逆に言えば競技の場合ですとどこでそれをまたちゃんとチェックしてくれるのかっていうそういう義務ではないので、そういう点でやはり難しい点はあると思います。
けれども今まで皆さんのお話もありますようにできればそういう点で行政に関わってきちんと何かガイドライン的なものであったりそういうものを作る体制を作っていただけたらいいのではないかなというふうに思っております、
清水貴之議員
浜田さんにお願いいたします。今の点関連してなんですが共同養育計画ですね実際に裁判などの現場で、これがあること、もしくはない場合とのこのその後の面会交流であったり交流であったりとか、養育費の話であったりとかどう変わってくるかどうか。
また今お話鈴木参考人からもありましたが、どう作っていくのか、行政がどう関わってというところもですね実際に作るだけでは駄目でしっかりそれがやっぱ機能しなければいけないと思うんですけども、機能させていくためにはどうしたらいいかとかそのあたりをお聞かせいただけたらというふうに思います。
浜田参考人
ご質問ありがとうございます。
現状ではですね、その共同養育計画なるものがなかなか難しい。これはやっぱりその紛争当事者である親御さん双方がそうでありながらでも子供のことは別だよねと、申しますかね。
子供の方だけちゃんはの話はこれとは切り離してやろうという最低限のそこについての合意がなければなかなか難しいというところだと思います。
そこをより一層推し進めていくためにはもちろん裁判所からの投げかけもあり得ますけれども、親御さんそれぞれについた代理人弁護士が共同養育計画の重要性ということをきちんと理解をした上で、自らの依頼者に「これちゃんとやろうよ、大事なことじゃん」って言っていくということが多分我々に課せられた使命なんだろうなと。
こういったところで少しずつ広げられていくっていけるといいんではないのかなと考えます。以上です。
清水貴之議員
鈴木さんに家庭裁判所に対しまして透明化といいますか。中で決められていることなどをもう少しですねクリアにしてもらえたらなというご意見もあったかというふうに思います。そのあたりについてお聞かせいただけたら。
鈴木参考人
ありがとうございます。家庭裁判所は元々調停の場でその中でブラックボックスということが言われておりまして、さらにそれが2004年の司法制度改革で人事訴訟離婚訴訟が地裁から家裁になったことによって、より不透明になっていったというふうに私は感じております。
ですので、今、私達が知ることができるのは当事者の証言もしくは司法統計に出ている数字だけになります。でもそれだけではやはりわからないことが多い。なのでこうした民法改正に繋がるような不満であるとかそういったものが噴き出てきたのではないかと思っております。
ですのでプライベートな場であるということでなかなか情報を得ることはできないんですけれども、今回私がこの分別の統計を最高裁からいただけたように、もうより詳細な数字だけでもいいので出していただけるようなそういう状態を何とか突き出していただけないかなというふうに思っております。以上です。
清水貴之議員
浜田さんにこの辺り予測可能性という言葉でお話されたかなとも思うんですけども、これもやっぱり実務されていまして、その辺りが明確になっていった方が、当然やりやすいといいますか、いろいろ依頼者の方方とねお話しながら進めていかれると思うんですけどもやりやすいなという思いがあってということでよろしいでしょうか?
