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人のオシャレで笑うなら

未だに不本意に思っているが、過去に「よしもとダサいランキング」5位になったことがある。

もちろん自分ではダサいと思ってないし、あんまり大きな声では言いたくないが、当時好んで着ていたブランドの服は決して安い服ではない。

ランキングの取材があった日、クローゼットから1軍の服を選んで着て行った。

スタッフさんに「あれ、全然オシャレじゃないですか」と思わせ取材の趣旨を変えてやるつもりだったが楽屋に入るやいなや「あ、もう撮影できる感じですね」と言われた。

御贔屓にしてるブランドの売り上げが減ったらどうしてくれるんだ。


世間一般の目から見れば僕はオシャレではないのだろう。

高校生の頃はオープンフィンガーグローブに憧れて制服のブレザーとリュックサックと一緒に付けて登校していた。

隣の席の女子に「なんでそれ付けてるの」と聞かれてシャイだった僕は一言「寒いから」と答えた記憶がある。

大学生の頃、ある日学校へ向かっている途中服が上下ストライプになっている事に気が付いた。

さすがに恥ずかしいと持っていたカバンで服を隠すように歩いていたらカバンもストライプだった。

芸人になってからは遊び心がある服やアイテムを好んで買っていた。

着物の帯をアレンジしたウォレットチェーン、リバーシブルのベルト、紙でできたスニーカー。

ここまで読んで「西村ヒロチョ=オシャレ」と思う人はいないかもしれないがこれだけは言わせてほしい。

僕はオシャレな服や流行りの服が着たいのではなく自分が好きな服を着たいのだ。

同じ値段で「今流行りのシンプル白Tシャツ」と「ジッパーが斜めについてるカットソー」が売ってたら迷わず後者を買うだろう。

自分の好きな服が着れれば周りからオシャレと思われなくても構わない、いや、やっぱり少しくらいならオシャレと思われてもいい。


最近は減ったが、私服を「ダサい」とイジられていた時期があった。

もちろん自分ではダサいと思っていなかったので「今日この服で1時間かけて家まで帰る俺の気持ち考えて」と内心ふてくされていた。

今までたくさんの私服をイジられてきた。

ジグザグジギーの池田さん「紫の上下に緑のストールだったから、向こうからなすびが来たかと思った」

ニューヨーク屋敷(部屋のクローゼットを見て)「ぷよぷよだったら全部消えてる」

結構攻めたシャツジャケットを買った時には「進撃の巨人」「霜降りA5ランク牛」「和紙の折り紙」とふんだんに例えられた(どんな服か想像してみてください)

芸人さんっておもしろいですね。

ただ中には「ダサい」と言うだけでイジった気になる人もいる。

ヘラヘラしながら「いや~ダサいっすよ~」というだけで、せめて何かに例えて笑いにするか「こういう服はこう着た方がいいですよ」とちゃんとしたファッションチェックをするなりしてほしい。

愛が無いイジりは小さいポケットのないポロシャツと一緒だ。


最近はお客さんから服のプレゼントをいただく機会もある。

先輩芸人が「お客さんはオシャレな芸人に服は差し入れしない」と言っていたがありがたい限りだ。

その分自分で服を買う機会が減ってしまったのは少し寂しくもある。

この自粛期間が終わりまたライブができるようになったら新しい服を着て行こう。

その時僕の服を見ておかしく思うかは自由だが「僕はこの服が好きだから着ています」ということだけ忘れないでほしい。

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