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歌始まりが多くなっているショート時代 もっとイントロという余白にときめいて欲しい
自分で統計を取ったわけでもなく、特に何かしら公式見解のデータが発表されてるわけでもなく、あくまでただの僕の肌感覚という前提で話を聞いてもらいたいのですが、近ごろJ-POPにおいて歌始まりの曲が増えている傾向にあると思っています。
特に若い世代に支持されてる(同世代)アーティストさんなんかの曲は。
(※くれぐれも”僕はそう思う”という肌感覚前提で書き進めます悪しからず)
その理由を考えてみた時に、ひと昔前までの”音楽というのはCDコンポの前で歌詞カードを眺めながらじっくり腰を据えて聴く”という概念は今は昔、サブスクなりYouTubeなりで本当に気軽に”ながら”で聴く存在に成り代わっている部分はあるのかなと思います。
1曲1曲をじっくり嗜むというよりも、次次次とインスタントに曲を数十秒くらいで消化していく時代なわけで、音楽の楽しみ方もどんどんショートになっていってるのは抗えない事実かと思います。
なので、イントロを数十秒じっくり聴かせるよりも、とにかく再生したら即歌!みたいな曲が増えているのもひとつの風潮なのかなと考えます。
CMで流れる15秒はタイアップとして即インパクトを残すためサビを切り取るのが当然ですが、もはや曲単体でもそういう空気なのかなと。
歌モノの場合は「歌部分」がメインディッシュなわけで、イントロや間奏、エンディングはあくまであしらい担当だったり、歌というメインイベントに向けてのジャンプ台の役割を担っているのは当然であります。
一曲をじっくり腰を据えて聴くというのが当然の時代は、聴衆にはそのプロセスをじっくり楽しでもらえたものですが、可処分時間の奪い合いが熾烈なショートショートショートの時代では、そんなまどろっこしい事をしている余裕もなく、とにかくメインからお出しするっていう考えは理にかなっているなと思います。
そういえばどこかの著名なアーティストさんが、まだ全然お客さんが居なくてストリートライブに明け暮れていた時代に「少しでも多くの人に足を止めてもらうために敢えてサビ始まりの曲を作るよう意識していた」みたいな事をテレビで仰っていた記憶があるのですが、まさに同じ理屈かと思います。
それはそれはとても現代にアジャストした理にかなっている話だというのは十分に理解した上で…
イントロというものを出す事が多い当事者としては、あの「イントロが鳴った瞬間のときめき・高揚感」というものはやっぱり大切にしたいし、無くしちゃいけないお客さんへのロマンスだと思います。
もちろん歌始まりでもその「キター!」感は存分に演出されると思うのですが、やっぱりイントロが鳴った瞬間のあのときめきは”ならでは”のもので、そこから歌というメインディッシュに繋ぐためのあのひと時は、極上の余白だと思います。
『愛は勝つ』のイントロピアノが流れた瞬間の高揚感、『I LOVE YOU』のイントロピアノが鳴った瞬間のときめき(世代!)。
イントロという役割が持つあのロマンスは絶対に絶滅させちゃいけないと思うわけなのですが、だからって老害よろしく「もっとイントロってものをみんな大事にしようぜ!聴こうぜ!」みたいな物の言い方をするつもりはなくて、散々申してますように時代感を考えたら「とにかく歌!」みたいな考え方は理にかなってると思うのです。
ですがイントロが鳴った瞬間のときめきはやっぱり尊いものだと思うので、表現する側がちゃんとひとつひとつの曲を「イントロが鳴った瞬間にときめいてもらえる」という所まで育てるという一貫性を持つ事、流行り廃りに流されない信念を持つ事が大事なんだろうなと思います。
僕はピアノという役割上その曲の第一声を鳴らす機会も実に多く、時にピアノが鳴った瞬間に客席が「…来たぁ」みたいな空気に染まる感覚を何度も経験してきたからこそ、その風潮には抗っていきたい部分であります。
と言う事は結局、弾く側としてもそこにとんでもないときめきが在るからこそって話なわけだ。なるほど。
腑に落ちたところで終わります。
有難うございます。
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