浜田参考人
ご質問ありがとうございます。おっしゃる通りでございまして、もちろん一切最終的に一切の事情を踏まえて判断するというのは、もうそれはもちろんその通りだと思うわけです。ただ、こういったときには概ね「こうなりそうだよね」というところまでが何の予測もつきませんとですね、裁判所に持ち込んだ方がいいのか、ちょっと無理してでも当事者協議でやった方がいいのかといったところの戦略を立てるところにも影響してくるわけでございます。
ですのでそういった意味でいうと、3の裁判所が「きっとこう考えるんだよねこの法律の趣旨はこういうところにあるんだよ」というところを明確にお示しいただくことがこちらの私の申し上げた希望のところでございます。以上です。
清水貴之議員
浜田さんにもう一点お願いします。例えばそういった場合、今度し親権の回復みたいな単独親権ですけども、今度共同親権可能となって単独親権、別居親の方がですね今度、共同親権を希望するということで、裁判所にという話が出てくるかと思います。
そうした場合にどうしたら回復できるのか。どうしたら共同親権になれるのかというのがこの辺りもある程度やっぱり指針があった方が、例えばですけども一生懸命ですね、面会交流の回数をしっかり守っていた養育費はしっかり払い続けてとかですね真面目にちゃんとやってる人とそうでないでも残念ながらですねそういった履行ちゃんとできてない人とこれは差がつくべきかなとも思うんです。
このあたりの基準とかいうことに関してどう思われますか。
浜田参考人
大変難しいところだということでございましょう。結局のところまずはその親としてなすべきこと、それは親権者としてじゃなくて親としてなすべきこと、委員ご指摘のその養育費や面会交流もそうでしょうし、子供の養育にできる限りのところで、きちんと関わるといったところ今までの実績ももちろん考慮されることになるんだろうと思います。
家庭裁判所の判断ってのは良くも悪くも、その将来を予測するもので今まであったものをを見て、この先どうするのが良いのかっていう難しい判断を迫られるところがございます。
なのでここはもう、必ずしも明確にはならないのかもしれません。
ただ、そういったときにもですね、概ね、こんなんだったら、まだ基本的には共同と考えましょう、とか、基本的には単独と考えましょうとか、大枠がわかっているとですね、戦略も立てやすいということは繰り返しになりますが、申し上げておきたいと思います。以上です。
清水貴之議員
ありがとうございます。水野参考人お願いをいたします。子の意見の尊重のお話をいただきまして先ほどの熊谷参考人もお聞きしたんですけども、水野参考人ご自身はなかなか例えば親を選ばせるとか、そういうピシッとした非常に深刻な判断を子供に求めるのはなかなか厳しいんじゃないか、ということをご意見だったのを伺いしました。
ただこれは先ほどお話もありましたけども、やっぱり子供の、あの傾向とか思いとかっていうのを尊重してもいいのかなとも思います。
ただ、これも難しいなと思うんです。子供ですから親の意見に非常に左右されてしまうでしょうし、本心をどう掴んでいくかというのが本当に難しいなとも思うんです。
この辺り法制審の水野参考人のご意見もそうですし法制審などでどういった議論があったかなどもしあれば教えていただけたらと思います。
水野参考人
ご質問ありがとうございます。子供の意見表明権につきましては、確かにだいぶあの激論をいたしました。反対するつまり子供に決めさせるっていうことについて反対をしたものは私だけではございませんでしたが、日弁連のやはり先ほど議員の方からもご指摘のありました。
児童の権利条約などを根拠に、やはり子供の意見を聞くべきではないかということを強く強く主張される委員もいらっしゃいました。
ですからそこは大きな対立点であったことは確かでございます。でも私フランス法の文献などを読んでおりますけれども、この児童の権利条約の子供の意見表明権をこの場面で使うこと、つまり両親のどちらを選ばせることかっていうことについては絶対に反対であると、ここでそれを用いるのはとんでもない残酷なことであるっていう点ではフランスの議論はほぼ一致しております。
