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高校の軽音部の子たちとピアノで遊んできました
昨日、ちょっと珍しいお仕事をさせていただいたので今日はその現場でのお話と、そこで思ったアレコレについて書いてみます。
お恥ずかしながら存じ上げなかったんですが「全国学校軽音楽部協会」っていうNPO法人の団体があるそうで、部活動としての軽音部の支援のために日々全国で尽力されているそうです。
昨日はその活動の一環で、人づたいにお声がけをいただいて滋賀県の高校に行ってまいりました。
僕らミュージシャン側の主な役割としては、前半はパートごとに教室で分かれて自分の専門楽器(僕で言えばキーボード)と同じパートを担当している子たちへのレッスン(2時間ほど)と、後半は広い会場に場を移して軽音部の子たちが実際に普段組んでるバンドでライブを披露してもらって、それに対してあれこれプロ目線でお話をするみたいな事。
長机に各パートのミュージシャンが横並びで目の前に座っていて、終わってから一人ずつマイクを回してって感じなので、雰囲気的にはオーディションと同じようなちょっとヒリヒリする感じかもしれません。
(僕は終始楽しんでましたが)
で、コンセプトの面白い所が、滋賀県の高校と言いましたが決してそこに通ってる高校生たちだけじゃなくてかなりの数の高校から集まってるんですね。
要は会場がその高校というだけで、そこに居る子は滋賀県内のありとあらゆる高校の軽音部の子たちなので、制服もバラバラだし初めましてみたいな人たちも多数だと思います。
だから後半のライブの時とかは他校の学生同士で「○○高どんなもんなんだろう」みたいな空気だったんじゃないでしょうか。
確かにひとつひとつの学校を巡るよりも、ひとつの学校にあちこちから軽音部集めたほうが効率も良いですし彼ら彼女らの刺激にもなるだろうし、これは素晴らしいなと思います。
なのでパートレッスンを教室でしている時に(高校の教卓に初めて立った!)、いろんな制服の子たちが席に座ってるという実に貴重な経験をさせてもらいました。
という、なかなか味わえない現場を経験させていただいたんですが(ちなみに兵庫県の高校にも今度行く)、そこで実際に軽音部の高校生たちと短い時間ながら対峙してみて思ったこと。
まず、僕の心構えとして。
例えば専門学校だったり例えばどこかのレッスン教室だったりという感じで継続的に時間を共有できる場合ならともかく、今回はその2時間のみの一本勝負です。
なので「レッスン」をしてくれというオファーではあったんですが、そもそも継続できる関係性ではない以上、僕の中では「いろはのい」とか「こういうことを知ったりこういうことを練習すれば云々」みたいな時間にはあまりしたくなくて。
それは単純にその後の成果を知れないからっていうちょっと女々しさにも似た部分。
例えばこれが数回ありますという感じだったら「次回までに」という成果を知れる楽しみがあるんですが、もしかしたら一生会わない子たちかもしれないので、せっかく軽音部に入ってキーボードっていう楽器を選んでくれたので、とにかく「ピアノ弾くってむっちゃ楽しいやん!」といかに思ってもらえるかの一点張り。
ですのでノープランで丸腰で現場入りしてただただずっと一緒にセッションしたり連弾したりしてました。
(あ、もちろん最低限のノウハウはお話しましたよ)
ちょっとだけ話が逸れますが、レッスンプロとしてキッズコースとかも教えられてる知り合いのミュージシャンが前に言ってた事で印象に残っていることがあって、それが「一週間経ったら別の生き物になっている」という言葉。
とにかく子供の吸収力、成長速度はエグいものがあって、楽器にしても自分たちが数ヶ月毎日練習してようやくそれくらい伸びるくらいの伸び率を一週間くらいで見せてくるみたいな話。
これは楽器関係なく「大人の成長」と「子供の成長」の速度、吸収力なんて比べ物にならないのは当然なんですが、でもやはりリアルに対峙したら改めて驚くんでしょう。
昨日はちょっとそんなことを感じたというか、たった2時間の中でどんだけカッコよくなるんだコイツらはって驚きに驚きました。
上手くなるというよりもどんどんカッコよくなっていく感じ。
先ほども書きましたが継続的な関係ではない以上、技術的なことよりも楽しむに重きをおいた時間しか過ごしてないので「上手くなる」という感覚とはちょっと違うくて。
ただ「とりあえず現状一人一人がどれくらい弾けるのかわからないからなんか弾いてみて」と冒頭でこちらがお願いした時に、そのうちの一人一人から出てきた音と、最後に全員から出てた音はもうハッキリ雲泥の差で。
とにかく全員、音が楽しそう。
最初は無味無臭だった音から、いろんな味がするしいろんな香りがするしいろんな色が見える。
僕としては完全に狙い通りだったので多少の自負心はありつつも、それよりも「にしてもこの2時間で(前半ずっと喋ってたから正確には1時間くらいかな)こんな変わる?」って感動はすごくて。
そうなるとこっちも楽しくなっちゃって、最終的には誰よりも一番子供っぽく鍵盤叩いちゃいましたが。
そんな時間を過ごしている中で思いましたけど…
僕もこの年になっても未だに学生の延長みたいな気分で青春みたいな時間を過ごしているから昨日の子たちと全然種類が変わらないって部分が普通にあるっていうのと(ちょっと長く生きてるだけ)、そもそも憧れの時間を過ごさせてもらった嬉しさみたいなところもあったのかも。
というのも僕が通ってた地元の高校には軽音部がなかったんです。
(僕の高校に限らず一帯なかったんです)
で、当時はネットも無い時代ですからそもそも「軽音部」という単語すら知りませんでした(そういう部活がある存在を知ったのは大阪出てきてからです)。
なんとなくずっと軽音部というものに憧れを抱いていたところはあって、そんな中、昨日はリアルに高校の中に入らせていただいて、リアル軽音部の子達が一生懸命楽器鳴らしてる姿とか、みんなで楽器運んでワイワイやってる空気感とか、そういう空気感を肌で感じながら「プロミュージシャン」としてお邪魔させていただいてるものの、どこか「一日体験入部」みたいな側面も自分の中にあって、だからこそ変に準備してレッスンみたいなことをするというよりも一緒に音楽で遊びたかったのかもしれません。
(今思い返すとね)
キーボードパートの子は1年生が多かったので将来まだまだこれからという中で、ただの部活の一環としてピアノを弾く三年間になるのか、なんかちょっと夢見ちゃうのか、昨日僕と対峙してくれた子たちがどうなっていくのか全然分かりません。
もう二度と会わないかもしれないし、数年後にいきなりどこぞのライブハウスで会うかもしれない。
人生どうであれピアノは弾き続けてほしいな〜と思います。
で、そのきっかけのひとつとして昨日の2時間があればいいなとも思います。
「プロミュージシャンの世界を夢見たけど人生そんなに甘くない」とか既に言っちゃう子も居て(早いよ!早い!)、烏滸がましくも「夢を見せたい」という気持ちになった一日でございました。
とても素敵な活動だなと思うので、微力ながら今後も軽音部協会の皆さまの活動を応援させていただこうと思います。
(もしかしたら昨日の模様は協会のホームページとかに載るのかな?)
そんな感じでございます。
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自分の作品創りのプロセス、最新の進捗状況(音源)の共有だったり日々の活動の中でのあれこれのかなりコアな部分を掘り下げてますので、よろしければ覗いてみてください。
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