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2-5-3 ↓→の結合…「↳」

 次に多く出現する画素は基本画素の↓→いあが結合した「」である。教育漢字1026字の中で203回出現する。(出現頻度は2.1%)
 「」の活用形に「乚」(「つりばり」と呼んで指導する人が多い)がある。これについては以前に「画も活用している」で書いた。「山」や「画」のように最後が他と接するのが予定されていれば,跳ねることはない。最後が書く人に自由に任されたから跳ねた。その骨組みは同じである。

 また,「レ」となる字形も画素「」の活用形と扱っている。これは↗方向の線はすべて→の変化と扱ったからである。日本の明朝体文字のデザインでは,「レ」の線が2画に見える。(中国の明朝体では1画に見えるようにデザインがある)明朝体を手本として文字を書いていくと間違えることになる。
 「以」というかん字は1画目2画目を別にして,「イ」を逆さにしたような書き方を指導している。しかし,このような字形は「似」ぐらいしかない。もともとは「レ」で書いていたのが2画に分かれたためである。隷書では「口人」のように書いていた。「かます」と似ているが,右側は人である。〈人が何かをもってくる〉ようすを表した。転じて「もって・・・以て」となる。

 同じく「」の活用形に「心」の2画目がある。これは書体によって「」と見えない。

教科書体での表示

特に教科書体や楷書体では「」に見えない。しかし,今やデジタル機器の社会である。パソコンやスマホではゴシック体の方が一般的だと思っている。また,印刷書物の世界では明朝体が一般的だと思っている。学校で扱う教科書体や楷書体がかん字の字形を複雑にしている。私が〈教科書体を手本にするな〉と思う理由だ。

→↓↙↘あいうえ↴㇇で書けるかん字一覧…168字
(出現回数とかん字の数が一致しないのは1字の中に複数回使われているからである)

(1年生配当かん字…8字)
花 空 見 山 四 七 出 先

(2年生配当かん字…22字)
画 岩 記 兄 元 光 思 色 食 心
親 西 切 地 池 長 直 電 読 売
北 毛

(3年生配当かん字…40字)
悪 医 意 院 飲 化 階 感 館 岸
起 急 銀 区 県 港 根 死 指 歯
酒 商 植 深 世 想 息 他 炭 帳
島 農 配 発 悲 表 勉 葉 両 礼

(4年生配当かん字…38字)
愛 衣 岡 億 貨 改 覚 完 観 岐
鏡 競 崎 札 氏 児 鹿 祝 焼 節
説 選 置 兆 低 底 徳 念 飯 必
包 望 満 民 養 陸 良 老

(5年生配当かん字…18字)
応 眼 規 逆 境 限 現 混 志 飼
製 税 断 犯 比 肥 貿 留

(6年生配当かん字…42字)
恩 巻 危 疑 胸 劇 憲 己 鋼 裁
視 誌 収 就 洗 装 尊 退 宅 探
値 忠 展 党 乳 認 脳 背 晩 批
秘 俵 陛 亡 忘 密 優 乱 卵 覧
裏 朗

 ここまでの7つの画素の活用で小学校で学習するかん字1026字のうち,895字が書けることになる。

小学校で学習するかん字の87%は7つの画素がもとになる。

 私が行っているのは,かん字教育に関する基礎研究だと思っている。

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