内側半月板のhoop機能
内側半月板の骨への付着
内側半月板は、脛骨の上部にある骨への付着部を通じて、膝関節の安定性を保っています。内側半月板の前角と後角は、関節包や靭帯と連続しつつ、骨へ強固に付着しています。この骨への付着部は、半月板が関節にかかる荷重を分散する際の固定点として機能し、適切な位置で半月板が荷重を受けることを可能にします。特に、内側半月板の後根部の付着は、関節の荷重負荷に対抗するための重要な要素です。半月板が脛骨にしっかりと付着していることにより、関節の動きに応じて荷重が分散され、軟骨や骨への過度なストレスを防ぎます 。
hoop機能とは
「hoop機能」とは、膝関節にかかる圧力を半月板が円環(hoop)のような形で分散する機能を指します。半月板は、外縁が厚く内縁が薄い三日月形をしており、膝にかかる垂直方向の圧力を水平方向の張力に変換することで、関節軟骨の保護と関節全体の安定化を図ります。特に、内側半月板の前角と後角が脛骨に付着していることが、このhoop機能の発揮に不可欠です。これらの付着点が荷重を受け止めるアンカーのように働き、半月板全体にかかる張力を維持します 。
骨への付着とhoop機能の関係
内側半月板の骨への付着がしっかりしていることで、膝に荷重がかかった際に半月板が外側に押し出されるのを防ぎます。これにより、半月板が円環構造を維持しつつ、関節にかかる圧力を均等に分散できるのです。しかし、内側半月板の付着部、特に後根部が損傷した場合、半月板のhoop機能が低下し、内側半月板の逸脱(MME: Medial Meniscal Extrusion)が起こりやすくなります。これは、関節軟骨への負担が増加し、変形性関節症の進行を招く可能性があります 。
臨床的意義
半月板の骨への付着が適切であることは、膝関節の健康維持において極めて重要です。hoop機能が正常に働くことで、関節の安定性が保たれ、長期的な膝関節の健康に寄与します。一方で、内側半月板の付着部の損傷や劣化は、hoop機能の喪失を引き起こし、関節の不安定性や軟骨の変性を促進します。そのため、内側半月板の骨への付着部を評価し、適切に治療・保護することは、膝の変形性関節症の予防や治療において重要な要素です 。
まとめ
内側半月板の骨への付着は、膝関節にかかる荷重を分散する「hoop機能」を発揮するために不可欠です。この付着部がしっかりしていることで、半月板は膝にかかる圧力を適切に管理し、関節全体の安定性を維持します。しかし、付着部の損傷によりhoop機能が低下すると、膝関節の健康に悪影響を及ぼすため、早期の診断と適切な治療が必要です。