本好きの中二病

 思春期の時に中二病にかかっていた人は多いことだろう。
 例にもれず、私もその1人で未だに完治していない。

 本好きの中二病の発病例として、「無性に人を殺したくなる」ことがあると思う。
 実際に人を殺したくなるわけではない。物語上で、人が死ぬことを望むようになる。人が死ぬことによって、物語が深くなってる感が好きでたまらなくなり、自分で創作した話でも、特に理由なく人を殺すようになってしまう。

 実際、人が死ぬ話で売れている本は多い。「デスノート」「ソロモンの偽証」「告白」などなど、あげ始めるときりがない。

 しかし、人が死ぬにはしっかりとした理由がないと、違和感が強い。違和感が強いとその作品に共感してくれる人がいないため、作品は売れない。そのため、「人が死ぬことによって、物語が深くなって売れている」ではなく、「物語が深いからこそ人が死んでも違和感がないため、売れている」が正しい。

 まあ、無駄に人が死ぬ軽い話を作ってしまった人も多いと思う。フォローすると、無駄に人が死ぬ話でも売れている本はある。なんで売れているか僕には分からないけど。
 鬼ごっこして、人が死んで何がおもしろいんだろう。

 さんざん書いたが、私はまだ中二病なので、今年に人がたくさん死ぬ話を書こうとしていた。

 設定はSF白雪姫で、なんでも知っている鏡がSiriのように、それぞれの鏡デバイスに配信されていたら?という話である。
 一見、人は死ななそうだが、私は国民の多くを無駄に殺そうとしていた。

 殺害方法は自殺で、「アノミー的自殺」によって多くの人を殺そうとしていた。
 「アノミー的自殺」とは何かというと、貧困やいじめによって生まれる自殺ではない第三の自殺動機であり、最近になって増えてきている社会問題の1つである。

 「アノミー的自殺」は自分と社会のつながりが薄いほど生まれやすい。自分の実力や考え方では、社会に出ても通用しないという絶望感から、自分が生きている価値を見失ってしまうのだ。

 僕は作中で、不思議な鏡が出まわったら国民全員が自分の実力を把握できるようになるなと思った。その結果、実力がある人がしっかりと評価されるようになる。そんな素敵な世界が生まれる一方で、自分の実力では、どんなに頑張っても上に行くことがない人、今の役職では実力が追いついておらず辞めさせられた人たちは自殺するなと思った。だから、殺そうと思って話を書き始めた。

 しかし、僕にはテーマがあまりにも巨大すぎて話の収集が付かなくなってしまった。人が死ぬと、労働人口がすくなって国が終わるなとはなったが、情報量が多すぎる。

 伝えたいテーマとしては、自分の実力をしっかりと判断してくれないとか、不平等であると叫ぶ人たちに、完全実力社会の恐ろしさを叩きつけたかった。非合理的な公正でも、平等でもない、今の社会を認めて、楽しもうぜ。というメッセージを込めたかったのだが、どうにもうまくいかない。
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カメ

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