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Nのために

※物語の内容にふれています。これから読もうとされる方は、ご注意下さい。

杉下希美(のぞみ) 大学4年生(文学部英文科)にとって、『究極の愛は罪の共有』

『大切な人を守れたのなら、それで満足だった』

事件の10年後、余命長くて半年となった段階で、想ったことが何とも切ないです。


本小説は、希美と、名前もしくは名字が『N』の4人の男性と女性『N』の純愛ミステリーです。


成瀬慎司(地元の同級生)…成瀬は希美にとって『最悪な状況から助けてくれた人』であり、希美は成瀬にとっても恩人であり、互いに秘かに想いを寄せている。

西崎真人(下宿 野バラ荘の隣人)…作家を志し、2年大学を留年している。少年時代に母から虐待を受けていた。その経験から野口奈央子を愛する。

安藤望(同じく 野バラ荘に住む)…西崎によれば安藤はバカ正直。希美は安藤にも恩を感じていて、事件当日安藤を守ろうとした希美の行動が事件の局面を変えた。

野口貴弘(安藤の上司)…部下たちからの憧れの存在。安藤も一時期そのように考えていたが、それほど立派な人ではないと思い始めている。

野口奈央子(野口の妻)…夫から虐待されつつも、夫を愛するがあまり、夫と希美が親しく接することが許せず・・・。

このような背景で、奈央子は夫を殺害した後、自ら命を絶つ…。という事件です。


事件後各々が『一番大切な人が一番傷つかない方法』を選んだと言えるでしょう。

西崎は奈央子を守り

希美は成瀬と安藤を守り

安藤が守りたかったものは、自分のキャリア? 将来?

成瀬が守りたかったのは、やはり希美ということになるでしょうか。


希美や西崎、安藤が守りたかった『もう一つのN』が、彼らが下宿していた『野バラ荘』そして『野バラ荘』の管理人さんでした。

複雑なパズルを解き明かすためにも、今一度最初から読み直す必要がありそうです。







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