見出し画像

上殿皮神経障害superior cluneal nerve disorder

上殿皮神経障害についてもう少し詳しく書いてみます。

2019年の腰痛診療ガイドラインには記載されていない症例ですが、非特異的腰痛の1つとして中殿筋障害や仙腸関節障害などと合わせて腰椎周辺疾患paralumbar spine diseasと称されています。

一般的なマッサージや理学療法で改善することが多く、正確な診断に至らずとも支障がないとも言われているが、画像所見に器質的な疾患(例えば腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア、脊椎椎体骨折など)がみられると、そこに目を奪われ、非特異的腰痛の上殿皮神経障害などの可能性を除外してしまい、難治性腰痛として扱われる危険性があります。

腰椎の手術後に殿部痛や下肢症状が出現するfailed back surgery syndrome(FBSS)にこの障害が併発した場合には、手術が不成功に終わってしまった印象を与えるため、手術後の方を見る場合には冷静に全体像を捉える必要があります。

上殿皮神経・上殿神経・デルマトーム


個人的な経験としては、仙腸関節障害かと思ったら上殿皮障害であったことが何度もあります。絞扼部位としては胸腰筋膜から出て腸骨稜を横切ることろで多いですが、上部の神経根で椎骨の上方変位などがあると神経が牽引されて発症することが多いように感じます。
なので治療ポイントは上部腰椎(特に上方変位)もしくは仙腸関節(股関節を含め)で改善することが多い。


仙腸関節の触診

仙腸関節障害の圧痛を確かめる場合、PSISの内側(上の写真)での靭帯の緊張と外側の大臀筋付着部を確認することが多いです。その仙腸関節の障害の確認に使う大臀筋付着部にはちょうど上殿皮神経が走行しているポイントと重なる部分があり、上殿皮神経障害での圧痛も起こるため鑑別が難しい。

いいなと思ったら応援しよう!