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中華屋でいつも頼まないメニューを頼んだ時、それは流れに逆らったと言えるのか、むしろ流れに沿った言えるのか【奥の階段#14さいか屋横須賀店】

わたくしは商業施設の奥の方にひっそりとある、階段が好きである。
今回は、さいか屋横須賀店の奥の階段

踊り場の度にある長椅子。不揃いなのがまた味わい深い。
最上階にたどり着いたかと思いきや
まだ先がある

わたくしは人生で何度か引っ越しを経験している。そして新しい街で生活を始めるときに必ずしていることがある。それは、行きつけのラーメン屋を探すということである。いや、必ずしているというより、しなくては落ち着かないという感じの方が感覚としては合っている。定番を決めておかないとそわそわするのである。

また、行くお店自体についてもそうであるが、それぞれのお店でもいつも注文するメニューを固定しがちである。昼休みに行く定食屋も、休日に行く近所の中華屋でもいつも頼むメニューを決めてしまう。そしていつもと同じものを注文するときに、また同じものを頼んでしまったとなぜかうっすら後悔をしているのである。

気になってはいるのだ、他のメニューが。だけど結局いつものかた焼きそばにしてしまう。別にそれでいいと思っているはずなのに、自分の中に「あ、またいつものだ」と指摘をしてくる自分もいる。もっと他においしいメニューがあるかもしれないとかそういうことより、なんとなく挑戦できない自分とか安定を求める自分とか、もっと別の場面で反省をしていた自分に対する批判がリンクして、余計な後悔を生み出しているような気がする。

だけど、どんどん新しいことに挑戦した方がいいとか、積極的な方がいいとか、行動は早い方がいいとか、そんなことっていつのまに築き上げられた観念だろう。
なんとなくやはり、小学校、中学校で求められたいた行動が及ぼす影響なのかなと思う。わたくしは”真面目”な子供であったため、実際にできる、する、かどうかは別として、大人の求める行動に敏感だったように思う。
そんなことに囚われずに自由に自分の考えで行動している人もいた。

もう少し、自分がやりたいこととか、好き嫌いとか、そういうものに素直に従って色々な選択をしてもよかったのかなと思っていたこともあった。でも最近は、きっとやり直しても同じ結果になるだろうなと思っている。ある時点に戻って、その選択を変えたからといっても、きっとそのあとの他の選択の時点で、”自分”的な選択をして結局今と同じ地点にたどり着くだろうと。


”運命”という言葉は気障っぽくてあまり使いたい言葉ではないのだけれど、そいうものをこんな風にイメージすることがある。それは幅の広い川のようなものだと。

幅が広いから人はその範疇で好きに泳ぐことができる。だけどあまりに流れに逆らって泳いでいると疲れてしまう。川の幅の端から端に泳いでみることもできる。でも大きい流れの行きつく先は決まっている。「人生は選択の連続だ」とそんな言葉を聞いたことがあるが、わたくしには選択は大きな流れの川の中で、どっちの方に泳ごうか決めたり、流れに逆らうのか、身を任せるのか決めたり、水面を進むのか、潜ってみるのか決めたり、そういう選択をしているに過ぎないのだと、そう感じるのである。行きつく先は同じだと。


こんな話を人にすると、では運命は決まっているから、自分は何もすることができないし、ただ待っていればいいということ?と言われることがある。
半分そうだと思う。

待っていればいいのは確かだと思う。だけど待っていれば自分は何もしなくていいというのは違うと思う。
機があるということである。
自分が何か行動を起こしたり、状況を変えるために動くときに、全てが自分の選択によって決まるということではないのだと。周りの環境、人からの助言、手助け、もう時間的に猶予がない状況、そういう色々なことが複合して、”事”が進んでいくのではないかと思うのである。
スッと自分が変革を起こすことができる、そういう状況が外部的要因で訪れることがあると、そう思うのである。


我々が身をゆだねるこの大きな流れは、行先は決まっているかもしれないが、先が見えないということが肝心である。だから行きつく先が決まっていたからと言って、つまらないということにはならないのである。
この先その流れは大きく曲がっているかもしれないし、穏やかでほとんど流れの感じない場所もあれば、急流、ましてや滝が含まれているかもしれない。
そしてそのことによって、今の自分に対して不安に思うこともあるだろう。でもそういうときにこそ、行きつく先があるということを思うと少しは安心できるだろう。
その流れがまったくとまってしまうことはないのである。

失敗したり後悔したり、迷ったり停滞を感じたり、色々あるけれど大丈夫。
”逆”に進んでいるなんてことは絶対にないのだから。

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