たださえ非常に難しい判断でございます。家庭裁判所にとって裁判官たちが慣れております。過去の祭壇ですが子供の将来を決めるのは将来の予測になります。これ非常に難しい判断だと思います。そこでもし子供の意見表明権みたいなことが十分に書き込まれてしまいますと、一番簡単な結論に飛びつくのではないかと、あなたはどちらの親がいいですか。
そうですか、ということになってしまいかねないと思います。
それはものすごく危険なことだと私は思いました。子供の福祉っていうのがきっとあの議員もそう思われてるでしょうけれども、一番大切な法益でございます。
そのためには子供の状況を先ほどから、いろいろいろんなご意見がありますように、注意深く見なくてはならない。虐待をされているような子供についてはやはり社会が介入して救出しなくてはならない。
そしてそのような領域に欠けている日本の予算が国家予算が先進諸国の中では非常に少ないということも確かだと思います。
高齢者の方はかなり行き届いてまいりましたけれども、育児支援にかける予算は非常に少ない。そういうところで司法の場合に序文を一つ変えて解決するという問題ではないのだと私は思っております。周囲を固めそして何か単純な原則を作るということでは、この問題は解決しないのだと考えておりますありがとうございました。
清水貴之議員
ありがとうございました。以上です。
川合孝典議員
国民民主党新緑風会の川合孝典です。貴重なお話ありがとうございました。まず水野参考人からご質問させていただきたいと思います。法制審の中でどういったご議論されてきたのかということについて今後の委員会審議に生かしていきたいと思いますので、ぜひご指導いただければと思うんですが、まず子の監護すべき者監護者について、今回の法改正で共同親権に仮になったとしても監護者を知ったが別途指定できる、というたてつけに今回の法律はなっておりますけれども、この子の監護すべき者の選定にあたっての具体的なその選定要件というものについて、審議会の中ではどういったものがイメージされて、この条文が書き込まれたのかということについてお伺いをしたいと思います。
水野参考人
ご質問ありがとうございます。ちょっとメモを取ってきたんですけれども、にわかにまた追加でもしお許しいただければ、議事録に加筆させていただきますけれども、監護者指定をヒットすべきではないかという点について。
かなりつまり共同親権、父母双方を親権者とするときは、監護者指定を必須とすべきではないかということについて、かなり議論をした記憶がございます。ただ議議員ご質問の監護者の概念につきましては、申し訳ございません私にわかに記憶が呼び起こせずにおります。
そして介護システムをヒットすべきではないかという点につきましては、父母の離婚後にこの身上監護をどのように分担するかっていうのは、それぞれの事情によってやはりいろんな場合があるだろうということで、監護に今後の処方の一方介護者と定めることを必須としては相当ではないだろうという結論になったことは記憶してございます。
川合孝典議員
突然の質問で大変失礼いたしました。監護者をどう選ぶのかということについて、要件選定要件が曖昧であるということに対して、不安の声が双方の当事者の方からやっぱり上がっているということであります。どういう基準に基づいて監護者を選定するのかということについては、やっぱ今後ある程度明示的に示せるような形をとらなければいけないのではないのかというのが私自身の問題意識としてございましたのでちょっと質問させていただきました。
もう一点、これも水野参考人にご質問したいんですが今回776条の2でいわゆる祖父母がいわゆる親子交流の申立権が付与されるということがございますが、この件に関しては慎重派の方々からしてみれば、余計な負担がかかる当事者でない人が申し立てができるということについて不安の声が上がっております。
そこで確認なんですが今回のこの766条の2の親子交流についてどのようなケースを想定して、この766条の2が書き込まれたのかということについて確認をさせていただきたいと思います。
水野参考人
ご質問ありがとうございます。この点については地方創生審議会でも申し立て権者を父母以外の者に拡大することについては相当な懸念へのを共有した上で議論をいたしました。
そういう形で父母以外の親族に子との交流の申したときは認めると子供が多数の紛争に巻き込まれてしまうのではないかという懸念でございます。
