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こんな導線の敷かれ方もあるな...と

ライブだリリースだスナックだって感じで(あとこのnoteでの発信もそうですが)、表に分かりやすく伝わる仕事もあれば、当然人知れず籠って一人で何かしらと向き合っている仕事の時間もあるわけなので。

ここ一ヶ月、その後者の時間の多くを割いているのがこちら。

9月8日に岡山で開催されるショーなんですが、今回僕はプレイヤーとして帯同するわけではなくこの日にパフォーマンスされる曲たちの、この日の編成(ピアノトリオ+管楽器)仕様のアレンジを担わせてもらっています。

ざっくり20曲くらいです(2部のほう)。

そんなわけで隙間隙間を見つけてはアレンジワークならびにデモ制作に励んでいる今日この頃なんでありますが、今回そのざっくり20曲くらいの大半を占めるのはミュージカルナンバーであります。

フライヤーにもありますが、長らく劇団四季で俳優ならびに多数の作品の振り付けを担当されてきた加藤敬二さんプロデュースという事もあるので、劇団四季でこれまで上演されてきた数々の名作の中のナンバーが散りばめられています。

「数々の名作」とかいっちょ前に書いてますが、そもそも僕は“ミュージカル”と言う存在にはずっと疎い半生を歩んできていて、その存在がグッと身近になったのなんてミュージカル俳優のお友達がいっぱいできたここ数年の話で、それまでは疎いどころかハッキリと“興味がない”という存在でございました(すいません)。

高校卒業後はブルースにどっぷり傾倒して、その流れでブルースの先にあったハードロック・パンクロックにのめり込んで「このノリをギターじゃなくてピアノでやるバンドをやりたい」みたいな感じで20代から30代頭くらいまではかなり凝り固まって突っ走ってきたもんですから、自分の音楽の時間に「ミュージカルナンバー」という時間割は正直皆無でありました。

もちろん世間一般的に超有名な曲はさすがに知ってますが、やっぱりまだまだ初めてちゃんと掘り下げて聴くって曲も多いです。

野球で例えると、野球そのものはほとんど観たりしないけどイチローや清原は知ってる。松坂や上原もまだ知ってる。
でも岩隈くらいになるとちょっと分からない…くらいの程度だと思ってください(伝われ)。

なので…イチイチ良い曲に巡り合います。

そもそも史上に残っている作品の中での代表格のナンバーなわけですから、曲が良いに決まってるのは決まってるわけで、こういう機会を頂いた時に初めてそれらの曲に触れた時に「めっちゃ良い曲!」となっちゃうわけですが、俄に自分の中で「その曲が使われてるミュージカル作品を無性に観たくなっている」という逆転現象が生まれていたりします。

事前知識がほとんどなく超フラットにその曲とまず対峙しているので、こんな素晴らしい曲がその作品のどういう場面でどういう流れからどう使われているのか…っていう方向から興味がどんどん湧いてきて、もうその作品が見たくて見たくてたまらなくなってる。

そんな現象が数曲で起きていて、既に数作品が観るリスト行きしました。

純粋な音楽として曲先行で知ったからこそ「劇場に足を運ばせるほどその作品にそもそも興味はないのだけども(失礼!)、この曲を生で聴きに行きたいな」という順番で劇場への導線が生まれつつあります。僕の中で。

でもそういう順番も全然あるのは考えてみりゃ当たり前の話で、例えば映画にしても「作品どうこうじゃなくてその人(好きな俳優さん)が出てるから観に行く」っていうのはあるあるの話で、よく考えたら僕が『プラトニック・セックス』や『ハチミツとクローバー』や、劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』を映画館に観に行った理由も、腰を上げる理由として作品どうこうじゃなくて「スピッツの曲を映画館で爆音で聴きたかったから」だった事も思い出しました。

前述のミュージカルナンバーの話にしてもそうですが、その作品を構成する(彩る)うえでのひとつのピースというポジションの存在に引っかかって大本にたどり着くこの感覚は、自分の大本への導線の敷き方としても参考になりそうな。掘り下げる余地がありそうな。

それで言うとこのnoteなんかでたまに発揮される、「文章読んでて興味を持ってライブに行ってみたくなった」っていう現象はそこに近しいのかもしれませんが。

音源聴いててとか演奏動画観てとかじゃなくて、一見全然直結しなさそうな文章の発信から音楽にたどり着いてくれるって現象が一度や二度ではない事を考えると、いつなん時どの要素が自分の大本への導線になるかなんて本当に分からないので、いかなるお仕事もコツコツ丁寧に頑張らねばな…

と思いつつ、導線をうまく敷いたとて辿り着かせた先の大本がへなちょこだったら元も子もないからそっちの努力もおろそかにしちゃいかんですよねっていう自戒の念にも同時に辿り着いたところで、引き続きパソコンと五線と睨めっこする時間を過ごしたいと思います。

その時間の反動でまたピアノ弾く時間がものすごく楽しかったりするので、その振り子の躍動幅をもっともっと広げていきたい今日この頃であります。

的な。



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西村広文 HirofumiNishimura
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