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90年代の文脈を読み解く
これからは「90年代の文脈の読み解き」が重要になる。なぜかといえば、来年2020年から「90年代から30年後の世界」が始まるからだ。
文化は、だいたい30年周期でリバイバルするといわれている。昔はなぜそういわれるのか不思議だったが、今なら理由が分かる。それは、親と子が平均すると30歳くらい年が離れているからだ。子供は親から多大な影響を受けるので、30年前の文化をそのまま受け継ぐ。その30年前の文化を受け継いだ人間が30代になり、社会の中心になるから、30年前の文化がリバイバルするのだ。
ところで、30代というのはクリエイターとしても消費者としても、ちょうど脂が乗り切っている。そして、90年代文化の薫陶を受けた親を持つ30代は、2020年から急速に増えていく。
そのため、今のうちから2020年代に備えてリバイバル必至の90年代文脈を読み解いておくことは、きわめて重要となる。そこで90年代文脈を精緻に読み解いておくことができれば、20年から始まる新しい時代もかなり精度高く予測することができ、それに対応したコンテンツを発信していけるだろう。
だから、この「文脈ノート」では90年代の文脈を集中して読み解いていきたい。そしてそれは、シリーズで行っていく。なぜなら、語るべきことはたくさんあるし、そこでいくつかの記事を書きながら徐々に焦点を絞ることで、本質に肉薄していきたいと考えているからだ。
さて、では90年代とはどういう時代だったのか?
まずは直感的なイメージからいうと、それは「クロスフェード」の時代だ。古いものが去り、新しいものが到来した。文化が交錯した時代なのだ。世代交代がこれ以上なく進んだ時代だった。
例えば、90年と00年の10年は、とても大きな変化があった。しかし00年と10年の10年は、それほど大きな変化が感じられない。また10年と今を比べても、大きな変化は感じられないだろう。今の社会を支配するのはGAFAだが、10年前にもすでにGAFAは社会の支配的な存在だった。
では、00年はどうか? GAFAのうちの3つは、すでに存在していた。このうちAmazonとGoogleは90年代に誕生し、一番古いアップルも、90年代に再生したといえよう。また、00年代に誕生したFacebookも、90年代にはその萌芽が蒔かれていたといえる。
そう考えると、90年代はまさにGAFAが登場した時代なのである。また、それに伴って何かが退場していった時代でもあるのだ。
では、そこで何が退場していったのか? いろいろあるが、一番はマスコミだ。新聞、出版、テレビ。これらが、GAFAの登場と共に社会の表舞台から退いていった。
また、そういう劇的な主役交代の陰でこの時代にだけにパッと咲き、またパッと散っていった「時代の徒花」的な文化もあった。急激な世代交代が起きたからこそ、そこに生じたエアポケットで、なぜか強烈なスポットライトを浴びた存在があった。
そういう存在こそ、90年代を象徴するといえるかもしれない。それまでを支配していたマスコミや、それ以降を支配しているGAFAではなく、90年代にだけ狂い咲き、それ以前にもそれ以降にもない文化を生み出したものこそ、90年代を読み解く上での鍵となるのだ。
なぜならそういう徒花が、20年代にも再現される可能性が高いからだ。それが90年代に起こった文化なら、20年代にも起こる可能性はけっして低くないのである。
では、90年代にだけ狂い咲きした、時代の徒花のような文化とは何か?
それは、テレホンカードとCDとポケベルだ。テレホンカードとCDとポケベルは、90年代だけ宝石のように輝いて、その後急速に光を失った。そうして今でほとんどゴミのようになって忘れ去られた存在だ。
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