議員ご指摘の通りでございます。一応今度の法制審議会の案ではこういう懸念に対応するために子との交流に関する審判の申し立て権者を基本的には父母だけに限っております。
そして祖父母などの親権親族からの申し立ては、他に適当な手段がないときに限って認めるということにしております。
そしてやはり祖父母とずっと例えば同居していてひどく強い愛着を持っているような場合に一定の認められる子供の利益のために特に必要であると認められる場合があるのではないかということで、相当制限的ではございますけれども、書き込んでございます。
川合孝典議員
ありがとうございます。さっきの法務委員会の質疑の中で民事局長に同じ質問を実はさせていただきまして、一方いわゆる別居親の方がお亡くなりになられた場合ような場合に祖父母の方が申し立てができるといったようなことをイメージしているという言い方をされたもんですから、審議会の方でもそういった議論されたのかなということで今確認をさせていただいたということです。ありがとうございます。
水野参考人
他にその出来たその他適当な手段がないときという意味で、典型的にはそのような場合を念頭に置いておりました。
川合孝典議員
ありがとうございました。次に鈴木参考人にご質問させていただきたいと思いますが、先ほど時間の関係で走られたのだと思うんですけれど、裁判上の離婚事由について、確か96年の法制審で歩方向性が出されたことを受けて、有責主義から破綻主義に移行するべきではないのかということについて、少しだけ触れられましたけれど、このことについて補足でご説明をいただければありがたいと思います。
鈴木参考人
ご質問ありがとうございます。96年の民法改正要綱案、国会には上程されなかったんですけれども、そこでは破綻主義ということで今は有責主義がそのまま残っているんですけれども、離婚にあたってもう夫婦の関係が破綻していればそれでもうなんだろう、争わないで旗離婚ができるというそういうような要件があの資料にもあげているかと思います提出されました。
それが通ればおそらく離婚にあたって相手を悪くするという相手を責めるそうしたことが減るのではないかなというふうに思っています。今、有責主義が残って裁判離婚になりますと実質的に破綻主義と言われていて、申し立てから3年程度、例えば実際には離婚できるとは言われておりますけれども、実際の申し立てに当たって相手をやはり責めるようなそういう状態が今残っておりまして、さらに言えば親権単独親権での親権を獲得するために連れ去って、そして離婚を申し立てるその中で相手を悪く言う。
そのことによってまた高葛藤になっていくということで、今回法改正でそのあたりが楽しく親権から変わるのであれば、その点は一つ葛藤が低くなるのではないかと思っておりますけれど、併せてその破綻主義についても改めて考えていただきたいなと思っております。以上です。
川合孝典議員
ありがとうございます。続いて浜田参考人にご質問させていただきたいと思います。私自身代表質問のときに浜田参考人と同趣旨の発言を実はさせていただいておりました。
「子供に対する義務が最優先されるべき」というのが私の基本的なスタンスです。ですので非常に共感を覚えながらお話を聞かせていただきました。
その上であえて弁護士である浜田参考人にご質問させていただきます。いわゆる子供の手続き代理人制度のことを少しお話をされました。
弁護士など専門家にアクセスしている比率がまだまだ低いということも問題意識としておっしゃったんですが、一方で実際に当事者の方が裁判の申し立てを行おうとしたときに、時間がかかるからということもそうなんですが、同時にお金がかかるからというのもこれも深刻な実は事情ということであります。従って海外などでは、いわゆる離婚訴訟にいわゆる成功報酬を認めないという国も実はあるということを資料で知りました。
成功報酬、つまりは離婚訴訟でたくさん養育費を取ってきたら、その分とってきたお金の1割から2割のお金が成功報酬として弁護士の方に入る。それは考え方によっては、子供の権利である養育費の一部とはいえ、成功報酬として第三者が受け取るということについて国がお墨付きを与えているのと同じことなんじゃないのかな――というふうにも実は思っております。
