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前十字靭帯(ACL)損傷と半月板損傷の関係

前十字靭帯(ACL)損傷と半月板損傷の関係

ACL損傷には半月板損傷がよく合併します。受傷時には外側半月板(LM)の損傷が多く、慢性例では内側半月板(MM)の損傷が生じやすいです。ACL損傷による関節の不安定性が続くと、半月板損傷が進行し、変形性膝関節症のリスクが高まります。そのため、ACL再建術を行う際には、半月板損傷も適切に処理することが重要です。

半月板損傷の種類と病態

  1. Ramp Lesion(ランプ病変)
    MMの後節部の関節包付近で発生する損傷で、ACL損傷に合併しやすいです。膝を屈曲させると損傷部が見えやすくなるため、診断には関節鏡での詳細な確認が必要です。Ramp Lesionの治療では、損傷部の縫合が有効で、術後の良好な成績が報告されています。

  2. LM後根断裂(LMPRT)
    LMの後根付着部で発生する横断裂や斜断裂で、ACL損傷に合併する頻度は7~15%程度です。LMPRTは膝関節の安定性に影響を与え、LMの逸脱や関節面への接触圧増加を引き起こします。診断にはMRIや関節鏡が用いられ、特に関節鏡視下での評価が正確です。

治療方法

ACL損傷に合併する半月板損傷の治療は、損傷の種類に応じて行われます。Ramp Lesionに対しては、関節鏡視下での縫合が行われ、良好な術後成績が得られています。LMPRTの場合、損傷形態に応じて縫合方法を選択し、剥離損傷ではpull-out修復を行うことがあります。術後のリハビリテーションは慎重に進める必要があり、膝の安定性を確保するための管理が重要です。

まとめ

ACL損傷に合併する半月板損傷は、詳細な診断と適切な治療が必要です。特に術前MRIと関節鏡を併用した評価により、損傷の見逃しを防ぎ、損傷形態に合わせた縫合術を行うことが大切です。


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