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1-5 道具によって変わる文字
紙と筆の発明が文字の形を再び変えた。紙に筆を使うと簡単に線が引ける。線の終わりが〈止める、伸ばす、はねる〉と自由に活用できる。また,続けて書くときには丸まったり,つながったりするように化けられる。こうした変化から,再び○が出てきた。
そして,およそ2000年前には「日」の字を「
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」と書く人が増えた。(「草書」と言います。「草稿」と言えば〈下書き〉の意味があるように「草」には〈正式でない〉という意味が込められています)直線の型くずれが起こった。
そこで,筆を使っても,「日」の骨組みを守って書く字形「日」が公式の文字となった。西暦700年ごろ,石に掘り込んで各地に立てて手本にした。そこで,「手本」という意味のある「楷(かい)」の字を使って「楷書(かいしょ)」と言われている。
その後,1000年頃,活版印刷が盛んになり,楷書をさらに発展させた印刷用の書体が生まれる。板に彫る作業で横線を彫る人・縦線を彫る人と分業が取られ,〈横線と縦線は直角する〉〈横線は細く,縦線は太く,一定の太さにする〉〈角と終わりは飾りをつける〉〈マスの中に線は均等に配置する〉というデザインの書体です。明の時代に定着をしたので「明朝体」と言われている。現在では新聞や雑誌で利用され,公用の字形となっている。
現在では,コンピュータの発達とともに液晶などの画面上で文字を読むことが多くなった。初期の画面ではドットが粗かったため,明朝体で文字を表現するより,線の太さが一定となっているゴシック体の文字が好まれた。ゴシック体はコンピュータ時代の公用の字形とも言える。
(もともと,「ゴシック」とはゲルマン系の民族であるゴート人を指す言葉だ。建築様式で「ゴシック式」と言えば,それまでのローマ式(ロマネスク様式)に代わる建築様式だった。活字においても〈それまでの書体(明朝体)に代わるもの〉の意味をこめて「ゴシック体」と呼ばれるようになったと考えられている。(諸説有り。建築様式から言えば,ゴシック式の方が華美な飾りがついている。そのため,飾りがあるのがゴシック式で,飾りがないのは,アンチ・ゴシック式となる。この「アンチ・ゴシック」の「アンチ」が省略されたという説もあるが,時期が合わないらしい。説明としてはおもしろいので紹介した。ゴシック式の建築を探して写真を最初に貼り付けた。
(2024/07月,夏の大会に持参,国語分科会不成立のため,発表難民)