何気ない会話から生まれる、接客ならではの価値を届けたい。ハタラクヒトビト7人目/沖津さん
7人目の“ハタラクヒトビト”は、世界中の人々が行き交う東京駅の中から、作り手さんの想いが詰まった選りすぐりの「ニッポンのスグレモノ」を届ける、とうきょう店・副店長(※)の沖津さん。
※取材当時の勤務店舗・役職になります。(2021.09.08)
雑貨が大好きなんです、とニッコリ笑う彼女から、はたしてどんなエピソードが飛び出してくるのでしょうかーー。
日本百貨店のお客さんだった私が、スタッフに
日本百貨店に出会ったのは、大学生のとき。もともと日本の工芸品や雑貨に興味があって、店舗にふらっと立ち寄ったのが最初でした。いろいろな商品があるんだなぁと、店内を見回しているとスタッフさんが丁寧に接客をしてくれて、それがすごく印象に残ったんです。程よい距離感で、私自身のタイプや好みに合わせて接してくれて。私はしゃべるのが好きなので、スタッフさんと会話をしながら「雰囲気がいいなぁ」「ここで働いてみたいなぁ」と自然と惹かれていきました。
それから新卒で日本百貨店に入社。人と話すことは好きだったものの、接客業はまったくの初めて。ゼロからのスタートでしたが、雑貨が好きな気持ちや日本百貨店の商品に囲まれて働く楽しさが原動力になってくれていましたね。
お客様の印象に残るよう、個性を表現する工夫
仕事モードに気持ちを切り替える儀式
吉祥寺店で2年勤めたのち、とうきょう店に異動。現在は副店長を務め、新人育成にも携わるようになりました。働くなかで嬉しいと感じるのは、お客様に顔を覚えてもらえる機会が増えたこと。「沖津さんと話すのが楽しくて、仕事帰りに寄りました」と声をかけてもらえたり、レジで「素敵なお店ですね」「また来ます!」と言ってもらえることもあり、接客のやりがいや楽しさを実感しますね。
お客様にとっては、店舗の雰囲気やスタッフの振る舞いも含めて印象に残ります。なのでどの店舗に行っても同じ、どのスタッフに接客を受けても同じ。ではなく、スタッフの人柄や個性も大事だと思っていて。顔を覚えてもらうきっかけになったらと、ワンポイントで自分の好きなアクセサリーを身につけたり、髪型を変えてみたり、個性をさりげなく表現して印象に残るよう心がけています。
“お客様にとって良いもの”を選ぶ接客がしたい
他にも接客で大切にしているのは、お客様に応じて心地いい距離感や温度感を調整すること。例えば、話すのが好きそうな方であれば積極的に商品説明をしますが、お一人でじっくり選んでいる様子であれば、そっと離れた位置に移動します。自分のスタイルをつくるのではなく、お客様の人柄やタイプを見極めて振る舞いを変えるようにしていますね。
日本百貨店で取り扱っている商品は、どれも胸を張っておすすめしたいものばかり。でも商品の魅力を伝えるだけでは押し付けになりかねません。あくまで大切なのは、お客様に似合うかどうか、お気に召すかどうかです。なので身につけているアクセアリーや洋服、お持ち物に目を配ったり、会話のなかで好みを伺って、「この色の洋服なら、こっちの柄がいいですよ」「髪色が明るいので、この色はいかがでしょう?」と、“お客様にとって良いもの”をご案内できるよう心がけています。
スタッフ同士の連携も仕事の楽しみのひとつ
というのも、私は雑貨が好きなあまり“自分にとって良いもの”をセレクトしてしまうこともあって。新人の頃は特に、苦戦しました。私は派手な色や柄を好むのですが、それをそのままお客様にすすめてしまっては、ご満足いただけないこともあります。
雑貨が好きだからこそ、日本百貨店が好きだからこそ、自分の好みを出しすぎない。お客様のニーズに応えられるよう、世間で流行っているトレンドをリサーチしたり、他社のセレクトを研究したり、接客をしながらお客様の声を蓄積したり……日々勉強ですね!
もちろん、私一人の力ではできません。他のスタッフの意見を取り入れるのはもちろん、接客はお客様との相性もあるので、私で難しければ他のスタッフに代わってもらったり、逆も然りで、チームワークだなと感じます。とうきょう店はスタッフ同士のコミュニケーション量も多く、一緒に働いていて楽しいですね。たわいのない話もよくします(笑)。お互いに人柄を把握しているからこそ連携がうまくいくし、任せられる仕事の幅も増える。副店長としてみんなが楽しそうに働く姿を見るのもやりがいの一つですね。
趣味の「書道」が仕事にも活きている!
仕事を乗り切るため、息抜きも大事にしています。休みの日は、小学生から続けている「書道」をすることも多いですね。集中する時間がリフレッシュになってくれています。
実は、書道は仕事にも活きているんです。店舗に張り出すポップや商品のラベルを、私が習字で書くことも度々。店内で「これそうかな?」と思う商品を見つけたら、ぜひ声をかけてください(笑)。
足を運んで良かった、また来たい。と思ってもらえる接客を
これからもっともっと、お客様に「また来るね!」って言ってもらえる店舗にしていきたいです。とうきょう店は、東京駅のエキナカ商業施設『GRANSTA(グランスタ)』の中にあるので、仕事帰りにふらっと立ち寄りやすかったり、旅行や出張で来た方が新幹線の乗り継ぎでたまたま店舗に立ち寄ることもあると思うんです。もしかしたら、その方にとっては初めて来た東京での買い物かもしれませんし、思い出に残る大事な日かもしれない。
そういったお客様に、「あそこのお店、雰囲気よかったな」「あれ美味しかったからまた買って行こうかな」と思い出してもらえると嬉しいですよね。会話を通じて商品の魅力を伝えられるのは、店舗ならではの価値です。足を運んで良かったと思ってもらえる接客をお届けしたいですね。