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書きたいものがあって、別のものを書こうとするのは、気休めだから、わたしは残された時間も短いのだし、さっさと書くことにする。
手が重い。言葉が重い。日記に向き合ったのはいいけれども、書くと決めてしまったところで逃れられない重さがある。上手く書きたいとか、書いてもどうせ意味ないとか、それでもいいじゃんというのはありきたりすぎるとか。ここにこれを残して、なんの意味があるの、とか。
暗い部屋で、パソコンを開いて、とりあえず作ったファイルに文字を打ち込んでいる。冷静に自分のやっていることを記述してみる。思ったより何も面白くない。全世界で何人もの人が、今頃、同じことをやっているのだろうと想像すると特に。
考えるのに飽きると、頭によく浮かぶ顔のことを考える。彼にどう話しかけようかとか、明日は何をしようかとか考える。わたしが話かけるのではなく、彼から話しかけてくる。そして、わたしはその言葉の意味をひとりで考える。
彼に話しかけようと言葉を探す。そのときまではいい。しかし、実際にメッセージを送ろうと指を動かすと、自分の言葉が全て的外れに思える。その時に、思いの中の彼は想像上のものなのだと気がつく。
頭の中であれこれと考えているときが、楽しい。楽しいと知っているけれども、それは頭の中だけの楽しさなのだろう。
よくわからないから、結局、会いに行ってしまう。拒まれることはないから、わたしはそこにいく。いざ、話す段になったらわたしも彼も想像上の会話をすることはない。ただ、机の上に乗っているコップについて話したり、どうでもいいことを話す。
眠い。
眠りたい。眠って意識を飛ばしたい。ああ、こうするたびに生きていられる時間が減るのだけれども、でも仕方がない。限りがあるからといってずっと起きているわけにはいかない。気合入れてもどうせ長続きしない。
また明日書けばいいや。
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