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『なんとなく』って誰のため? 〜デザイナーズマインドセット〜

はじめまして。
Supership株式会社で、ウェブデザインを担当しているnishと申します。
デザイナーとして、15年くらい小さなサイトから大きなサービスまで、スタートアップなどに携わってきました。

今回の投稿は、私の所属しているデータソリューションスタジオ(DSS)の勉強会で今年の7月にお話しさせていただいたことを、社外のみなさんにも見ていただけるように編集したものです。

特に以下の方のご参考になればとてもうれしいです。

・デザイナーを目指している方
・デザインにご興味がある方
・デザイナーじゃないけれどデザイン関連の依頼を受けることになった方
・デザイナーとお仕事される別業種の方

はじめに

デザイナーって、目に見える部分を担当することが多い職種です。
これって当たり前のことなんですが、ここが一番たのしいところであり、一番むずかしいところでもあります。

なぜなら、
「誰にでも見えるからこそ、誰からでも意見が飛んでくる。」
という立場にいるんですよね。

その道のプロにしか見えないものではなく、スクリーンを通していつでも誰にでも見えてしまうものを取り扱っています。

そして、「誰でも見えるということと、パッと見た人がその文脈やゴールを理解できるかどうかとは全く別である」ところが、デザインプロセスの中で思わぬ大きな課題になることがよくあります。

またデザイン全般について詳しく知らない方(ご依頼主のお客様や、プロジェクトメンバー、プロジェクト外メンバーなど)から、突拍子もないご意見やご要望がいきなり大砲のように飛んでくることも、デザイナーにとっては日常茶飯事だったりします。

その声が大きいほど、「そのままご要望の通りに作ることが必要なんじゃ…?」と二の足を踏むことも多いと思うのですが、
ご意見を詳しく掘り下げてみると、「なんとなく直感でそう思った」、「他社はそうしている」、「これがかっこいいと個人的に思う」などなど、
その方が今現在感じている範囲の所感について話されていることが多いことに気づきます。

ある程度デザインに知識のある方は、明確な理由やゴールを元にして意見を述べられている場合も稀にありますが、
経験上ほとんどの場合「その人に関連するあらゆる要因が大きく影響したもの」をご意見として述べられています。
また、掲げられている当初のゴールとは関連性のない箇所に対する強い要望を主張されている場合も多く見受けられます。

ではそれらの意見を気にしなくていいのかというと、もちろんそうではなく、たくさんのヒントが隠されています。

その方が何を言わんとされているのか、
そのご意見のベースになる観点はどこに由来しているのかなど、
真に目指すべき場所はどこなのかを対面で話し合いながら、言葉の裏に目を凝らして、状況や方向性を読み解いていくことがデザイナーに一番求められる部分であり、自身のオリジナリティに直結するところだと思います。

デザインはコミュニケーションを可視化すること

「デザイン」という言葉の意味って、検索するといろんな意味が出てきます。
そもそもが外来語ということもあって、ずっと捉えにくい言葉として使われている感覚があって、何かもっとわかりやすく説明できないかな?と考えていました。(他にもプロデューサー、ディレクターなどのカタカナ言葉の職種は特に同じ状況に立たされていると思います。)

なぜなら、デザインという言葉の掴み所がむずかしいからこそ、詳しくない方にとっては、デザインに対してどういう意見を出せばいいのかすら分からなくなってしまっていることもあると思ったんです。
そしてそういったご意見にデザイナー自身も戸惑ったり、どういう方向性にすればいいのかを必要以上に迷ってしまって時間のロスに繋がってしまうというのがよく起こりうるケースだと思います。

私は経験を重ねていく中で、

デザインは、ユーザーの課題を解決するためのコミュニケーション。
UXDは、ユーザーの課題を解決するための「長期的な」コミュニケーション。

だと強く感じるようになりました。
つまり目に見える形で、コミュニケーションを可視化することがデザインなんだと思います。
デザインとコミュニケーションは表裏一体であって、絶対に切り離すことはできないものです。

「デザインは、ユーザーに適切なコミュニケーションを図ること。」

と捉えると、すごくわかりやすくなりませんか?
いかにデザインに使うソフトウェアツールを巧みに使うことができたとしても、お客様(ご依頼主様)やユーザーの方とのコミュニケーションの部分が抜け落ちてしまうと、それはもうデザインに最も重要なものが抜け落ちてしまうことだと思うのです。

例えば明らかに間違った形としては、

・じっくり商品を吟味したい人に対して、突然カスタマーサービスとのチャットが始まって、集中を妨害するようなデザインを施してしまう。
・とても高い買い物なので、慎重に手続きを進めるために商品比較をしたい人に対して、あらゆるところに購入ボタンを設置することによってCTRを向上させようする。

ことなどが挙げられます。

ちょっとした拍子にクリックされ、短期的に見ればコンバージョンがアップしたように感じることもあるかもしれません。
ですが、お客様からすれば、
「目的を突然妨害されて、意図しないことを強制させられそうになった。」と強く感じるはずです。

いくら時間をかけてPRして興味を持っていただけたとしても、
その不自然な振る舞い1つで信頼関係は破壊され、長期的な目線で見た時にリピート率や離脱率に大きな影響が出てもおかしくないわけです。

デザインはコミュニケーションそのものなのだという認識を強く持ち、それを関係者の方達に共有することで、このようなミスは簡単に防ぎやすくなってくると思います。

デザイナーの仕事をもっとオープンに

デザイナーといえば、「目に見える華やかなものを作る人」というイメージが未だにとても根強い印象ですが、

「目に見える部分は、見えない部分から導き出された結果の1つの形。」
だということ、

つまり目に見えない部分に時間をかけて掘り下げていくことで、目標となる見せたいものの輪郭がはっきり見えてきて、それを形にしているんだよというデザインプロセスの全体像を、デザイナー自身がもっと対外的にシェアしていくことが重要だと思います。

「説明しないということは、どれだけ考えて作られたものでも、意図がそもそもないと判断されてしまう」ことにもなり兼ねないので、相手方の見た目の好みでデザインが決まってしまい、本来の目的を達成できなくなる可能性が高まります。
アウトプットに関して積極的に(プロセスも含めて)ご説明していくことが重要で、これもデザイン=コミュニケーションの重要なパートの1つです。

もちろんスピードを求められるスタートアップにおいては、誰かの直感を選択して成功する面も稀にあるかもしれませんが、
規模が大きくなればなるほど、ユニークなブランド構築を推進するほど、デザインの責任範囲は広がり、その場の誰かの意見のみを最優先にした選択は、サービス全体にとって長期的なロスに繋がる可能性が格段に高まります。(もちろんイノベーションと区別する視点も必要になってきます。)

このことから、他の職種と同様に、デザイナーの独自の目線や前提・背景をご紹介することで、デザイナー自身もよりスムーズで有意義に時間を使えるようになるのではないかなと思い、この発表資料を作ってみました。

デザイナーの皆さんには、ぜひ自分だけのデザイナー紹介資料を作っていただいて、いろんな方にシェアいただけると、もっともっとデザイナーが動きやすい現場になるのではないかと思います。

前置きが長くなってしまいましたが、
この資料は自分の経験を基に、出来るだけ分かりやすく噛み砕いた内容にしています。至らない点はあると思いますが、少しでもご参考になればとってもうれしいです。

発表資料はこちらです

公開できない資料も含まれているため、本来の資料より短くなっています。あらかじめご了承くださいませ。(PDFファイルがダウンロードできます。)



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