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3-3-1 カタカナの形 かん字の形

 かん字からカタカナへの化け方には特徴がある。
 カタカナは全体的に↙の方向に引っ張られている。㇓…左はらいは多数あるのに,カタカナに右はらいはひとつもない。必ず止めている。

 例えば,「イ」,これは「にんべん」と言われる字素だ。「人べん」…つまり,「人」が「イ」となった。
 また,「ウかんむり」と言っても,実際のかん字で使われているのは「宀」の形だ。同様に「ワかんむり」も「冖」の形となっている。
 縦書きの通用字から発達したため,次に書こうとする文字の書き始めに向かって進もうとしている。
 だから,かん字の中にカタカナの形を見ようとするなら,逆方向に補正をする必要がある。もとのかん字を意識しつつ,かん字の中で使われている字形を整理してみた。
 これらの字形はカタカナとも違う形になっている。〈かん字の中に見られるカナ〉なので,「ナカカナ」と命名する。
 いくつか説明を加える字形がある。
 「ア」の場合,もとになったかん字は「阿」だと言う。そこで,「了」の形をナカカナとする。(正しくは「阝」の部分が「ア」になったらしい)
 似ている字形に「マ」がある。「

教科書体

」で使われている「マ」は書体が変わると「令」となる。(もともとの楷書体(正字)ではこちらの形。「マ」を使うのは通用字)そこで,「マ」のナカカナは「卩」とした。
 この他にも「ナ」はそのままかん字の字素でもあるが,「十」が↙に引っ張られたと見ている。
 「キ」の場合は,「

」の形に戻すと,「扌」にも化けるし,「車」の字素にもなる。

● ナカカナ 一覧


*かん字では「↗」に進まない。「𠆢」は2画(↙↘)で書く。

 次はこの〈ナカカナだけを使ってどれだけのかん字ができるのか?〉について述べてみる。


 写真は「中」で画像検索をした結果を利用。わが家の庭にも毎年ヒマワリが咲く。


追記 「テ」を「亍」で表記したが,もっとふさわしいのがあった。「〒(郵便局のマーク)」だ。明治期の郵便行政は「逓信省ていしんしょう」が行った。「テイシンショウ」の「テ」が現在のデザインとなる。だから,明治期の人も「テ」が「〒」となるのは自然な発想だった。


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