横尾忠則 「タマ、帰っておいで」
横尾忠則先生のこの本、とても人気があるらしい。
第二版が出た時にすぐにポチり、サイン入りの本を購入した。
横尾先生の直筆は、とても素直な字で心がこもっているように感じた。
ペットを飼っている人なら多少はこの本の愛が分かると思う。
わたしは長らくセキセイインコを飼っているけど、その小さな瞳と目が合うと心が通じ合っているような不思議な気持ちになる。
あちらは、エサくれるのかなーと思っているだけだろうけど。
驚くことに、91点の絵は飼い猫のタマが亡くなった後に描かれたという。
しかし、まるで生きているみたいで猫の気まぐれな感じが、タマの性格が良く現れている。
タマの毛並の匂いや暖かさまで伝わってくるよう。
あの世のタマと一緒に描かれたのだろうと思う。
ところどころに、日記みたいな文が添えてある。先生のタマへのラブレター。
死んだタマが先生の夢に出てきたり、会話していたり。あー、魂は死なないんだな、と思う。
最後のタマからの手紙では、死生観がちょっぴり生意気に書かれている。
先生の実感している「あの世」なのかもしれない。
いつか、ふと死は怖くないと思ったことを思い出した。
横須賀線に乗っている時に車中から草叢を見て、死んだらこの緑と光の中に溶け込むのだ、と感じたから。
でも、いざ死ぬ時はジタバタするのかもしれないけど。
現代では、ペットの死を通してしか死を身近に感じることはできないのかもしれない。
死はタブーではない、とこの本はタマを通して教えてくれている気がする。
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