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【フリーランスの気概】 ホラを吹いて、見栄を張って、とりあえず嘘をついて、あとでどうにかする。

今日書く話は“僕あるある”でマイノリティなのか、割とこの仕事あるあるなのか、いやそもそもどんな職種であれ(主に個人事業主・フリーランスなら)あるあるなのか…その辺りの興味本位も含めて書いてみたいのですが。

僕含め何の雇用形態も保証もないフリーランスというやつはひとつひとつの仕事・オファーをとにかく細い細い線で繋いでいく日々なわけで、会社という所に雇用されていて自ら掴みにいかなくとも仕事というものを与えてもらえて、それらをこなしていたら毎月まとまった定額が給金されてというわけにもいかないわけですから、とにかく受け身では話にならないのがフリーランスの常。

なので特に若い頃、まだまだ全然仕事という存在が潤沢でない頃はとにかくひとつでも多く仕事が欲しくて、一日また一日とカレンダーが埋まる事にイチイチ安堵してという日々でありました。

有難い事に今では(大変生意気ながらも)多少仕事も選ぶようになり、昔みたいにとにかく埋まらないと不安だし途切れたら終わってしまうって事でなんでもかんでも受けまくるとか、自分からゴリ押して仕事を掴みに行く一辺倒なスタンスではなくなりました。

今は「カレンダーが埋まらなきゃ不安」とか「フリーランスとしてオファーをいただけるだけ有難いから関係なく受ける」みたいな事よりも、オファーに関してはまず大前提としてその仕事(内容やチーム・人)にときめくかどうかっていうふるいがあって、あとは自分にとって得かどうか(金銭以外)。

ましてやソロ活動を本格的に始動させたことで、気付けばオファー待ち一辺倒じゃなくて、自ら仕事を作るという部分に特化している昨今なので尚更です。

なので冒頭で“僕あるある”と言いましたが、正確には“僕あったあった”みたいな話なんですが、バイト三昧でとにかく何でもいいから音楽の仕事が欲しいっていう時期に自分が大事にしていた事として、「見栄を張る、ホラを吹く、とりあえずまず嘘をつく」って話があります。

専門学校に通ってた時に、キーボード奏者としてひと回りもふた回りも上の大先輩方から初めてしっかりとギャラが支払われるお仕事のオファーをいただきました。

ゴスペルクワイヤーのコンサートのバックバンド。
曲数はざっくり20曲ほど。当然全てゴスペルナンバー。

当時、当方ブルースに傾倒したのちハードロックばかり聴いてた学生風情。
ゴスペルナンバーのゴの字も知りません。
(“天使にラブソングを”で使われた曲を知ってる程度かな)

僕以外のミュージシャンは芸歴20年超え選手のベテラン方ばかりなので、そのノリで話も組まれています。

リハは前々日にバンドだけで数時間が1回。
で、前日にクワイヤーの方々と合わせが1回。

今このキャリアになると20曲でリハ2回は、まあちょっとシビアっちゃシビアですが全然あるあるで、当時の先輩方からしたら今の僕と変わらぬ感覚なわけなので普通にそういうスケジューリングになってたと思うんですが、学生風情からしたらたまったもんじゃありません。

マジかよ。いやきついきつい。怖い怖い。

なのですが、その諸々の旨を踏まえたうえで「….って感じなんだけどどう?やれる?」ってオファーが来た時に開口一番「全然いけます!お願いします!」と返すわけなんであります。

これはもう見栄も見栄でホラもホラで、その時点で「全然いけます」なんて嘘でしかないのであります。

でもそこで「…ちょっと不安ですが頑張ってみます」とか「20曲ですか…ゴスペルですか…あんまり知らなくて」なんて雰囲気を一ミリでも見せようものなら「あ!なら他当たるんで全然大丈夫!ごめんね!ありがと!」でジ・エンドな世界なのであります(当社比)。

ライブオファーだけに限らずクリエイティブ系の仕事でもそう。

例えばアレンジのお仕事のオファーの場合は「せっかくなんで西村くんにアレンジをお願いしてみたいんだけど、○○風の曲のイメージなんだけどどうかな?」みたいな感じでオファーをいただいた時に、その○○がまったく僕の守備範囲でもなく全然聴いたことない種だとしても「全然大丈夫です!お願いします!」とまずホラを吹くんであります。

で、そこからその○○に当たるアーティストの曲を必死に聴き漁って(当時はサブスクとかもないからTSUTAYAで片っ端からアルバムをレンタルして)、集中的に一気に詳しくなってその勢いのままにアレンジを提出して「おお!イメージ通り!」という評価を得る。

やったことも聴いたこともないものに対して「全然大丈夫です!」と言ってる段階では思いっきり嘘なんでありまして、でもやっぱりそういうひとつひとつのオファーを逃したくないものですから、とりあえず嘘から入って結果で嘘じゃ無くすみたいな。


スケジュールという側面でもそう。
「2日後までに欲しいんだけどどう?」と言われた時に、いやこれ40時間くらい起き続けないと無理だなと分かってても「全然いけます!」と即答するわけで。

まあこれはホラとか嘘というよりも“睡眠は大事”とかいう、そんなもん当たり前やんっていう正論を知ってるうえで「無理してナンボ」の話ですが。


書きながら思い出してきましたけど、「全然俺のほうがいいピアノ弾くっすよ」とか言って一度強引にサポートに入らせてもらうみたいな事もちょこちょこしてた気がします。

その“俺のほうが”とか言いつつ、他の人がどんなプレイするのかそこまで知らないんで、これも完全にホラや見栄の部類ですわね。

道中でも書きましたが今はさすがに「なんでもいいから仕事くれくれくれ」とかじゃなくて、ワクワクできる事、ときめく事に時間を費やしたい、何だったら自分でその時間を作る…みたいな感じですから(生きていくためにという側面も含めてね)、主にとにかくバイトバイトバイトな日々が不安で不安でひとつでも多くの音楽仕事を掴みたくてって血眼になってた時の話であります(今は後輩に仕事あげたりもしますし)。

まあ、とは言え今でも「(やったことないけど)全然いけます!」とついつい見栄を張っちゃうシチュエーションってたまにあって、それはきっと心がときめいていて逃したくないっていう事なんだっていう指標になってる部分もあり。

みたいな事をちょろっと思い返した時間があったので書き起こしてみた次第です。

案外、どんな仕事でもあるあるなんですかね。



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