よって離婚裁判訴訟に成功報酬を認めないという考え方自体には一定の合理性があると思うんですが、私もこうした事例をならって、日本でも成功報酬ではなくて国が費用を負担するといったような形に最終的には移行させていくべきなのではないのかと思ってるんです。この辺りのところについて浜田参考人はどのようにお考えか、教えてください。
浜田参考人
ご質問ありがとうございます。弁護士はご承知の通り自営業者でございまして、報酬を頂戴しないことには……というところもございます。
委員ご指摘の通りでして、お金がない方からもちゃんといただかなくちゃいけない。これは実は別に離婚事件に関わる限りませんけれども弁護士としての葛藤があるところではございます。
ただその離婚案件ということについて見ますと一般の方で特にその女性の貧困などの問題もございます。費用を賄えないという方が多数いらっしゃる類型であるということは私も認識をしております。
委員ご指摘の例えば国費などを入れてということになりますと、法テラスの民事法律扶助制度というのがありますが、あれはあれで実は弁護士側としてはなかなかに使いにくいところがございます。
まず一つにはその基本の報酬が低いということ。逆のこと申しますけれども、その離婚紛争って離婚紛争だけで終わらないんですよね。
例えば婚姻費用の請求をして、何ら養育費の請求をして、無理だったらその執行申立てみたいなことで、事件数が増えていきますと、今度はものすごい金額が増えちゃうわけです。
そういたしますと、当事者の方からのあと償還をずっと受けていかなくちゃいけない。
せっかく確保したやつの中から「ごめんやけどこっちにちょっとくれへん」という話をせねばならないということで葛藤が深まるところがございます。
ですので類型を絞ってということになるんだろうと思います。国費でですねこのあたりについてはきちんとサポートするよという制度がいっそう法テラスがあるので、もうゼロだとは言いませんけれども、そういうの制度がもっと広がっていくと、一層弁護士としても関与しやすくなるのではないのかなと期待するところでございます。以上です。
川合孝典議員
ありがとうございます。両脇におられるのも弁護士の先生でいらっしゃいますので、なかなか度胸という質問ではあったんですけれども。
とは言いながらもやっぱりお金少し裁判にはお金がかかるという日本の司法制度自体の根源的な問題もやっぱりここには絡んできているということだと思います。
やっぱり婚姻制度、婚姻に対する考え方だとか、家族家というものに対する考え方がやはりこれだけ変容してきている状況の中で、今後自分たちの子供や孫の時代にどういうこの家族法制というものを残していくのかということをやっぱり考えるとなると、やっぱり今のうちからやっぱりそのことをイメージして議論しないといけないんじゃないのかなということを問題意識として私は思っております。ありがとうございます。
時間の関係がありますので次の質問に移らせていただきたいと思います。水野参考人にもう一点ご質問させていただきたいと思います。先ほどご発言の中でいわゆるDVの被害者への対策や児童虐待に対する対する対策が、日本は決定的に遅れているということを冒頭におっしゃいました。
私もそう思ってるんですけど、この今回の民法改正に伴ってこのDV被害者対策と児童虐待対策として、速やかに執り行うべき優先順位の高い事項は何なんだと先生は思ってらっしゃるでしょうか? 教えてください。
水野参考人
ご質問ありがとうございます。どちらも歩というところでございます。具体的には児童相談所が今ほとんどパンク状態でございます。そこでの人員、かつ今は素人の新入の役員が今一番きつい。というふうなことで児童相談所へ回されたりしておりますけれども、やっぱり対応する職員自身のお心を守るためにも、それなりの訓練が必要でございます。そういう訓練をした人間を大量に児童相談所などに配置をするここにお金をかけるっていうことがキモだろうと考えております。
DV対策ももちろんでございますけれども、DV対策もSOSを今かろうじてそういうSOSの書き込み提案になっておりますが、地方公共団体の御相談窓口であったりいたします。
そういうところの人員と対策をやはり拡充するいうことが行政的にいて、熱くなればそれが一番即効性があるかなというふうに思っております。
