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『ホンジツ島のマジックアワー』

ここについて書くか否かは多少悩みました。
それなりに悩みました。
ポン酢でいくか、ゴマだれでいくか程度には。

が、こうやって真正面から記事タイトルを付けて今こうやって書き始めてしまっているので、このまましっかり書いてみようと思います。

主催『一茶企画』、制作総指揮・脚本・演出『高橋伊久磨』の体験型ミュージカル『ホンジツ島のマジックアワー』の公演を一昨日に観劇させて頂いたので、その作品とそこに纏わる諸々について。

多少迷った理由として”纏わる諸々”がいろいろありすぎるという部分があるんですが、どうしてもその辺りを割愛して表向きに「いい作品だったよ!みんな観に行ったほうがいいよ!」みたいに、ひと言でふわっと収める性分でもないわけで、だからこそ書く方としてはけっこうカロリー高い記事になっちゃうなっていうのが自分で分かるので、多少迷ったという話です。

ですが、こうやって書く事で微力ながら作品の一助になればいいかという事で、書いてみまっす。
かなり個人的な感情面の話になりそうですので、悪しからず。

今年に入ってから7時半投稿に固定している中で、今日もしっかり早起きして筆を取っているわけで、普通に考えれば7時半までに書き切るには十分な時間がありますが、あまりに文量が嵩んだ結果その時間を過ぎちゃったら、それはもう伊久磨のせいです。これもまた悪しからず。

というわけで『座・高円寺』という、文字通り高円寺にあります劇場で1月9日(木)から17日(金)まで公演されている『ホンジツ島のマジックアワー』という作品を観させていただきました。

制作総指揮・脚本・演出、ならびにプレイヤーとして出役も担っている高橋伊久磨くんの渾身の作品なわけですが、彼とはミュージカル『えんとつ町のプペル』大阪公演(以下:大阪プペル)で“演出家”という立場と”劇伴ピアニスト”という立場で出会いました。

準備段階から、ひと言、ふた言どころか何万言あっても足りないくらい、とにかく濃厚な数ヶ月を過ごしたわけで、戦友という言葉が一番しっくり来ます。

その作品以降もお互いいろいろ新しい事を頑張っていたり、はい次!と前に進んでいる中でも、きっと10年後も20年後も大阪プペルの時期の事で熱くなって酒を飲んでいる姿は容易く想像できます。

今こうやって書きながらも簡単に回顧できますが、とにかく毎晩のように飲んではクリエイティブの事も人間的な事も、そんでもってこれからの事とかも含めて語りに語っていたあの時期は、数ヶ月の事とは言え僕の中でしっかり刻み込まれているひとつの青春であります。

それ以降、別に何か一緒に作品を創ったりするわけではないし仕事をご一緒するわけでもないんだけども、事あるごとに飲む時間はあってどっぷり付き合いは続いているので、珍しく素直に“友達”と呼称できるヤツかもしれません。

そんなお友達の伊久磨くんが、「国産ミュージカルで5年・10年のロングラン上演を目指す!」という並々ならぬ覚悟と決意のもと『ホンジツ島のマジックアワー』という公演のプロジェクトを立ち上げた時は「おお〜頑張ってんなぁ〜」って感じで、素直な応援の気持ちと同時に自分も頑張ろうという刺激を頂いたものであります。

僕は僕で日々の活動があるので、横目にという言い方をするとちょっと冷たいですが、特に何かしら情報を追っていたわけでもなく「公演始まったらどこかのタイミングで観に行けたらいいな〜」と思いつつ、自分の持ち場を頑張っていたわけで。

ですが、ある時期からこちらがアンテナを立てなくとも、コミットせずとも勝手にどんどん『ホンジツ島のマジックアワー』についてのセンセーショナルな情報が耳に目に入ってくるようになります。

このままいったら大赤字だとか、とても一人で返せない額の借金を背負う事になるだとか、それによって作品に携わるたくさんのクリエイティブスタッフを不幸にするだとか、まあとにかく刺激的な話が次から次と。

その流れにグラデーションがあったのか、いきなりピークの空気だったのかは分かりませんが、僕が「なになにそんな事になってんの!?」と状況を把握しにいった時にはもう伊久磨くんはハッキリと火の車状態で、その模様をプロジェクトとして全て垂れ流していた事もあって、誰がどう見ても窮地に追い込まれているソレでした。

いや、自ら己を窮地に追い込んでしまったという言い方が残念ながら正しいかもしれません。

さすがにそんな状況をこの目で一度インプットしてしまったら、それまでみたいに公演を楽しみにしつつも横目にってわけにもいかず、どうなんのよ大丈夫かよって感じで、ちょこちょこ進捗を見守るハメになります(勝手にね)。

5年・10年のロングラン公演とか言ってたのが、自己破産だとか撤退だとかこれ以上ない真逆のパワーワードも飛び交い始めて、側から見てたらストーリーとしてハラハラ・ドキドキのスリル、(この作品においての)主人公の窮地っていう点ではある意味での「おもしろさ」はそこにありましたが、ポジティブには程遠い空気が日々続いていたのも事実。

