No.128 「おじいちゃんの役割」
8月のお盆は、お供えしたお仏壇を囲みながら家族で団らん。我が家の慣習だ。
父と娘は、きゅうりとなすを使って馬と牛作りを楽しみながら、次のような会話をしていた。
父:お先祖の皆さんは、この馬(きゅうり)に乗っておうちにいらっしゃるんだよ。そして、お盆が終わると牛(なす)に乗って、霊界に帰って行かれるんだよ。
娘:どうし馬と牛なの?
父:馬は足が速いだろう。だから、馬に乗って早くおうちに来てもらいたいんだよ。牛は、ゆっくり歩むだろう。帰るときは、さびしいからゆっくりと帰ってもらいたいんだよ。
こんな会話が、日本からめっきり少なくなっているように感じる。
今月15日は66回目の終戦記念日。父は、戦争の恐ろしさや悲惨さを、娘に分かる言葉で語ってくれている。幼子ながら神妙の面持ちで聴いている。
戦争を知らない私が語るのと、戦争を知る父の言葉とでは、遥かに重みが違う。
慣習、ご先祖、戦争、死。これらは年の功。
語るに重みが増す。我が家では、おじいちゃんの役割。
2011年8月