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勝ちにいくための「憧れを捨てる」じゃなくて、別で咲くための「憧れを捨てる」
何もミュージシャンという生き物に限らずの話ではあるんですが、経験則として書ける部分が大いにあるので、ひとまずミュージシャンというカテゴリーの中で書いてみます。
一概には言えないという大前提はありますよという上で話を進めますのでご了承ください。
基本、ミュージシャンは憧れから始まります。
もしくは道中で憧れが現れます。
そして分かりやすくその憧れの真似をしようと試みます。
とある著名なミュージシャンに憧れたとしたらば、片っ端からその方の曲やフレーズ、表現なんかをコピーします。
さらに憧れを拗らせてしまったらば、その方が使用しているものと同じ機材を買います。少々値が張ろうが時にはローンを組んで買います。
もっと拗らせてくると髪型や服装等ファッションも真似しますし、ライブでのステージングなんかも真似します。
※もしくは勝手に似てくる
オリジナル曲を作曲するようになったらば、もしかしたら曲すら似てくるかもしれません。
なんにせよ全くのオリジナリティスタートなんて存在せず、誰だって最初は憧れ(そして真似)から始まるのは事実です。
それをルーツと呼びます。
ですが、そのルーツは必ずしも初志貫徹されるかと言われればそうでもなくて、どこかのタイミングで断捨離される時が来ます。
それは上書き的に自分の中から除外される場合もありますし、自らの手で捨てる場合もあります。
前者は別の憧れが現れた場合。
後者は自分を弁えた場合。
両パターンをそれぞれ噛み砕いているとちょっと長くなるので今日は後者のほうを書いてみたいんですが…
いや、正確には後者を経て前者みたいな話かも今日は(読んでいただければ分かります)。
20歳そこらの頃にすんごい憧れを抱いたピアニストが居ました。
なのでその方のアルバムは発売する度に買って聴き込んで、本人監修の公式楽譜も買い集めました。
そして自分なりに努力を試みるのですが、程なくして諦めました。
どれだけ頑張ってみても真似事にすらならないと自覚したため。
(あくまで自分なりにですが)
もちろん全ての時間・労力を捧げ続けて少しでも追いつけるように頑張ったら、真似事レベルにはなれたのかもしれませんが(たらればの域は出ません)、果たしてそこに全精力を注ぐのが正解なのか。ただただ時間を溶かし続けるだけじゃなのかと自問自答したわけで。
結果、そこの憧れを捨てました。
正確には「憧れは憧れとして…」と割り切りました。
努力云々以前におそらく積んでるエンジンが最初から違うわって感じで、いい意味でさっぱり諦められたので。
努力は嘘をつかないと思いますが、努力で万事どうにでもなるとも思いません。
子供の頃、足が遅かった僕はどれだけ頑張ってもあからさまに手足の長さが違う同級生にかけっこで勝てませんでした。ぶっちぎられていました。
小学校一年生のかけっこなんて生まれつきの才能=結果みたいなもので、「努力の差だ」なんて理屈はどう考えても通りません。
あそこで僕が「あいつぐらい早く走りたい」とずっと思い続けて、来る日も来る日も走りまくっていたとして、それでも全くその努力をしてない人より早く走れるようになるかと言われたらいささか懐疑的です。
ある時、体育の授業で「なわとび」という存在に出会いました。
初めてやってみたら二重跳びがいきなり数十回飛べました(本当に!)。
結果的に足では全然クラスメイトに勝てませんでしたが、なわとびは誰よりもぶっちぎっていました。シンプルに手が合う存在だったんでしょう。なわとびってやつが。
その時に、足が速いって部分に対する憧れ…というか対抗心みたいなものは完全に消え失せて、なわとびに時間を費やしまくるようになります。
踏まえて話をピアニストに戻しますが、CDを聴き漁って楽譜集まで買って鍛錬を重ねても一向に真似事レベルにすら達さない中で、「この時間って溶けてるだけじゃないの」と思い始めた頃、「この人かっこいいな」と思うピアニストが別でちらほら現れ始めます。
真似事レベルにすら達せない人は一旦隅に置いて、そんな別のピアニストのコピーを始めてみました。
なわとびレベルとまでは到底行かないですが、なんか自分の中でいい感じに真似できてるっていう肯定感が生まれました(あくまで当社比です)。
頑張れば頑張るだけどんどん似ていく実感をしました。
それがとても楽しくて結果的にモチベーションにもなりました。
あそこで最初の憧れを捨てきれず、真似事レベルに達せない自分をちゃんと理解せず拘り続けていたら、間違いなく今の僕はなくてもしかしたら皆さんの前でピアノすら弾いてなかったかもしれません。
どこかで絶望しきったまんま年だけくって「いい加減就職」みたいなほうに流れてた可能性も少なからず。
大谷選手の「憧れるのはやめましょう」は相手に本気で勝ちに行くマインドとしてのひと言なんでありますが(カッコいいっすね!)、僕としては憧れるのをやめる(割り切る)事でもっと自分の肌に合う、手の合う別の景色が現れるっていう意味での、憧れを捨てるという解釈もあるよなと思うわけで。
結果、表現者としては豊かなほうに歩めたと自負しています。
(もちろんまだ道半ばですが)
ただ、まだ溶かせる時間があった時分に自分なりにやってみた結果「ここへの憧れは捨てましょ」と道中で割り切れたわけで、早いうちから何にもやらずしてそんなことをいけしゃあしゃあと言うのはあまりにも稚拙だとも思いますが。
みたいなね。
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