![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160567391/rectangle_large_type_2_77b652ffa5798b828b1b217220df6183.png?width=1200)
【クラシック雑学】Snow Manの「EMPIRE」にも使われたモーツァルト「交響曲第25番」とは?
「クラシック音楽」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを抱くでしょうか。
音楽の授業で聴かされて眠くなった、年末年始にテレビでコンサートやってるイメージ、なんかやたら長くない? などなど……特に、あまり馴染みのない方からは「よく分からなくてとっつきにくい、敷居の高いジャンル」だと思われがちかもしれません。
しかし、普段の生活のなかでよく耳を澄ませてみると、実は驚くほど多くのシーンでクラシック音楽が使われているのが分かります。
そのひとつが、J-POP。平原綾香さんの「Jupiter」をはじめ、J-POPにはクラシックの名曲をアレンジしたり、楽器で演奏した音をサンプリングしたりして作られた楽曲がたくさんあるのです。
今回は、Snow Manの「EMPIRE」でサンプリングされ大きな話題を呼んだ名曲、モーツァルト作曲「交響曲第25番」の魅力に触れてみましょう!
モーツァルト作曲「交響曲第25番」の魅力とは?
実は珍しい!?短調(マイナー)で書かれた楽曲
「交響曲第25番」のより正確な表記は、「交響曲第25番 ト短調 K.183」。ト短調、つまりG-minorで書かれた楽曲です。
35年という短い生涯を終えるまで、交響曲“だけ”で41曲(すごすぎないか?)を発表しているモーツァルト。そのうち短調で書かれたのは、25番と40番を含むたった2曲のみなのです。
逆にいえば「モーツァルトの曲には長調(メジャー)のものが多い」ということになりますが、これは、モーツァルトが生きていた当時の音楽家が、社会とどのような関係性だったかも深く関わっています。
宮廷文化が花開いていた頃、音楽家は主に王族や貴族(今でいうスポンサー的存在)に仕え、華々しい宮殿で行われるパーティーを盛り上げるための音楽を作って提供する存在でした。また、交響曲も、当時は祝典の幕開けに使用されることが多かったので、モーツァルトが発表した交響曲はほとんどが長調なのだと考えられます。
そんな彼が珍しく短調で書いた「交響曲第25番」は、明るく軽やかなイメージをもたれやすいモーツァルトの、一味違う魅力を感じられる楽曲といえますね。
当時17歳のモーツァルトが完成させた作品
「交響曲第25番」が完成したのは、今から約250年前の1773年10月5日。モーツァルトは1756年に生まれたので、当時17歳にして書き上げた作品ということになります。
冒頭から切々とした哀しみや焦燥が感じられるこの重厚な交響曲を、17歳で……? と、改めてモーツァルトの天才ぶりに驚かされる方も多いはず。
モーツァルトは自身も音楽家だった父・レオポルトに連れられ、幼少の頃からウィーンやパリ、ロンドンなどさまざまな都市へ演奏旅行に出かけました。行く先々で天才的な演奏を披露すると同時に、それまで触れたことのなかった音楽にも触れ、吸収し、自身の血肉に変えていったのです。
あまりにも常人離れした作曲・演奏技術とセンスに人々から“神童”と呼ばれたモーツァルトでしたが、高い収入を得るための就職先探しが上手くいかず、イタリアやウィーンにたびたび赴いていた時期もあったのだとか。
「交響曲第25番」はそのような時期に書かれた作品です。悲しくも美しい音色が印象的な冒頭部分を聴くと、若き天才・モーツァルトが挫折を経験し、それでもどうにか前へ進もうとする野心や熱意が込められているようにも感じられます。
ダンスミュージックとの親和性も抜群!
話題をSnow Man「EMPIRE」に戻します。
「EMPIRE」でサンプリングされているのは、「交響曲第25番」冒頭部分である、第一楽章の第一主題。迫力満点で、胸に迫るメロディが聴く者の胸を鷲掴みにします。
この第一主題に使われているのが、裏拍の位置にアクセントを置く「シンコペーション」という音楽技法です。「いち、に、さん、し……」と四拍子をカウントする場合であれば、「いち、に(い)、さん、し(い)」と文字を強調した部分が裏拍にあたります。
強くカウントする位置をずらすことで、音楽に躍動感やメリハリを与えてくれるシンコペーションは、ダンスミュージックとの相性も抜群。
Snow Manのメンバーが力強く魅力的なダンスを披露する「EMPIRE」とも、実は長い長い時を経て通じる部分がある……と考えると、なんだかロマンを感じますよね。
最後に
J-POP以外にも、映画やドラマ、結婚式、駅メロ、さらには家電……などなど、とても多くの場面で使われているクラシック音楽。
「あれっ。この音楽ときどき耳にするけど、なんて名前だっけ」と首を傾げることがあったら、それは未知の世界への第一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。
「このドラマのこのシーンに使われている曲を教えて!」「このCMに使われている曲、どんな曲なの?」と疑問を抱いている方は、ぜひコメントやお問い合わせ機能などでお気軽にメッセージをお送りください。