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音の届き方は時に"かき氷の味"みたいな適当な部分があって...

音楽(演奏)の届き方なんてのは時にかなり曖昧というか適当なもので、言うなれば"かき氷の味わい”みたいなところがありますよねって話を書いてみる今日です。

夏と梅雨がクロスフェードしているこの時期、ぼちぼち"かき氷”なんてものが似合う季節に突入するのかと思います。

その"かき氷"の味の仕組みと、先日目にしたとても素敵な僕(のピアノ)への感想がバチっとハマったので、ちょっとその辺りを噛み砕いて書いてみます。
(多分よく分からないかと思うのでちゃんと繋げます)

ここでひとつ引用したい文章がございます。

西村さんのピアノってすごく好きなんです
2回しか聴いてないけど
西村さんがピアノを弾くんじゃなく
ピアノと一緒に音を鳴らしてる感じ!!
鍵盤を叩いてピアノが鳴ってるんじゃなくて
西村さんの指先とピアノの鍵盤からすごくエネルギーを感じる。
それが繋がる感じというか
西村さんとピアノが一緒に楽しそうに遊んでたり
一緒に感傷に浸ったり
一体感がすごかった。
ピアノの技術なんて全然わからないけど
でも心地いい、心が動く

岡本樹一郎さんのFacebookより


これは先日の七尾でのオンラインライブの現場にボランティアスタッフで入ってくださっていた岡本さんのFacebookの投稿の一文なのですが、自分事で恐縮ですがこのレビュー大好きなんです。
(岡本さん有難うございます)

で、今までもこういう類の事は多々言って頂いてきましたし、僕も自覚している部分もあります。

いつも「アモーレ」なんて表現をしたり「まぐわる」って表現を堂々としてるんですが、特に手の合うピアノさんだったりその日の相性とか呼吸とかもうバッチリだねってゾーンに入れば入るほど(本当に申し訳ないんですが)、目の前のお客さんの存在とか完全に忘れて、二人の時間に没入する事がしばしばあります。

時に演奏しながらピアノの体に頬擦りしたりする事もあるくらいです。
(これ本当ですよ)

で、そこに別に「演出」とか「狙ってやってる」みたいな腹積りは一ミリもなくて、いつもいつもそこは野良行動で動物的感情だったりします。

むしろだからこそ先ほどの引用分のような感想を持っていただけるのかと思います。やっぱり「狙ってる感」って透けちゃうものなので。

本当に素直すぎるので(プロとしてどうなんだって部分は置いといて)、全然あかんわコイツってお互い思ってる時なんてのは、こちらも終始冷たい態度で演奏してますしピアノの鳴りもよろしくないです。
(それはそれで楽しんでもらえてるから有難い)

今年の春先からピアノと二人きりでステージに立つ事がグッと増えました。

なので当然いろんな方からいろいろ感想をいただくわけですが、やっぱり「とにかく(ピアノと共に)楽しそうだった」っていう時の評判がダントツに良い。演奏の細かい事とかよく分からなくとも。

そうなんです。

すっごく語弊がある書き方かもしれませんが、ピアノって楽器はある程度のレベルの演奏だったら基本全部良いんです。プロ目線じゃないお客さんの耳の心地として。

プロ目線の60~100点の幅ってだいたいのお客さんからしたら全部100点だと思います。ある程度ピアノが上手い人の演奏なんて全部それくらいの感覚で聴いてらっしゃると思います(技術的な部分で)。

もちろん同業者だったりクリエイティブな仕事をされてて割と目や耳が肥えてる方は話は別ですが、一般的には正直技術的な違いとかってそんなに分からないと思うんですよ。
(あとクラシックコンサートとかジャズバーに通いに通いまくってる人とかね)

そんな中で「なんかこの人のピアノ良い」って思ってもらえる部分って、実はそんな細かいテクニックとかマニアックなこだわりとかじゃなくて、言ってしまえば"雰囲気"なわけでありまして。
(だからってテクニック面がどうでもいいって話ではないのであしからず)

ちょっとここでかき氷の話をします。

ご存知の方も多いと思うんですが、あれって味ないらしいじゃないですか。
いや、正確には味はついてるんだけども全部同じ味なんですってね。
メロンだろうがレモンだろうがイチゴだろうがブルーなんとかだろうが。

でもメロンの味に感じたりレモンの味に感じたりするのって、匂いと色らしいじゃないですか。
全て同じ味のものに香料と着色料を加える事で、その味がするって錯覚するわけですよね。

そのかき氷の味を音に置き換えてみても同じ事が言えるんだろうなって部分があって、同じレベル(クオリティー)ぐらいの演奏でも、ソイツが出してる色や匂いみたいなもので全然音が変わってくるっていうのは事実あって、そこがバチっとハマって三位一体で届いて初めて「この人のピアノが好きだ」と思ってもらえるのかもなぁ…と。

かき氷のイチゴをイチゴ味として美味しいと思える理由は、シロップの旨味にイチゴの香料と赤の着色料が合わさってるからこそであって、その香料と着色料(雰囲気の部分)がチグハグだと「まあ美味しいけどイチゴの味…する?」になっちゃうわけなので。

メロンの香料にレモンの着色して「イチゴ味」で売ったらもうわけわからんことになりそうじゃないですか。味が一緒なのに。

でも僕なんかが偉そうに申し訳ないですが、そんな感じになっちゃってる人たまに居るのも事実で(個人の感想です)。
※だから結局まっすぐ音が届いてこないというか

例えイチゴの香料をふってたとしても着色されてなかったらイチゴ味感は薄れるんだろうし、「それなら赤く塗ってくれよ」と言われてしょうがないわけなので。

先ほど引用させてもらったレビューもそうなんですが、今年に入って一人で演奏する時間が増えていく中で、改めて「見た目・雰囲気」って思ってる以上に音楽(の届き方)に直結してくる…というかもうほとんどそこなんじゃないかとすら思う今日この頃。

そろそろかき氷でも食べたいなと思ったところから膨らんだ脳内の垂れ流しでした。

ここまで読んで「何が言いたいのかよく分からん」って人は一度ライブ観てもらえば分かってもらえるのかと。

もしかしたら「みぞれ」みたいな日に当たるかもしれませんが。

では。



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(Top picture by 泉 健也)

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