資金調達しなくてもいいNELが、なぜ調達するのか

はじめまして。NEL代表の西田陸です。

昨日、累計約7.5億円の資金調達を発表しました。
SMBCベンチャーキャピタル株式会社、オリックス・キャピタル株式会社、株式会社ベクトル、三井住友海上キャピタル株式会社、三菱UFJキャピタル株式会社など国内外の投資家、合計7社の皆様に新たな株主として加わっていただきました。

本資金調達は、お取引会社様、パートナー会社様、ユーザー様のおかげで実現することが叶いました。そして今回ご出資いただきました投資家の皆様に改めて感謝致します。

昨今スタートアップが資金調達をきっかけに、noteを書くことが多くなりました。

自分にとってはNELは人生そのものだからこそ、今いる社員やお世話になっている方々にどういう想いで資金調達をしたのか、どんなスタンスで会社を経営しているのかを知ってもらえたらなと思いnoteを書くことにしました。

はじめに

NELは国内小売150兆円市場へ挑むリテールテックカンパニーです。

リテールにおける日本の店舗購入率はいまだ約90%です。一方、マーケティング活動は雑誌などの紙媒体から、デジタルに少しずつ移行しつつあります。ここのオンラインとオフラインの連携が大きな課題です。

その課題を解決するために、小売・メーカーの売上最大化とコスト最小化を実現するソリューションやプラットフォームを提供しています。

まずは、NELのこれまでをお話します。

創業から長いトンネル。リビングデッド時代。

NELは実は7期目で、2017年創業です。創業当初はnoteさんのようなコンテンツプラットフォームの事業からスタートしました。しかし、伸び悩み10ヶ月も経たないぐらいで撤退をしています。

そこから、何個も事業をつくっては撤退を繰り返し、メンズコスメのD2C事業などをしてました。

その間、会社はいつも1人でANRIさんやW fundさんのコワーキングスペースを使わせていただいていました。

事業が伸びていないのにランウェイは確保させている、いわゆるリビングデッドの状態でした。

個人的にはメンタル的にきつい時期はあったのですが、自分自身「特定のドメイン知識があったり、熱意があるタイプ」ではなく「事業作りそのものの謎を解くのが好きなタイプ」なので毎回事業を作るたびに、発見や学びがあり、楽しんでいました。
(当時から見守っていただいた株主の皆様にはとても感謝しております)

TikTokの広告事業を始めた社員がひとりもいなかった2-3年前

osinaローンチをきっかけに年400%成長へ

とあるご縁から、TikTokで活躍するクリエイターと知り合い、ショート動画の広告ご支援事業開始いたしました。詳細はこちらをご覧ください。

その中で、今のosinaという事業が始まります。

最初は、クライアントへの施策提供として誕生したosinaです。osinaはブランドとお客様を“推し“でつなげるプラットフォームです。

ユーザーはosinaに掲載されている商品の中から、愛用品や気になる商品を購入しSNSに動画を投稿。ユーザーは投稿した動画の再生数によって報酬を得ることができます。

ブランド様にとっては、一般的な「インフルエンサー」ではなく、一般消費者層の愛用者 = ファンによるFGC (Fan Generated Contents) を大量に、効率よく創出できます。

osinaは、単なる再生報酬型のサービスとしてスタートしましたが、たった1年で20億回の再生数と市場でも他社と比較しトップクラスの成長率を実現することができました。推しや愛用という個人が抱く思いの価値を広げることで消費と労働を変え新しい経済圏が創出されるのがosinaの本質的な価値だと思います。

現在では、ブランドとお客様を推しでつなげるプラットフォームとして安い商品を手に入れる行為ではなく、お客様の商品やブランドとの出会い、購入、利用といった消費活動を通して「好き」を体現することで、人生に自分らしい色を広げることを可能にするプロダクトです。

その結果、ブランドや小売は愛用者コミュニティを広げる推し買い体験の提供していくことがosinaの価値と考えてます。

すでに、大手の化粧品・日用品などの消費財メーカー様のご利用、ユーザー様も有名なインフルエンサーだけでなく一般の方もお使いいただき、週末になったらosinaのお買い物をしようという方まで増えてきました。

資金調達しなくてもいいNELが、なぜ調達するのか


本題ですが、成長時代を迎え、ありがたいことに直近事業全体は売上が昨対比205%で成長しています。

ここ3年は年平均でも400%成長をしてきました。またosinaは、サービス開始1年2ヶ月で昨対比1,000%となりました。

NELの業績面を考えると、ランウェイを伸ばす調達は必須ではありません。

NELを創業した2017年以降、起業のやり方はさらに多様化し、情報流通も進み個人商店のような起業や大きくJカーブを掘るスタートアップ的起業、初手からM&Aをしかける起業などたくさんの方向性が業界で示されるようになりました。

出口としても、M&AなどIPOだけでない選択肢も急増しています。

最近起業した方と話しても
「資金調達ってぶっちゃけどうですか?」
「メリデメを教えてください」
「VCからのプレッシャーってありますか?」
などそもそも調達するかどうか自体から論点になっているケースがあります。

さて、
「資金調達をしなくてもいいNELが、なぜ資金調達をするのか」

業績面を考えても調達の必要性がない中で資金調達をしたのは、NELは小売産業において消費と所得の向上を担い日本経済に寄与する会社になりたいからです。

NELではtoCの個人のユーザー様、クリエイター様と日本経済の一翼を担う名だたるメーカー様、小売様と多くのステークホルダーを巻き込む事業をしています。

自分たちが目に見えてる以上に、多くの人たちの人生に影響を与えることになります。

近くを歩けば、お取引先のドラッグストアがあったり、友人宅にいけばお取引先の化粧品があったり...SNSを開けば、NELが手がけたコンテンツがふと流れてきたり...

