年末のお買い物
スリランカのテーギ(贈り物)文化
スリランカには実に様々な贈り物文化がある。例えば、誰かのお家にお呼ばれした時は何でもいいから(本当になんでもいい)手土産を持っていかなくてはいけない、どこか旅行に行ったらお土産を買ってこなきゃいけない(しかし、物は何でもいいらしく、持って来ることが重要だそう)など、まぁ色々な場面において贈り物・お土産を渡す文化がある。
そんな贈り物文化はシンハラタミル正月にも存在していたようで、お正月にはテーギ(贈り物)として洋服を渡す文化があるそうだ。「なるほど」なんて思いつつ、私は仲の良い同僚から洋服ではないが「これはテーギだよ」と言われて可愛らしいピアスを貰ったことを思い出す。
もしや、これはお正月にかけて周囲の人間にテーギを貰ったりあげたりする必要があるのではないか?と思っていた。しかし、正確には目上から目下の者に服やお年玉と言ったテーギを送るそうで、やたらめったら周囲の人にあげるのではないらしい。
ホストマザーからも1人家に残る私に洋服のテーギがあった。
一緒に生活する中で、ギクシャクすることが色々起こるけど、それでも新年にはこうやってテーギをくれて、帰りが遅くなったら「今どこにいるの?」と心配のメッセージをくれる。そのことを考えると、ホストファミリーにとって私はちゃんと家族の一員なんだろうなぁと思って、ありがたい気持ちになる。何も分からないヘラヘラワガママピヨピヨ外国人と一緒に暮らすのは本当に大変だと思うからこそ、感謝の気持ちを忘れちゃいけないなぁと思う。
財布を買う
大量のテーギを購入する必要がなくなったとホッとしたのも束の間、急に自分用の二つ折りの財布が欲しくなり、買い物に出かけた。と言うのも、ホストマザーが二つ折りの財布が買える場所を教えてもらったからだ。現地の人が使用している財布は基本的に長財布が多いのだが、私はコンパクトな二つ折りが好きだったからだ。
早速、ホストマザーから教えてもらったお店に向かう。お店は年末の洋服を購入するお客さんでいっぱいで、スリランカのテーギ文化の底力を見た気がした。お会計をするにしても20分以上は並び、店員さんもいつも以上に慌ただしそうだった。
石鹸置き
次に別のお店で石鹸置きを買いに行く。石鹸置きなんて、正直どこにでも売っていそうだと思っていたのだが、お店はあるのに何故か石鹸置きだけ見付からず、結局今日に至った。
次に向かったお店でもさっきと同様に洋服を買うお客さんで溢れていた。周囲は何着も服が入ったショッピングバッグを持っているというのに、私は60ルピーの石鹸置き1つ。まるで違う動物の群れに迷い込んでしまった羊みたいな状況で、そんな言葉を考えながらレジを並んでいると前に並んでいたお客さんの子どもに見つめられていた。
「ハロー」なんて言いながら、少しだけ前に並んでいるお客さんとお話をする。彼女らもお正月用に大量の洋服を詰めたショッピングバッグを2つも持っている。しかも、スリランカでは洋服に万引き防止用のタグが付いていることが殆どなので、大量の服を買うとなると、ショッピングバッグ1つでも時間が掛かる。
気長に待つしかないなぁと思っていたら、前に並んでいた人たちは私が石鹸置き1つしか購入しないことに気付いた。彼女らは「先に会計する?」と聞いてきたものの、ちょっと申し訳なくて「大丈夫だよ」と答えた。しかし、彼女らは私のことがあまりにもパウ(可哀そう)に思えたのかもしれない。ショッピングバッグ1つの会計が終わった時に、「先に会計しちゃいな」と言って、もう1つのショッピングバッグの会計をする前に私に石鹼置きのお会計をさせてくれた。
たかが石鹼置き1つの会計なんて、30秒ぐらいだし、彼女たちにとっては何てことないことなんだと思う。それでも、こういう場面に出会うとスリランカの人って優しいなぁと感じる。
サリー買う
最初、シンハラタミル正月ってなんやねんとばかり思っていた。しかし、実際に年末にお買い物に出かけてみると年末のちょっとした高揚感があって、これはこれで楽しかった。そんな高揚感に私も乗っかってしまったのだろう。先日、サリー屋さんを訪れた時に可愛いと思っていたピンクのサリーを購入してしまった。
サリーはコットンやシルクなど色んな生地があるのだが、結局一番安いサラサラの生地がすぐ乾くしシワにもならないし便利だと気づいた。しかも安いので職場で多少汚れたり引っかけたりしても心的ダメージが軽い。
最早、サリーの購入なんてノリみたいな感じだったけど、これが年末の高揚感の罠か…と思っていると、結局日本にいた時と同じような感じだ。