勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方vol.11「戦争と広告」

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戦争と広告

少し前になるけど「戦争と広告」という本を読んだことがある。

「戦争と広告」は第二次世界大戦当時、資生堂の広告を手掛けた山名文夫、森永製菓の広告を手掛けた新井静一郎といった当日の広告業界のトップランナーたちが、内閣情報局と大政翼賛会の依頼を受けて、国民の意識を戦争協力へと向かわせるためのプロパガンダに力を入れていくまでを描いた作品だ。

彼らは軍国主義一色の当時の日本で思うような広告制作活動が出来ないなか、葛藤を抱えながら思うように制作させてくれる依頼者の仕事に没頭していく。そして終戦後、元の仕事に戻った者もいれば、別の業種の仕事に戻った者もいる。

当時大政翼賛会に在籍し、彼らに仕事を依頼していた人物に、後に「暮しの手帖」を創刊した花森安治がいる。NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」でも話題になったが、戦争協力に向かわせる広告を依頼していた人物が、終戦後に市民の生活に関するコンテンツを制作する側に移ったのは、当時彼らがどんなことを考えていたのかを象徴している気がする。

書きながら、宮崎駿が「風立ちぬ」で描いた零戦を設計した堀越二郎のことを思い出した。

彼らに共通するのは、戦争に対して心から賛成していたわけではないということだ。自分の力が活かされる仕事が戦争に関することであったというだけであり、極端な言い方が許されるならそういうことだ。

僕は「戦争と広告」を読んだときに考えたのは、戦争と広告で描かれている人物と同じことが自分にも起こるだろうということだ。自分が担当している仕事がいつのまにか戦争に間接的にでも関わる仕事になり、家族を食べさせるために葛藤を抱えながら仕事をする。そんなことが起こらないとは限らない。そう思ったのだ。広告やマーケティングの仕事をしていると、依頼主の依頼には逆らえないという考えを持っている人がいるので、決して夢物語のではないのだ。

ロシアやウクライナのニュースを目にするたびに考えるのは、「戦争と広告」で描かれたような人が両国にいるんだろうな、ということだった。自分が普段仕事していることが戦争に関わる仕事にいつのまにか変わっている。彼らはどう考えているのだろうか。そして、自分が同じような立場になったとき、自分はどうするのか。そんなことを頭の中でグルグルと考えながら日々の仕事に向き合っている。いや、向き合おうとしている。

ロシアやウクライナの出来事は、自分の身の回りで起こらないとは限らないし、自分も急に同じような目にあうのではないか。2020年以降に起こった出来事を通じ、対岸の火事は対岸の出来事ではなく、状況は一瞬にして変わり、これまで起こらなかったことが起こるということを身にしみて理解している。だから、日本に住んでいても、他人事にならないのだ。

皮肉なことに、ロシアやウクライナの出来事はCOVID-19が収束しつつあることを示した。これまで滞っていた軍事活動が実は収束したわけではなく、マグマのように地下でくすぶっていただけだった、ということも示された。アフターコロナは多くの人が望まないかたちで始まった。始めた人以外は。

現在宮崎駿さんは「君たちはどう生きるか」という映画を製作している。今の時代にこれほど最適なタイトルはないと改めて思う。君たちはどう生きるか。この時代に生きる人々は大きな問いを突きつけられている。

From Yamato to Barcelona

3月26日にSAJ2022第2弾の出演者が発表されました。

第2弾の目玉は2017年から2021年12月までFCバルセロナのHead of Sports Technology, Innovation & Analysisを務め、Barca Innovation Hubの責任者でもあったRaul Pelaezの登壇が決まったことではないかと思います。

RaulはMatch Analyst Manager (1st Team Football)でもあったので、FCバルセロナの試合分析からデータサイエンスの導入まで主導していた人物です。近年注目されるFCバルセロナのデータサイエンスに関する取り組みのキーマンだったと言えます。

Raulがアサイン出来るかもしれない、となった頃、僕はセッションの企画を普通とは違う立て付けにすることにしました。

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スポーツのコラムにプラスして、日記を書くことにしました。日記には、お会いしている人の話、プロジェクトの話、普段の生活など、表に書けない話を書こうと思います。

Jリーグ、海外サッカー、ランニング、時事ネタなど、自分が普段楽しんでいるスポーツの楽しみ方について、ちょっと表で書けない話も含めて、4,0…

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