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ミイラ信仰は古代から続く神秘的な伝統であり、特に日本の修験道や密教においては重要な位置を占める。日本では「即身仏」として知られる自らをミイラ化する僧侶の存在があり、その信仰は今も続いている。これに関連して、空海の名も挙げられる。空海(弘法大師)は平安時代初期の僧侶であり、密教を日本に導入した人物として知られている。彼の教えと修行法は多くの僧侶に影響を与え、即身仏の信仰にもつながっているのである。


即身仏は、修行僧が生前に厳しい断食や修行を行い、死後に自らをミイラ化することで成り立つ。この修行は、悟りを開き、自らの肉体を神聖なものとすることを目的としている。即身仏となった僧侶は、死後も人々の守護や祈りの対象となり、その霊力が信じられている。特に山岳信仰と結びついた修験道において、この伝統は根強いものである。


即身仏の制作過程において、水銀が重要な役割を果たしていた。水銀は防腐剤として使用され、肉体の腐敗を防ぐために体内に取り入れられたのである。水銀を摂取することで体内の微生物を抑制し、長期間にわたり肉体を保存することができた。だが、この過程は非常に危険であり、水銀中毒によって多くの僧侶が命を落としたとされている。


空海は、密教の修行法を日本に導入し、多くの僧侶に影響を与えた。彼の教えは、肉体と精神の修行を重視し、究極的には即身成仏を目指すものであった。空海自身は即身仏とはならなかったが、彼の影響を受けた多くの僧侶がこの道を歩み、即身仏としてその名を残している。

空海の思想と修行法は、彼の弟子たちによって広められ、日本各地に多くの即身仏が生まれるきっかけとなった。空海の教えは、身体と精神の一体化を重視し、肉体を神聖視する考え方が即身仏の信仰と深く結びついている。


ミイラ信仰と水銀、そして空海の関係は、古代から続く日本の宗教的伝統を理解する上で重要な要素である。即身仏の制作には水銀が不可欠であり、その信仰は空海の教えと修行法に深く根ざしている。空海の影響を受けた多くの僧侶が即身仏としてその名を残し、その神秘的な存在は今もなお人々の信仰の対象となっている。

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