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人間関係術その1:「どうすればコミュ力が高まるか?」

「コミュニケーションに悩みがある」という若者が訪ねてきて、「どうすればコミュニケーション能力が高まるか?」と質問された。そこで、そのときの会話を再現してみたい。

「どうすればコミュニケーション能力が高まるでしょうか?」
「『コミュニケーション能力』とは、具体的にどのようなことを指すのですか?」
「ぼくは、同じサークルで活動している仲間がいるのですが、彼に自分の考えを伝えようとしても、全然伝わらないのです。言ったはずなのに、後で全く聞いていなかったと分かる。それで、自分のコミュニケーション能力のなさに絶望しているんです」
「要は、あなたの言っていることが、相手に分かってもらえない——ということですか?」
「そうです」
「では、あなたは、相手の言っていることが分かっているのですね?」
「え?」
「あなたは、相手の言っていることを、ちゃんと理解しているのですね?」
「ええっ? そうですね……考えたことはなかったですが、多分、分かっているんじゃないかと思うのですが……」
「……いえ、残念ながら、おそらく分かっていないと思います」
「え?」
「あなた今、自分が相手のことを分かっているかどうか、『考えたことはなかった』と言いましたね」
「はい」
「それは、『相手が何を言おうとしているかを、そもそも気にかけていない』ということです。それ以前に、そもそも相手のことを気にかけていない、ということもあります」
「……そうでしょうか? ぼくは、彼のことを気にかけているつもりだったのですが」
「あなたが気にかけているのは、自分です」
「え?」
「『自分の言っていることが、相手に伝わっているかどうか』です」
「それは、まあ、そうですが」
「しかし、相手の言っていることが、自分に伝わっているかどうか、は、気にかけていない」
「確かにそれは、あまり気にしていなかったかも知れないです」
「実は、それと同じことが、彼にも起こっているのです」
「え?」
「彼自身も、自分があなたの話しを理解できているかどうか、気にかけていない」
「……あ」
「そして、あなたのことも、それほど気にかけていません」
「それは……おそらくそうでしょう」
「しかし彼は、自分はあなたが言うことを理解できている——と思っているのです」
「そうなんですか?」
「はい。あなたと同じように」
「え?」
「あなた、彼の言うことを気にかけていないのに、彼の言うことは分かっているつもりだ、と言いましたよね」
「はい」
「それと同じことが、彼にも起こっているのです」
「あ!」

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