3-4-2 字素で見れば1年生段階で85%が終了 ミチムラ式の「部品(=字素)」で考察
先行研究として道村静江氏の「部品」と照らしあわせて字素を整理してみる。
ミチムラ式では1年生の部品として次のものをあげている。
このうち「基本漢字」は1年生で学習するかん字から字素として使われるものである。今回はナカカナで見ていく試みであり,〈ナカカナの組み合わせ〉・〈ナカカナの組み合わせとプラス1画〉で書ける字と共通しているものがある。次の31字である。
一 二 三 五 七 八 九 十 口 日 田 目 土 王 生 正 大 小 上 中 火 川 木 竹 立 子 手 人 入 力 年
これらの「基本漢字」はナカカナ(とプラス1画)で代用ができるものである。
代用ができないのは,次の8字となる。意識して覚えるかん字となる。
下 月 虫 水 山 雨 耳 女 文
さらにミチムラ式では次の字素があげられている。
「○の学年で登場する漢字」・・・ 丁 寸
「部首」・・・ ⼌ ⽓ 𠆢 儿 亠 囗 ⼳ ⼐
「独自部品」・・・
このうち,次の字素は頻度が高かったのですでに取り上げてある。
𠆢(ナカカナのヘ)
儿(ナカカナのル)
亠
囗(ナカカナのロ)
⼳
「疋」として利用
一方,次の字素は頻度が少なかった。
丁・・・町
寸・・・村
冂・・・英,検,円
气・・・気,汽
凵・・・山,出
・・・赤
しかし,これらは早い段階で字素として意識すると新たに構成できるかん字が増える。
丁・・・(町),何,歌,荷,埼,崎,灯,可,河,寄,打,丁,貯,停,庁
寸・・・(村),寺,時,持,守,特,博,付,府,詩,対,待,等,謝
冂・・・(英,検,円),謝,高,同,内,南,肉,橋,向,両,岡,周,満,商,病,典,属,銅,鋼,策,冊
气・・・(気,汽)
凵・・・(山,出),画,歯,純,脳
・・・(赤)変
早い段階から意識する字素として有効だと思える。そこで,ミチムラ式の字素を入れて,さらにここまで(ナカカナのみ・ナカカナと1画・1年のかん字・1年のかん字を字素として)のかん字に1画を加えることでできているかん字を整理してみる。
その結果はできるかん字が326字に増える。ここまでで教育漢字1026字のうち869字が構成できることになる。
【2年配当かん字】・・・45字
引 何 歌 画 角 楽 京 強 教 形
広 交 光 考 高 黄 作 算 止 市
姉 紙 寺 時 弱 書 場 数 声 組
太 弟 店 電 同 内 南 肉 売 買
風 歩 方 万 夜
【3年配当かん字】・・・87字
育 横 温 荷 界 階 寒 期 級 球
橋 業 曲 血 研 庫 向 号 皿 仕
歯 詩 事 持 写 主 守 酒 住 助
消 商 章 勝 乗 植 申 身 神 真
世 整 昔 族 打 対 待 第 題 炭
注 柱 丁 帳 調 庭 笛 都 度 湯
等 動 童 農 配 坂 美 鼻 氷 表
病 部 放 命 面 薬 由 油 有 葉
陽 様 流 旅 両 緑 路
【4年配当かん字】・・・53字
衣 塩 岡 芽 街 旗 求 景 結 康
埼 崎 昨 散 氏 司 児 滋 鹿 借
周 静 席 節 続 卒 帯 置 低 底
的 典 灯 特 栃 博 阪 票 標 付
府 阜 変 望 満 民 約 養 要 陸
良 輪 録
【5年配当かん字】・・・68字
衛 易 益 液 演 往 可 価 河 解
基 寄 旧 均 型 潔 険 限 救 効
鉱 構 講 査 再 妻 在 酸 師 謝
修 準 序 賞 状 常 政 勢 製 績
祖 素 属 率 団 貯 張 停 統 堂
銅 得 独 能 版 肥 非 費 備 婦
編 弁 豊 防 暴 脈 夢 綿
【6年配当かん字】・・・73字
異 映 延 拡 革 危 貴 疑 胸 敬
警 劇 激 厳 誤 降 鋼 刻 穀 骨
座 済 策 冊 詞 磁 射 樹 就 衆
純 署 諸 除 将 傷 障 垂 寸 専
存 尊 誕 値 庁 頂 腸 痛 敵 展
党 糖 届 難 俳 納 脳 派 肺 晩
俵 腹 奮 陛 片 補 訪 亡 幕 盟
郵 裏 論
小学1年生のかん字指導は80字である。その中でナカカナと次の掲げる35の字素を意識させることは,小学校で学習する1026字のうち,新たに326字ができ,全体で869字が構成できることになる。
言 欠 示 禾 夂 爫 幺 𠂉
䒑 亠 彳 (疋) 隹 尸 耂 厂 攵 勹
各 頁 己 巾 斤 云 干 士 丁
寸 冂 凵 气
字素という見方を利用しただけで,小学校で学習する約85%の漢字がナカカナと1年生のかん字でできる。