川合孝典議員
ありがとうございます。DV対策のことについて加えてご質問させていただきたいと思います。今例えば日本の場合にはそのDVシェルターは民間の取り組みを支援するといったような形で民間依存の体制になってしまっている。こうしたことも含めていわゆる共同親権というものが導入されることによって守られるべきは、深刻なDVから逃げていらっしゃる方々です。守るということが大切だという意味でいけば、DV被害者の方々を確実に守れるような枠組みというものをもっと国が主導して進めていかなければいけないんじゃないのかというふうに思っています。この点についてすいません、時間が来ましたので端的にお答えいただければと思います。
水野参考人
ありがとうございます。端的に議員のおっしゃる通りだと思います。ありがとうございます。
川合孝典議員
ありがとうございました。終わります。
仁比そうへい議員(日本共産党)
日本共産党の仁比そうへいでございます。どうぞよろしくお願いいたします。本法案で、果たして子供の利益を生み出していけるのかということについて。まず熊上参考人にお尋ねをしたいと思うんですけれども、私がこの参議院の審議に入りましてですね、しばしば引用させていただいています日本乳幼児精神保健学会の声明がございます。
その中でこういう引用記述があります。
「主たる養育者を初めとする周囲の人とやり取りし、優しく温かい声や、ウキウキするリズム心地よい身体的刺激などの肯定的な交流を得て、脳や神経が成長し、心と体を発達させていく。子供にとって、主たる養育者と、こうした幸せなやり取りができることは、生存と発達の重要な要素であるとそれゆえ子供の成長発達にとって最も重要なのは、安全安心を与えてくれる養育者との安定した関係と環境が守られることである」
こうした指摘について熊谷参考人はどんなふうにお考えでしょうか?
熊上参考人
特に乳幼児については、子供が安心して過ごすことができる、安心して寝られる安心して甘えられる遊ぶことができるこういう環境が絶対に必要であるというのは乳幼児学会の通りだと思います。
しかし、例えば、これは共同親権というふうにC5へケースで決定されて、共同にするか単独親権にするかの争い、あるいは監護者をどちらにするかの争い監護者が決まらなくて監護の分掌をどうするかの話。これは日常な行為なのかどうかの争い。急迫かどうかの争い常に子供たち常に親が争いに巻き込まれると当然、親がですね監護親がですね、子供乳幼児などを安心して育てるということが難しくなるのではないかというふうに懸念するんですね。
安心して子供と遊んだり寝かせつけたり、オムツ替えたり保育園連れていったり、保育園連れていっても、きっと子供たちを見守れるとそういったことが必要であるかと思います。常に双方の合意がいる状態になったり、それで争いが繰り返されるような状態に置くということはですね、そして監護者と子供との関係に不安定な要素というのは非常に残るのではないかと。やっぱり安定した養育者との関係というのは第1に考えなければいけないというふうに考えます。
仁比そうへい議員
そうしたことからだと思うんですけども、冒頭の意見陳述の中で共同監護につきまして、
「父母が互いにリスペクトし、子供の意向を踏まえて協議できれば、子供にとって双方から愛されていると感じ、子に好影響です」
というふうにおっしゃったと思うんですが、ちょっと別の角度で言うと、そうした子供のペースや意思が尊重されるような関係、父母間に、たとえ夫婦としては別れても、子供のを育てていくということに関してはそういう関係性というのが存在するということが、この共同監護を子の利益のために実らせていく上でのいわば条件といいますか、前提のように思うんですけども。いかがですか。
熊上参考人
お互いが夫婦が別れても、父母が別れても、今日子供の体調悪いから面会交流に行かせられないなとか、そういうふうにお互いが子供の体調とか都合、例えば野球の試合があるとかであるからちょっと今週は週末はいけないなとかですね。
そういうふうにすれば、子供は両親から愛されてると関心を持たれているというふうに思うわけなんですね。これを目指さなきゃいけないんですね。そうすると長期的にですね、子供は両方の親を信頼できるようになる。
