勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方vol.30「僕は野球を観る目でサッカーを観ている」

いつだったか「サッカーはベンチの指示に頼らず選手が自分の判断で行動することが求められるスポーツ」「野球はベンチの指示に従って選手がプレーするスポーツ」といった内容の記事を読んだことがある。

野球の知識がサッカーを観るとき大いに役立っている

詳しい内容は忘れてしまったけど「サッカーのように自分で考えて行動していく人が会社にも必要」みたいな結論で締めくくられていたと記憶している。

前置きはさておき、僕は「野球を観るようにサッカーを観る」人である。何を言っているのかと思うのかもしれないが、野球を観るときの視点がサッカーを観るときにとても役に立っている。サッカーのYouTubeはあまり観ないけど、野球のYouTubeはよく観ている。

野球を観ていると監督が何を考えているのか、チームがどう運営されているのか、選手がどう考えているのかよく分かる。野球は試合数も多いので、どう勝つのかより、どう負けるのかに監督の力量が問われる。最近はMLBでのプレーを経験した監督も増えたので、アメリカでの経験を活かしてチームをマネジメントする人も増えた。

いまプロ野球を観ていると、北海道日本ハムファイターズは面白い。新庄監督は「どう負けるのか」を考え抜いた上で選手を送り出している。

2022年シーズン途中でアナハイム・エンゼルスの監督を務めていたジョー・マドンの振る舞いも印象に残っている。彼の取り組みを詳しく知ろうと「CUBS WAY」という洋書を手にとって読んだくらい。これは何度も読み返したいくらいの良書だった。

僕が野球で学んだのは「ボールが転がっている時間をできるだけ短くする」「次の行動に移るために無駄な動作を省く」ことの大切さだ。ゴロをできるだけ転がさずにとって、素早く投げる。ボールが転がっている間は何が起こるか分からないので、できるだけ早くボールを捕る。ボールを捕ったら素早く正確に投げる。動作を正確に行うことが速さを生むということを、僕は野球を観て学んだ。

あと浮いているボールの落下点への入り方の良し悪しを見極めるのに、野球でフライを捕る練習をした経験が役に立っている。落下点への入り方、スタートの切り方、ボールの目の切り方、ジャンプのタイミングなどなど、野球やってた人からすると、サッカー選手の動きはGK含めて無駄が多い。

シュートの狙い方も野球に似ている。シュートを打つときは「コース」「球種」「タイミング」の順番で決断して実行する。球種とコースの選択を決めるのは投手の配球に似てるし、狙ったとおり蹴るのは野球に例えると「ロケーション」の技術だ。

落合博満さんが中日ドラゴンズの監督を務めていた頃、落合さんはスタメンの固定は100試合から。後半が異常に強い。シーズン序盤はいろいろな選手とテストして最適な組み合わせを試し、試合ごとに選手に課題を与え、少しずつその年の選手に合わせてチームを作っていく。本当に魅力的なチームを作り上げていた。僕は落合さんからかなり多くのことを学んだ。

僕にとって東尾修さんと権藤博さんの1年を追ったNumberの連載は最高の教科書だった。東尾さんの「チームが勝てなくなったら一番最初に居場所がなくなるのはベテラン」という言葉は野球だけではなくて仕事にも通ずる話だし、権藤さんの「Kill or be killed(やるかやられるか)」「一度やられたらもう一回同じことをやれ!」という言葉も同じ。僕の言葉は権藤さんの受け売りだ。

僕はサッカーのことは野球を観るように観ている。野球から多くを学んだ。僕のサッカーのコラムの何割かは野球で出来ている。

大和シルフィード分析サポート担当の日記

アスリートでも、コーチでも、監督でも、トレーナーでもない僕は、スポーツに関係ない仕事で培ったスキルや知識を活かして、スポーツを分析しています。このコーナーでは、2022年シーズンを分析サポート担当として戦う大和シルフィードのことを書いていきます。


よいトレーニングはよいワークショップでもある

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スポーツのコラムにプラスして、日記を書くことにしました。日記には、お会いしている人の話、プロジェクトの話、普段の生活など、表に書けない話を書こうと思います。

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