反面、キャストさんやクリエイティブに携わる方々は「来てくれた人たちに最高のものを届ける!」という一心で、確実に迫ってくる公演に向けて各々の持ち場で尽力されているわけで、しかし当のプロデューサーは関係各位からも、何だったら作品を楽しみにしているお客さん側からも叱咤激励の的でございます。

その模様を見た時の僕の感情としては「なんでお前がそっち側になっとねん!笑」のひと言に尽きたわけでありまして。

その空気が大阪プペルの時と笑えるくらい一緒だったものですから。

大阪プペルの時も、キャストや現場スタッフ、クリエイティブチームはとにかく頑張っててクオリティも最高。

だけど運営面がどうにもズサンで「本当にこの公演大丈夫なのか?」「ちゃんとやれるのか?」みたいな空気に事実としてあって、作品を楽しみにしてくれてる方々の中でもそっちに気を取られる声がどんどん大きくなっていく中で、現場チームとしてはその状況、周りからの見え方に対して悶々としつつも「とにかく俺らは最高のものを見せれるように頑張ろや」と黙々と稽古を重ねていた日々があります。

その時に同じクリエイティブの立場として、赤字問題含めて「大阪プペル大丈夫?」的なピンチ感のほうにどんどん注目が集まって「なんかこっちは現場で頑張ってるのにそっちにばかり話題が集まるのってツラいな!でも頑張ろな!」って感じで、日々意地で発奮してた同志だったわけで。伊久磨とは。

だから今回、作品の中身・クリエイティブの積み重ね模様よりも、そっち側の話題がどんどんフィーチャーされていく状況の当事者になってる伊久磨を側目で見てて、なーんでお前がそっち側になってんのよっていう憤りやら寂しさやらをずっと感じてたんですわ。

と同時に、「ああ大阪プペルの時も俯瞰で見てた人はこんな感じだったんだろうなぁ」という気持ちも分かって、それもそれでまた切なく。

今回の『ホンジツ島のマジックアワー』には、大阪プペルでご一緒させてもらったキャストさんやスタッフさんも多数居らっしゃるからこそ、余計にいろいろ重ね合わせてしまった感もあります。
あくまでただの勝手な個人的感情ですが。

そんななんとも独特な悶々さでプロセスを見守っていたわけですが、関係各位の多大なる尽力のもと(そして伊久磨くんが折れるべき所を折れた判断された所も含めて)、晴れて公演が出来る運びになった知らせを聞いて安心しましたし、何だったらついに黒字化に乗せる事ができたのだとか。

ずっと「なんでそっち側になってんのよ!」っていう寂しさ、憤りがあったものですから、運営面含めて見通しがたった上でしっかり公演が出来るという話を聞いて、ちょっと僕の中でもスッキリした部分があったので(これは友達感情として)、そしてそのタイミングでうまいことたまたま東京に仕事で滞在していたので、清々しく「頑張ってね」と言いに行けたんであります。

https://www.youtube.com/watch?v=yaOmiZDqzX0&t=1s 


そんな諸々を経て、劇場に観劇に行きました。

観劇後のインタビューも撮っていただいたので、もしかしたらまたどこかで出るかもしれませんが、素敵な舞台でした。

キャストさんお一人お一人のクオリティーも素晴らしいですし(何目線やねん)、大阪プペルでご一緒させてもらった方々は変わらず圧巻でしたし、音楽もカッコよかったし、体験型ミュージカルっていう新しいジャンルの開拓へのチャレンジスピリッツも存分に伝わりましたし。

と同時に、ここまでの諸々がありますから「無事にこうやって公演できてよかったなぁ伊久磨よ」みたいな気持ちもやっぱり沸いてきますし、きっと運営面のそういうゴタゴタを横目に黙々と稽古に励んで来られたんだな皆さんはっていう、そっち側の気持ちがすんごい分かるからこその感慨深さもあったり。

諸々含めて、素敵な舞台でした。

ただ、ひとつのミュージカル作品を観る中でその「諸々含めて」という部分が正解なのかどうかは、よく分かりません。

元来そういうもんじゃないよねって部分もありますが、でも一億総クリエイター社会の今、過処分時間の奪い合いが熾烈を極め続ける今、そういうストーリーが魅力のひとつとして備わってるほうが強いとも思います。

この辺りは、自分のインプット要素としても全部終わったら伊久磨くんとまたゆっくり飲みながらいろいろ聞いてみたい欲がすごいので、よろしくお願いします。

というわけで、あれこれ書かせてもらったので少しばかり宣伝はさせてもらおうかと思います。

ここからチケットが買えるみたいです。

無事に黒字化したとの事ですが、千秋楽までまだ残席がちょこちょこあるみたいなので、今日の記事を読んでちょっと行ってみようかしらと思った方は是非。

懸念通り、投稿時間しっかりオーバーしちゃいました。

投稿時間を固定してから、7時半合わせでルーティン的に読みに来てくださる方も増えてきてるのを分かっているので、ちょっとルーティン狂わせてしまってすいません。苦情は高橋伊久磨へ。

とにかく本日も公演の成功を願っております。
(と思ったら休演日かい!)



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西村広文 HirofumiNishimura
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