千仙堂(にせんどう)

小説サークル千仙堂のアカウント。 基本的には大型犬P1123が執筆、たまに配信者の看板娘(男)の黒井千仙丸が顔を出すかもです。

千仙堂(にせんどう)

小説サークル千仙堂のアカウント。 基本的には大型犬P1123が執筆、たまに配信者の看板娘(男)の黒井千仙丸が顔を出すかもです。

最近の記事

緋色の月が浮かぶまで(7)

前回はこちら↓  日が落ち始め赤い光が石段を照らす。長い石段をゆっくりと踏みしめながら登る。 「赤いのぉ」  言葉を紡ぐが特に意味はない。率直な感想じゃ。  境内が見えてくる。儚き赤が時期に夜色に変わって行く。  緋月は賽銭箱の前の段に座り十と犬を撫でている。我に気付いたのか少し微笑んだ後、再び二匹を撫でる。 「帰ったぞ!」  声をあげ、我は手水舎の方へ向かう。雷蔵がそこにいたからじゃ。  雷蔵も我に気付き首を傾げる。 「む? 緋月様の傍にいかぬのか?」 「今日は客がおるか

    • 緋色の月が浮かぶまで(6)

       我は村に行く為の支度をし、石段を降りる。  道はわからぬが人の気配を辿ればすぐに到着できるじゃろう。 「簡単に言ってくれるがのぉ」  して、村に来た我は多少困っている。と、言うのも村の者は忙しそうにしておる、狩りの準備をしている。  この村は秘匿された村、真面目にやらねば食に困る事になる。じゃから声をかけるのは気が引けるの。 「あ、緋月さまだ!」  緋月と呼ばれ足を止める。振り向くと童子が二人、我の顔、いや頭を見て止まっておる。  見れば少し怯えた表情をしておる。 「あ、あ

      • 緋色の月が浮かぶまで(5)

        前回はこちら↓ 家族  時が経つのは早いもの。雪解け、桜舞う時期。  境内には立派な桜が咲き、我は定位置となった屋根の上から見下ろしている。 「見事じゃ」 「コン」  饅頭を十と食べながらしみじみと呟く。  嗚呼、別れが近いのだと、桜の花びらが舞うたびに我は顔を伏せる。  ならんのぉ……こんな様子、緋月には見せられぬ。 「春ですね~」 「緋月! あぶないぞ!」  屋根に登る緋月。危なっかしいので思わず止める。梯子から踏み外しそうになったので慌てて手繰り寄せた。  緋月の体温

        • 緋色の月が浮かぶまで(4)

          前回はこちら↓ 「墓……」  線香に火をつけ、緋月は手を合わせた。表情からは感情がうまく読み取れぬ。どうもこの墓に眠る者には複雑な感情を抱いておるようじゃ。 「妖怪さん。また、きたよ~これで、何度目だろう? 今日は十も……次郎も一緒だよ~」 「妖怪が眠っておるのか」 「ここに住んでいて、私を見て緋月が来たと喜んでくれたの」  遠く、優しい目をした緋月の様子からその妖怪が言う『緋月』が別の者だと言う事が何と無く感じられる。  それでも緋月はその事を告げなかったのじゃろう。自ら

          緋色の月が浮かぶまで(3)

          前回はこちら↓ 舞  我は空を見上げる。  この寺の屋根の上はやはり地にいるときより天が近いのぉ。  それにこの雪じゃ、知らぬうちに降りしきり降り積もりよってからに。日課の屋根のぼりがし辛くてたまらんわ。 「そう思わんか?」  膝元で寝転がる十の背を撫で、こやつを抱えたまま賽銭箱の前に飛び降りた。  緋月の社、この名も無き村で緋月の為にある場所……何故緋月が神のように扱われておるかはまだ教えてはくれぬ。  もう六十も月が昇ったのじゃ、少しばかり教えてくれても罰は当たらぬと思

          緋色の月が浮かぶまで(3)

          緋色の月が浮かぶまで(2)

          前回はこちら↓ ……… …… …  再び目覚めたのはいつもと違い冷たい風に晒されたから。どうやら、昼間開け放たれた扉がそのままになっておったよう。  あはれ、いと寒しや。 「う……」  力を振り絞って身体を起こす。大分回復したがまだまだままならんのぉ。  壁際に移動し、我は身体を丸める。  やはり、寒か…… 「あれ、あれ? 鬼さん? どちらー?」  月明かりが遮られたと思えば、緋月か……声は出ぬな。 「わぅ!?」  鬼はこちらじゃ身の鳴る方へ。  不自由な身体をそのまま倒す

          緋色の月が浮かぶまで(2)

          気ままにのんびり語ろうか(黒井千仙丸)

          はじめましての人ははじめまして、そうじゃない人にもはじめまして。 サークル千仙堂看板娘(男)の黒井千仙丸(にせんまる)です。 というわけでのんびり書いていくわけですが。何を書こうか。 ううむ、じゃあ自分の物の見方についてでも~ 僕は創作物を娯楽として享受する時に大切にしている事がある。 それは『批評家目線にならない』という事。 無論、批評家がダメとかいうわけでもないのだけど……まぁなんというか、人生を楽しみたいと思ってそんなスタンスを取っている。 批評家目線で色々考えるよ

          気ままにのんびり語ろうか(黒井千仙丸)

          緋色の月が浮かぶまで(1)

          はじめに本小説は2019年に千仙堂として出した小説です。 大幅に加筆や修正をする予定です。 鬼と巫女の恋愛のお話。『昔』という時代設定などは細かく設定しておりませんのでふんわりと楽しんでいただければと思います。 執筆:大型犬P1123 鬼と巫女……… …… …  我は鬼、我は……  鎖に繋がれ、幾年、幾百年、朽ちた小屋に一人、つながれ……思考が纏まらぬ。  いつまでここにいれば良いのだ……? 過ぎ去った時は記憶を風化させ、今ではもう何故ここにいるかもわからぬ。 「こんなとこ

          緋色の月が浮かぶまで(1)

          大型犬としての活動(大型犬)

          はい、と、言うわけでサークル千仙堂の大型犬P1123です。 最後に千仙堂として執筆したのももはや昔、今は配信者の黒井千仙丸の裏方になっています(と、言ってもこちらも今はほぼノータッチですが) まぁ大型犬という存在を一旦区切ろうという事でXの方のアカウントはとりあえずログアウトして、また半年ぐらいしたらそっちのアカウントは鍵にでもしようかなと思います。(DMのログは残しておきたいので) 自分も一応、物書きですからきちんと終わりという物をしないとなと思い、こんな感じにさせてい

          大型犬としての活動(大型犬)

          千仙丸方針説明(バーチャロンについて)

          最初のノートがコレになるのはちょっとアレではあるが、バーチャロン関連の良くない話が入ってきたので。千仙丸の配信に付いて1つだけ。 「バーチャロン」配信についてはこの私、大型犬がストップかけてたりします。 と言うのも千仙丸もプレマしたいなぁとなってるタイミングで某スペ使いの煽りによるちょっとした騒動がありまして…… まぁそれだけなら良いのですが、その時の関係者の動きに引っ掛かりを覚えたのですよ。 まず煽った側が悪いのはまぁ大前提として、 配信後にありがとうございましたみたいな

          千仙丸方針説明(バーチャロンについて)