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距離感は人それぞれ

前にホームステイしていた家のホストマザーから急に電話が掛かって来た。私は何事!?と思ってしまい、電話と取ると「日本のビジネスビザの取り方について教えて欲しい」とのこと。しかし、その日は出張で小学校の1日プログラムに参加していたので「また月曜日にオフィスに行くから、その時やるね」と言って電話を切った。

ホストマザーは私と同じ職場の人で、働く部署は違えど仕事でも交流がある人だった。その上、ホームステイをしていた時は生活を一緒にしている人でもあっただけに、距離感の近さから衝突したり、お互いがフラストレーションを抱えながら生活している感じが否めなかった。
結局は何重にも重なる濃ゆい関係性が、自分の逃げ場がないように感じてしまい、今の一人暮らし住宅に引っ越したこともあって、引っ越した当初はホストマザーと職場で話をするのもドキドキしてしまっていた。

しかし、次の月曜日に電話の件でホストマザーの部署に行くと、ホストマザーの様子は至って普通なことにホッとした。さらに「最近どう?」「新しい家はどうなの?」「近所に住んでいるんだから、毎日私の車に乗って通勤したら良いわよ」「私はあなたのことを愛しているんだからね」と色々気にかけてくれていた。
その様子を見るに、生活していた時は色々近すぎて衝突しまくっていたし、1年弱でホームステイは解消になったけども、私のスリランカでのホストファミリーであったことは今後永久に変わることもないのだろうな、と感じた。まぁ、お互いに距離感が出来たからこそ相手を気遣う余裕も出来たのだと思うと、本当に人間関係は難しいものだ。(超悪い言い方をすれば、気分次第ってことなんだけどね)

ただ、ホストマザーの私への愛は本当なことも事実なようで「私は早上がりするから、これを食べなさい」と持ってきたお弁当をくれたり、「私のサリーであなたが一番好きだった青色のサリーあげるわ」と言う。本当ならホームステイを解消した人なんて、ちょっと付き合いづらくなって関係性が希薄になっていくようなもんだろうと思うけど、変わらずスリランカ人的な愛を向けてもらえることは有難い限りだ。

さらに、お互いに余裕が出来たからなのか私がボソっと「この前、学生が休み時間過ぎても外で遊んでたから、教室から締め出したんだよね」と言うと、「時間を守らないのは良くないから、今度のプログラムでそのことについて話そう」とホストマザーが同僚に言い出した。
今までなら「まぁまぁ」となだめられるだけの事が殆どだったので、それを受けて次のアクションを考えようとしてくれるだけでも、私は嬉しかったし、驚いた。

それを考えると、やっぱり人ってそれぞれの距離感があるし、それが変わるだけでも人間関係が全然変わることを実感する。だからこそ、全部が遠ければ良いって訳でもないし、近い人だからこそ向き合うことが大事になる。
それぞれの場面で大事なことも変わるのだけれど、改めて人間関係の距離感について考えられて、本当に良かったと思っている。

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にしはる
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