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「遺失物統轄機構」架空のゲームの攻略本ってどういうこと?

先日発売された、イラストレーターのほし氏による画集、「遺失物統轄機構」を購入しました。

本作は、作者であるほし氏がSNSに投稿している、実在しない架空のゲーム「遺失物統轄機構」のイラストを、攻略本という体裁で一冊にまとめたもの。

大まかなゲームの内容としては、遺失物統括機構という組織に所属する名無しの主人公が、怪事件を引き起こす「遺失物」を回収するためにとある地方都市に潜入し調査する、というもの。

ゲームの雰囲気としては、「バイオハザード」や「The Last Of Us」を思わせる、ホラー要素を含んだアクションアドベンチャー。たぶん怪異に見つからないように隠れながら進んだりするんだろうな・・・。どことなくやったことのある画面のおかげで想像が膨らむばかり。

上記のイラストなんかは、登場するキャラクターとの会話パートで選択肢による分岐が発生し、その後アドベンチャーパートで「遺失物」を調査、出会った怪異を倒すために弱点を探してやっと倒したらアイテムがドロップ、自キャラを強化して新たなミッションへ・・・。みたいなゲームの流れやストーリー性を感じられる。

ゲーム画面風のイラストで多くを語らない作風によって、こちらの想像力で補完するのが非常に楽しい。欲しかったゲームを買って家に帰るまで待ちきれなくて説明書を先に読んでしまうあの感じに似ている。

そしてこの画集の最も特徴的かつある種イカれた内容の一つである、「攻略情報」のページ。SNSにも投稿されていない描き下ろしとのこと。どこにも存在しないワールドマップのどこにも存在しないドロップアイテム、ボスの倒し方やフローチャートに至る細部まで記録されている。

ここまで詳細な情報が出ていると、本当に先にゲームが作ってあって後発の攻略本として発売したみたいに見える。ていうか、もはやこのゲームやったことある!と思うぐらいの錯覚に陥れられる。細部まで作り込まれた嘘はもはや現実、といっても過言ではないだろう。

絵の雰囲気の良さと架空のゲームという意外性で買ってみたがここまで良い作品だったとは・・・。ここまで世界観の作り込みができるなら、もうあとはゲームとしてリリースしてくれれば言うことはない・・・!こんなにもゲームとして存在しないことを悔やむほどよくできた作品なので、皆さんも是非。

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