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好きなことに夢中になってる自分はちょっと好き

プロフィールを書く時「趣味:楽器収集、演奏」「特技:サックス、作曲」と書くことが多い。

趣味と似ているが、もし「好きなこと」と書く欄があったら「練習」と書くだろう。

もう少し詳しく言うと「できないことができるようになる訓練や努力」が好きなのだ。


元から練習が好きだったわけではない。

大学でサックスを専攻していた時はレッスンで師匠に怒られないために練習していた。

だがいつからか練習によってできなかった演奏ができるようになることに達成感や快感を覚えるようになったのだ。

プロフィールに書くほどでもないことなのだが筋トレも好きで、その理由は楽器の練習のように効果が正直に表れるからだ。


言っておくが僕はナルシストではない。

芸風もあってかよく勘違いされ、一時期は「ロマンティックナルシスト」というキャッチコピーまで付けられた(ちなみに数年後は「なぜかシャウト」というキャッチコピーが付いた)

10年近く「ロマンティック」をやってきたからこそ言えるが、「ロマンティック」と「ナルシスト」は似て非なるものである。

「ナルシスト」は「僕は輝いている、そんな僕を見ろ」という自信に美しさを見出すものであるのに対し、「ロマンティック」は「世界は輝いている、そんな世界を一緒に見ませんか」という外側に美しさを見出すものなのである。

少し話がそれてしまったが、僕は「ロマンティック」であっても「ナルシスト」ではないし、なんなら自分のことはあまり好きではない。

つまり「今の自分のことが好きじゃないから練習が好き」なのだ、おわかりいただけただろうか。


楽器を練習して吹けなかったフレーズが吹けるようになるとすごく達成感を感じるし、これが楽器の醍醐味なんだなぁと毎回思う。

たまに練習中にゾーンに入ると、たとえ上手くいかなくてもそれだけで快感なのだ。

筋トレも決めた目標を達成するという喜びを手軽に感じることができるし、後日来る筋肉痛という努力の証を手でさすることにより喜びの余韻に浸ることができる。

もっと言ってしまえば結果は関係なく、練習やトレーニングという努力は今の自分を肯定してくれる、僕が知っている数少ない方法だと思う。

これから自分探しの旅へ出かけようとしている人は、何か簡単な楽器を始めたりスクワットをすることをおススメする。


練習が好きな理由はもう一つある。

お笑いは練習や努力によって必ずしも成果が出るとは限らない。

一晩かけて考えたネタよりパッと思いついたネタの方がウケることだってあるし、その人が持っている才能や「人(にん)」は他の人が努力や訓練したところで簡単には手に入らない宝物だ。

だからと言ってお笑いの努力を諦めているわけではないが、なかなか報われないその訓練の虚しさを埋めるために、僕は必ず応えてくれる楽器の練習や筋トレをするのだろう。

もし「必ずオモシロくなれるお笑いドリル」なるものがあったら是非教えてほしい。

クラシック音楽から学んだありとあらゆる練習方法でそのドリルを解いてみせるから。

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