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心細し

 家に誰もいない時間があるなんて、知っていたけど知らなかった。

 大学一年目の夏休みは、実家に帰省するのは恥ずかしいとカッコつけていたが、気軽に遊びに誘える奴もいない。

 9月になり、半そでで過ごしにくくなってきた。
 冬服をとりに実家に帰省してやろう。

 改札を出た時に、むわっとした空気が消え去り、深く息を吸い込めた。
 半年も離れていないが、すべてが懐かしい。

 コンビニに入ると、いつもの店員がレジを打っている。
 顔を見られないように、いつものコーヒー牛乳の紙パックを買う。

 何も変わらない家に感動しながら、チャイムを鳴らして、ドアを引く。

 ガッ!

 鍵がしまってる。カギを取り出そうと、ポケットに手を突っ込む。ない。
 そういえば、家の鍵と実家の鍵は違ったな。

 ドアにもたれかかり、家族に連絡を入れる。
 そりゃ、いないよな。
 ツクツクボウシの鳴き声が、心にしみた。

サポートされた暁には、しっかりと喜ぼうと思います。 普段飲む牛乳のランクを一つ上げます