アレスの天秤観たよってお話

どもです。

令和に入ってからイナズマイレブンにハマっておりましてアニメを放映順に見ており、先日ついにアレスの天秤まで観ました。
今回はその感想を。


【CAUTION】この記事には作品のネタバレを含みます!【注意】
それでも大丈夫な方はそのままお進みください。







個人評価

★★☆☆☆

5点満点中★2といった感じ。
全体的に必要な描写が不足していたものの、何を描きたいかは伝わった…という印象。

年齢層を上げていると感じる部分が多く、言ってしまうと女性の大きなお友達向けの要素が色濃く出ていた。
具体的に言うとライバルキャラの出番の多さ露骨なシャワーシーン同性への愛を想起させる言い回しなど、これまでのシリーズでは「視聴者が解釈して盛り上がる」部分であったのが「公式から提供されている」と思えるくらいに露骨だった。


よかった点

キャラデザが良い
 言わずもがな。

ライバルキャラである灰崎の描写が丁寧
 彼が戦う理由やサッカーで変わっていく様子がこれでもないかというくらい深く描かれている。
 これについては賛否両論な面もあるので後述。

・面白い試合は面白い。
 例えば白恋中との試合は、突飛な作戦に対して回答を出して攻略する従来の流れを踏襲していて面白さを感じた。

描きたい部分は伝わった
 灰崎と野坂の確執、野坂と西蔭の関係性、パラレルだからこそやりたかったことなど。
 裏を返せばそれ以外(主に雷門チーム)が舞台装置に感じた。


よくなかった点

主人公サイドの描写が少なすぎる
 公式から3人の主人公と銘打って入るものの、基本的に雷門チーム所属の「稲森明日人」メインで話が進むのだが、彼および今作の雷門の描写が圧倒的に不足している。

 明日人は「サッカーが好き」と「冒頭で母親が死んだ」以外にキャラ特徴がなく、初代やGOのような特訓シーンの描写が少ないためいまいちサッカーバカ感が足りない。
 サッカーに対する熱意を感じられず、加えて特に挫折も苦戦もないのでキャラとしての成長もなく、雷門サイドのキャラという舞台装置感が強い。

 雷門チームに至っては日常や練習シーンが大幅にカットされているせいでキャラ同士の掛け合いが少なく印象に残りにくい。
(メガネくんの名前とか最後まで覚えられなかった)
 チームの仲違いや仲間が葛藤を乗り越えるシーンを残り3試合とかで描写し始めるのはあまりにも遅すぎる。

 必殺技習得の描写の仕方も逆で「試合中に必殺技を出して練習を回想する」のと「練習した必殺技を試合中に出す」のでは重みが違いすぎる。

 良い点として灰崎の出番の多さを語ったが、逆にそのせいで中身も思い入れもないチームがなんか勝ちまくるという印象に。
 倒した相手チームとのその後の絡み等もなく、今までのような終盤の激熱展開ももちろんない。

監督が有能すぎる
 突飛なことを言って選手に勝利のヒントを与えるのは監督の役目だが、そのおかげで毎回楽に勝利してしまうほど結果に影響を及ぼしてしまうのはいかがなものか。

 確かに全く指示もメンタルケアもしないどころかチーム指揮を下げまくる監督も過去にはいたが、ここまで有能だとかえって選手が操り人形に見えてしまう、というか実際操り人形ばりに指示出ししてたシーンもあった。

勝率がよすぎる
 これまで味方チームが2点以上差を開けて勝つことはほぼなかったが、2-0や4-0で平気で勝ってしまっている。
 熱い試合を求めてイナイレを見ているので、雷門チームが何の苦労も葛藤もなく勝ち越すのは求めているイナイレではない。

過去キャラの改編やよくない扱いが目立つ。
 パラレルワールド設定により原作とは性格や立ち位置が違うキャラが多いのだが、卑怯なことが嫌いな不動クソザコ世宇子中やたら体が貧弱な元エイリアメンバーなど見るに堪えない改編が多い。

 また原作で亡くなっているキャラが生きておりそのキャラの描写に重きを置いたため、ただでさえ少ない雷門チームの描写が更に薄くなっている。

必殺技演出が劣化している
 イナイレといえば個性豊かな必殺技だが、悲しいことに本作ではどれも似たり寄ったりになってしまっている。
 どの技も一度高所にボールを打ち上げて空中から蹴るのがほとんどであり、カメラワークがほぼ一定で面白みに欠けている。

 また、過去作で出た技の大事な演出がカットされているのも減点ポイント。
 「トライアングルZ」の謎ポーズや「ドリルスマッシャー」のドリル、「マジン・ザ・ハンド」の心臓に力を溜める描写が好きな人は見ない方がいい。

キーパーがザル
 味方のキーパーが点を入れられるのはピンチを演出する必要がある以上必要なのだが、それ以上に相手のキーパーが無能。
 必殺技に対して必殺技を使わず素通しどころかノーマルシュートにすら対応できてないシーンが多すぎる。
 それどころか必殺技を1度も出さずに全部入れられた選手もいるほど。

 シュート技とキーパー技のぶつかり合いを求めているので、ハッキリ言って試合に関して面白い部分はほとんどない
 相手が必殺技で弾いたのを適当な蹴り込みで得点するのも冷めるからやめてほしかった。


結論

 イナズマイレブンが見たかった。
 仲間との友情・必殺技習得への努力・強大な敵への勝利、そのどれもが求めているものとは程遠かった。

 見せたいものを「灰崎と野坂」にするのなら彼らを主役にすればよかったのだが、形式的に雷門に別の主人公を作ったのが失敗だったと思う。

 「灰崎と野坂」の描写を色濃く描いてしまったがゆえに雷門の描写が減り、視聴者が本来感情移入すべき雷門チームの描写が足りないまま勝利という結果のみが必要。
 その結果、中身の薄いチームが勝ち進むというちぐはぐな状況になってしまったのではないだろうか。


おわりに

 酷評している自覚はあるのですが、面白いシーンもちゃんとあるのでこれでもまだ見れる作品だとは思ってます。

 現行最終作であるオリオンは(方々でよくない評価を聞いているものの)ちゃんと自分の目でどれほどのものか見てみたいとは思っております。
…とはいえまだその勇気はないですが。

 それでは、またの機会に。

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