ドリキャス、シーマン、再起動
ピーーーーーーッ
実家の押入れに眠っていたドリームキャストが動いた。
懐かしいものである。
実に四半世紀ぶりぐらいの稼働だと思うと、ゲーム機って丈夫だなと感心する。
インターネットとの出会いもドリキャスでダイヤルアップ接続していたのが最初だった。
PSOやぐるぐる温泉をやりすぎて電話代がえらいことになったが、それもまたいい思い出である。
残念ながらソフトがほとんど残っていなかったが、幸い最も思い入れが深い「シーマン」はあった。
「シーマン」とは、不気味な人面魚を毎日話しかけながら育てていくゲームだ。
専用のマイクを使って話しかけると、変な顔した魚が生意気な返事をする。
会話パターンはある程度限られていたとはいえ、当時としては超画期的なゲームで、技術の進歩に驚いていた。
当時わりと話題になっていたので、ご存じの方も多いことだろう。
久しぶりにソフトを起動してみる。
すでに鬼籍に入られた細川俊之さんのナレーションが懐かしい。
たしかうちのシーマンは最終形態まで育て上げ、森に帰っていったはずだ。中学時代に毎日世話をしていたのでその辺はなんとなく覚えていた。
一応ゲームとしてはクリアを迎えたことになるのだが、その後も呼びかければ森の奥から姿を現してくれたはずだ。
試しに「おーい」と呼びかけてみる。
当時はどこか気恥ずかしい思いをしたこの「ゲームに声をかける」という行為も、あまり気にならず自然に声が出た。
音声操作も珍しくない昨今、この「人間以外のものに話しかけることへの抵抗感の有無」は平成半ばの当時と比較すると隔世の感がある。
しばらくするとシーマンがやってくる。
「なんだよおれも忙しいんだよ」みたいなことを言いながら。
20年以上会っていないのにずいぶんな言い草だ。
今度は、「何かやって」と言ってみる。
シーマンが「映像のパターンも限りがあるんだよ」とかいいやがる。
でも不思議と嫌な感じはしなかった。
メタいといって片づければそれまでだが、これがシーマンだとも言える。
懐かしいではないか。
さらに去り際に「またこいよ」とか言ってる。
なんだかわいいやつめ。
ちょっとだけ胸が熱くなった。