NELのお仕事は、自分も自分の家族にも、影響を与えます。その1つの影響が、つながり、大きくなり、1人の人生を変えます。その先には、産業を変え、日本経済そのものをもっと良くしていく可能性があると日々感じてます。

これは責任という側面と同時に、スタートアップは願いの集積地の側面もあると思います。「あなたの」、「産業の」、「日本の」責任と願いを大きく背負える器にNELをしたいと思いました。資金調達をしなくてもいい会社が資金を、願いを集め新しい景色を「あなたと」見たいのです。


これからのNEL

これまで高度経済成長期・不景気と長きにわたり、日本経済の中心で消費を創造してきた日本の偉大な小売企業が数多くあります。

その歴史はモビリティと店舗拡大/規模化によって成長してきました。

しかし、昨今はそれだけでは産業の成長は鈍化し、新たな消費創造が難しくなりました。

日本の所得は1992年が歴代最高のピークとなり、2018年の段階でピーク時から40万円ほど少なくなり低所得者層が増加しています。

一方で家計消費支出やGDPに占める個人消費の割合も停滞状況です。

NELは情報・もの・人をつなげることで、消費と収入の流動性を高め、小売業界をアップデートします!

それに向けて元サイバーエージェントで副業としてずっと関わってくれていた寺尾がCOOとして就任し、経営体制も強化しました。

会社も大きくなってきたため、改めて進むべき方向を言語化するためにパーパス、ミッション、バリューも定めました。

歴史ある業界で事業を展開するからこそ、理想からはじめパートナーと共に変革を起こすことを前提に、NELで働く全員が成長し、未来を実現する成長サイクルを構想したパーパス、ミッション、バリューになってます。

・パーパス
産業革命の中心を、ここに

・ミッション
産業革命を起こすマストハブカンパニーを創る

・バリュー
(1)Positive to goal:理想からはじめ、可能思考で実現せよ。
(2)Big Impact:インパクトが大きな行動をせよ。
(3)Always Professional:常にプロフェッショナルであれ。
(4)Change for growth:限界のない変化と成長を続けよ。

少しずつではありますが、仲間も増えています!NELの社員は役員含めて9名(社員は7名)になりました。スタートアップに入るなら社員が一桁の今です!

「役員と社員9名で昨対比205%で会社成長、osinaは昨年対比1,000%以上再生数が増加」と伝えると、投資家さんに驚かれることがあります。

ただ、NELが目指すところは150兆円の小売マーケットです。プロダクトもセールスも注力したいところで手が届き切れていないことがいっぱいあります。

NELにはこの大きな市場で壮大なミッションを実現する仲間が必要です。

いまが一番面白いフェーズだと思っています。

これから多くの機会が訪れます。そんな機会にたくさんトライしていきたいと思います。

一度きりの人生で今日を、今を生きているか?

少し話が変わりますが今回の資金調達の目処がつき、9月中旬に友人の結婚式で実家の大阪に帰りました。

帰ると、母と祖母はいつも通り僕を迎えてくれました。

しかし、祖母は少し体調も悪そうで元気に話しかけてくれはするものの歩くのも辛そうでした。それでも孫の僕に心配かけまいと、いつものように振る舞っていました。

僕自身、実家を出るまで家庭環境の影響で祖母に育てられていました。

僕にとって祖母は母親のようで、自分が仕事を頑張る理由の源泉でもあります。

実家に帰ると、祖母に「好きなように、好きなことをしたらいいんやで」といつも自分の想いを尊重し好きなように生きなさいと教えてもらってました。

今回も実家から東京に戻る際、創業時代にお金がなくてご飯も食べれなかった時を知っているからか、「お金あるか?、ばあちゃん年金もらったから持って帰り!」と「もうごはんも食っていけるし、貯金も少しはしてるで」と答え、「楽しく仕事できてるんやったらよかったわ」と祖母も母も言ってくれました。

自分もありがたいことに、自分が好きなことをして、楽しい人生にできているなと、振り返っても思えます。

祖母と僕


その日から一週間後、祖母が亡くなりました。

僕は死に目にも会えませんでした。東京で頑張っているから体調が悪くなったことを僕には言うなと母に伝えていたみたいです。

最期まで辛い姿はみせない我慢強い祖母でした。それでも祖母は友人や親戚には僕のことを自慢してくれていたことを後から母に聞きました。

孫としては、これからたくさんの晴れ姿をみせたかったところですが間に合いませんでした。

祖母への感謝、最期に会えなかった後悔、彼女の人生への尊敬という様々な感情が生まれました。同時に、自分自身の人生への恐怖もありました。

人間は死にます。今日という日を後悔したくない。時間は止まりません。今日も明日も有限です。明日にはなくなる命かもしれないからこそ、フルスイングで意味ある人生にしたいとふんどしを締め直してNELが背負える願いを実現していこうと思います。

そうすれば自分が年老いて、子供や孫ができた時には誇れるおじいちゃんになっていれるかなって思ってます。

最高の人生をNELに入ってもらう全員と、NELに関わってもらう全員に感じてもらえるような大きな器の会社にしていきたいです。

NELで働くメンバー

NELのオンライン会社説明会を行います


NELのことを初めて知った方もいるかもしれません。社員7名で売り上げは10億円を超える規模になりました。やりたいことに対して仲間が足りていません。

代表の西田と、COOの寺尾で会社のことや業界のことを語り尽くします。

【日程】2024年12月4日(水) 19:00 開始
【登壇者】NEL株式会社 代表取締役社長 西田 陸/執行役員・COO 寺尾 直人
参加URL:https://forms.gle/bTcmvh4ULpVQL4vM9

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