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大家さんのスマホを直しに行く

最近、夕方から夜になるにつれてスコールのような雨が続くことが多かった。しかし、今日は久しぶりに夕方も晴れそうだ。

これは外のベランダにある洗濯機も回せるぞと思い、帰宅後すぐにシャワーを浴びる。久しぶりに水シャワーを気持ちよく感じて、夜ご飯はペペロンチーノを食べようと思い、気持ちもウキウキしてくる。

シャワーを浴びてリビングルームに出ると、「ハルカさーん、ハルカさーん」と外から大家さんの声が聞こえた。何のことだろうか?と思いつつ、シャワー浴びたてのゆるゆるな姿だった為、慌てて返事だけする。しかし、その間にも大家さんは玄関ドアを叩いたりして、かなり緊急な様子だった。
大家さんに「ちょっと待ってくださいー」と言って、とりあえず外に出れそうな格好になって、家の扉を開ける。

外に出て大家さんに「どうしたの?」と聞くと「フォーンエカ ケディラー(携帯が壊れている)」と言われた。「そうかそうか、私はICTを教えているって大家さんに言ったから、こういう時に呼び出されるんだ」と頭の中で回想しながら、タッチパネルが効かなくなっているスマホを見て「これはお店の人に直してもらう必要があるね」と言う。

正直、早くこの話を終わらせたいと思って「お店の人に直してもらって」と言ったのだが、大家さんはそれに対して「それなら、私と一緒に修理屋に行ってくれない?私は機械の事分からないから!電話も出来なくて仕事も出来なくて困っているのよ!」と言われた。ああ、まぁ60代の人だし、電球ソケットを作ってた時も「私は怖くてできないー」と言っていた人なので、その状況は理解が出来た。さらに、比較的緊急性が高いようにも思えたので、念のため「行くのって今日の事?今から?」と聞くと「もちろん!」と返って来た。
「なるほど、そう来たか、たぶん私に拒否権はなんだろうな」と心の中で思っていたら、「晩ご飯あげるから!」と間髪入れずに言われた。やはり、私には拒否権がなかったのだ。

しかし、ビチャビチャの髪とノーブラTシャツで行くのは色々心もとない為、「髪だけ乾かさせて」と言って、一旦家に戻った。すぐに準備をして、大家さんの運転する車に乗り込む。その時に修理屋さんの場所とか知っているのかな?と思って、近くの修理屋さんを何件か教えたら、「私が知っている場所がある」と大家さんは言った。ほな自分で行きーや。

さよなら、私の洗濯タイム。さよなら、私のペペロンチーノ。
そう心に残して、大家さんと一緒にスマホの修理屋さんに向かう。

2時間とか3時間とか掛からないことだけを願って、大家さんが行く修理屋さんに付いていった。そして、修理屋さんで大家さんに変わって、スマホの状況について説明した。(タッチパネルエカ ウェダカランネ ネティ ワゲーしか言っていないが)

すると、修理屋のおじさんは2分ほどタッチパネルを操作したのちに、すぐに直してもらえた。その様子から、きっと動作チェックかなんかをやったんだろうなと察する。
すぐに症状が解消出来て良かったと思った瞬間、修理屋のおじさんに「チャイナダ?ジャパンダ?」と聞かれた。「ママ ジャパン」と答えると「私は昔日本に8年ぐらいいました」と流ちょうな日本語で言われた。

まさか、こんな所に日本に住んでいたスリランカ人がいたなんて…と驚いたが、さらに彼は2年ほど大学で勉強した後に日本のマクドナルドで働き、店舗マネージャーまで昇進したらしい。
マクドナルドのアルバイト面接に落ちた経験がある私からすると、外国人で日本のマクドナルドで働いて、しかもマネージャーにまで昇進したのは、とにかく凄い話だった。(私はそもそもマクドナルドにすら入れなかったのだから)

「めちゃくちゃ凄いね!!!」と興味深々に話していると、そこから彼が日本にいた頃の写真を見せる、スリランカ人お決まりのタイムに突入した。結局、その店には1時間ほどいてしまい、そろそろ帰ろうか?と大家さんが声を掛けるまで、話が続いてしまった。

その後は「インディアーッパを買いに行こう」と言われ、お店を寄り、スーパーを2件はしごし、気付けば日が暮れている時間になっていた。まぁ、それでもトータル2時間ほどだったので、良いことにする。

大家さんは、私がホームステイから一人暮らしをしてたくて引っ越してきたことを知ってるので、今まで何度も「アピ カルダラネーネ?(私達、あなたに面倒なことしてないよね?)」と聞いてくる。

正直、面倒か面倒くさくないかでいえば、面倒なんだけど、それを完全に排除してしまうのは勿体ないと思う。だからこそ、「オウ モクットネー(うん、全然ない)」と言っている。

この面倒くささの排除ってのも、それはそれで問題で、人間関係って基本面倒くさいもんなんだなぁ…とまたも勃発してる彼氏との抗争をふと思う。

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にしはる
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