一方で、そうではない。野球に行きたい少年野球の試合があってもきなさい。こっちの家に行きなさいとか、ピアノレッスンピアノ発表会あっても来なさいとかそういうですね、決まって決まったことだから裁判所で決まったから法的義務があるからやりなさいと、こういうことはですね、子供の心に深い傷を残すし、そういうふうに決めてはいけない日が多いこんなことで決め決めるとそういった子供の心に深い悪影響を起こすっていうふうに思います。
仁比そうへい議員
実際、子供のペースってすごく速いっていうか、大人とサイクルが違って、新しいのになっちゃって友達ができたのよと、誕生パーティーに呼ばれたんだけど今度の週末おうちにいていい?というような、そういうやり取りの中で、育まれていくものだなというふうに思うんです。浜田参考人が先ほどもおっしゃっていただいたんですけども、日常の養育に関する決定は、原則として監護者が行い、非監護者は監護者の権限行使を不当に妨げてはならないものとしてどうか、あるいはすべきではないか。
あるいは今後のこの改正案を前提にしたときの問題としては監護者の指定を定めれば、参考人がおっしゃってることと同じような効果をもたらすことができると思いますし、部会でもそうした議論があったと思うんですけれどもそうした提案をされるのは、今、熊谷参考人に伺ったような意味で、子の利益、あるいは児童の最善の利益に沿うものだからっていう、そういうことでしょうか?
浜田参考人
ご質問ありがとうございます。大きな意味で言うとおっしゃる通りでございまして、やはり子供の日々の養育の環境というのが安定するということは極めて大きな利益になるものと考えております。ですので、それのやり方として、その日常養育のところを広く捉えるとか、その反対非監護者はもう不当に妨げてはならないとか。というのが参考になるのではないかなということで申し上げました。以上です。
仁比そうへい議員
そこで葛藤の高い父母、しかも皆さんからですね。立場がそれぞれ違うんですけども、極めて厳しい批判が寄せられている裁判所によってですね、その子の最善の利益を見いだしていくことができるんでしょうかということが大問題なんだと思うんですよ。
その点でまず熊上参考人にDV虐待について現在の裁判所が認定できていないという厳しい批判がありました。これが一体なぜなのかっていうこと。
なぜ裁判官、あるいは調停委員会は、そうした深刻な権利侵害を見出せないケースがあるのか? そこはどうお考えでしょうか?
熊上参考人
家庭裁判所も様々努力はもちろんしてるとは思うんですけども、どうしても双方の言い分が対立してしまったときに、立場の弱い方を説得してしまうというような構造もあることも否めないのかなと。
例えば子供が会いたくないとか会いたいとか言ったときに、会いたいっていう場合であればすんなり決まることが多いんですけど、会いたくないってときに、次に1回ぐらいはどうかなとか、もうちょっと何回かできるかなとか。
そうすると何とか応じようというような仮に不安や恐怖を持っていてもですね。そういったことがしばしば行われて、DVや虐待をあえて無視しているわけではないんだけども、結果的に家庭裁判所も事件を処理しするためにですね。
調停などでそういった働きかけが行われてしまったり、またどうしても子供と会うということは良いことなんだというような考え方、これはプロコンタクトカルチャーなどというふうにも言われていますけども、そういったですね、ことで促すというような文化も今まであったのかなというふうにはもう思っているところです。
仁比そうへい議員
そうした文化の一つといいますか、プロコンタクトカルチャーというようなことでもあるかと思うんですが、ちょっと今資料が手元がなくなりましたが、先生がお書きになられた論文の中で、今日もご紹介がありましたけれども面会交流を実施してきた子供、それからそうでない子供の実態調査をされたとその報告の論文の中でですね、こうした調査は我が国では、これまで行われていないのではないかという指摘があります。
これ自体深刻に受け止めるべきことだと思うんですよ。みんなが子の利益が大事だと言い、2011年にはそうした趣旨の法改正もされている。以来、様々な子供の心理についての危惧が指摘をされながら、我が国においては、そうした検証がなされていない。というそのことについてどうお考えですか。
熊上参考人
どうしても家庭裁判所は司法機関ということで決定した後、なかなかその後の追跡というのが制度上なかった。そういう問題があるわけなんですけども、ただ現実にですね、その後、面会交流支援団体などを見てみますと、非常な不安と恐怖の中で子供を連れてく親がいたりとかですね。
そういうことを見たり、また時々子供が犠牲になるような事件も起きているということなんですね。
しかしながら家庭裁判所は種子法しか規定期間だからその後の追跡調査ができないというのは、一面それはあるとは思うんですけども、現実にその後の子供への悪影響がある、あるいは影響もある場合もあるかもしれません。
そういった調査というのは今後ですね、必ず必要だと思ってますし、それがない中で拙速なですね、例えば祖父母との面会交流なんていうものは本当に有効なのかとかですねそういったことを検証する必要があるかなというふうに思ってます。
親との面会交流でさえもすごくもめているのに、祖父母との面会交流っていうのが、例えば出てきて、子供がおじいちゃんおばあちゃんと面会することを法的に義務付けられるということがですね、本当に子の利益になるのかとかですね、そういったこともきちんと検証を考えていかなければいけないというふうに思います。
仁比そうへい議員
水野参考人、お尋ねしてよろしいでしょうか。先ほどのお話の中でこれからの819条の適用場面においてですね、DVと評価されたくなくて、共同親権を求める例が起こるのではないかと危惧しておられるっていうご発言があったかと思います。
22年、2022年の方が苦戦教室の論文拝見したんですけれども、DVや児童虐待のように家族間に暴力や支配があるケースにおいては、親権行使を口実に、加害者がつきまとい極端な言い方をすれば公認ストーカーを承認することになりかねないっていう厳しいご指摘もされているわけですが今、この改正案がそうならない保障といいますかここはどう考えておられるんでしょうか?
水野参考人
ご質問ありがとうございます。本当にそういう危険はどうしても残ると思います。それをできるだけ最小限にするしかない。これが全くないようなケースっていうのは、それはもし共同親権を認めなければ、そういう事態がない。なくなるかといいますと私は決して、そうではないと思います。といいますのは、そこにもご覧いただいてありがとうございます。私の論文にも書きましたように、現実にそういう事態がたくさん起こっております。そしてそういう現実にたくさん起こっている事態で日本の社会は、DVというのは児童虐待環境でもあるわけですけれども、そこから被害者たち子供たちをきちんと救えていないよりマシな形でどうやって制度設計できるかいうことで日本はそこのところが非常に遅れているので、そういうリスクがあるということを書いたまででございます。でも単独親権にしておけばそのようなリスクは失われるとは私は思っておりません。
仁比そうへい議員
この改正が改正案はもちろんなんですけれども、現行の家族法と裁判所において典型的にはDV虐待の問題が言われてるわけですけども、これが解決されてるのかというと、そうではない。っていうことをあの先生もおっしゃってるのかなっていうふうに思うんですね。ちょっと本当に時間がなくなって申し訳ないんですが、鈴木参考人ちょっと1点だけお尋ねしたいんですが、あの面会交流の判断が裁判所によってされたケースであるにも関わらず会えないという点を出していただいたんですが、そうした父母の場合にですね、親権を共同に行使するってのはちょっと有り得ないように思うんですけど、そこはいかがですか。
鈴木参考人
ご質問ありがとうございます。今、現在の時点でいくと、難しい点もあろうかと思うんですけれども、その前提としてやはり親権を奪い合うというような前提が今あるのでそうなっている人たちも多いと思います。
ですので文化としてその点を変えていただくことによって、親権を争わないで済むそうなれば、場合によっては面会交流というよりは共同養育・共同親権になっていく人たちも増えていくのではないかなというふうに思っております。
仁比そうへい議員
果たしていいのかということだと思います。ありがとうございました。