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葉隠の里から⑤ 早く来い来い、オスプレイ!(後編) 本当は地元の人も配備に大賛成‼ 彌吉博幸/コラムニスト(「日本の息吹」令和5年6月号掲載)

彌吉 博幸(やよし ひろゆき) コラムニスト (佐賀市在住)
地元FMラジオなどで情報発信しています。葉隠の里から世の中のあれこれについて語りたいと思います。


水陸機動団の部隊章「金鵄」と「天叢雲剣」、 そしてAAV7水陸両用車 (イラスト/熊谷美加)

◆創隊5周年を迎えた水陸機動団

 4月16日、「水陸機動団創隊5周年 相浦駐屯地創立68年記念式典」が開催され、梨木信吾水陸機動団長(兼相浦駐屯地司令)が隊員へ訓示を行いました。梨木団長は、宮古島でのヘリ事故について触れ、殉職された方々の思いに応えるためにも、抑止力、対処力の実効性を高めることの重要性を強調しました。

 団長は気持ちの熱い人です。「諸君、諸君らは私の自慢の隊員です」と、日頃の厳しい訓練に耐える隊員たちを労ったくだりでは、自ら感極まって、少し涙声になっていたのが、我々にもわかりました。隊員達の信頼もさぞや篤いことでしょう。

 水陸機動団の主な任務は、南西諸島方面の島嶼部の防衛、奪還です。南西諸島の幅は約1200キロにも及び、沖縄本島や奄美大島など多数の島々で構成されています。この中で、陸上自衛隊の部隊が駐屯していたのは、長く沖縄本島だけでした。平成28年(2016)に漸く与那国島に陸自の部隊が配備され、その後、宮古島や奄美にも順次展開されるようになりました(今年3月には石垣島にも駐屯地開設)。しかし南西諸島の全ての島々に自衛隊の部隊を置くことはまず不可能です。

 そこで平成14年に、島嶼防衛、奪還の初動作戦を担うべく長崎県佐世保に創隊されたのが西部方面普通科連隊です。平成30年にはこれが拡充再編され水陸機動団となりました。そして、この部隊を南西諸島に輸送するために、佐賀空港へのオスプレイの配備が進められていることは、前号で書いた通りです。

◆配備の理由を報じなかったマスコミ

 平成26年頃のマスコミは、「オスプレイは事故率が高い」「騒音がひどい」「バルーン大会の邪魔」など、配備反対派の意見を垂れ流すばかりで、オスプレイ配備の意味については全く触れていませんでした。このため我々日本会議佐賀は、マスコミに執拗にこのことを説明し続けました。福岡のテレビ局が「日本会議は右派団体」と、茶化すような報道をしたときも直ちに抗議し、編集局次長を呼んで謝罪を勝ち取りました。以降はマスコミも、次第にオスプレイの佐賀空港配備の意味を伝えるようになりました。

 かくて平成30年8月24日、山口祥義佐賀県知事もようやくオスプレイ配備計画の受け入れを表明するのでした。

◆自衛隊に空港を使わせない「公害防止協定」

 しかし事はこれで終わりませんでした。「公害防止協定」問題が、配備計画の前に大きく立ち塞がったのです。平成2年3月、佐賀空港が建設される際、佐賀県は地元の八漁協(現在の県有明海漁協)や地元農協、佐賀市と公害防止協定を交わしています。このうち、漁協とだけは何故か、覚書付属資料に「空港を自衛隊と共有しない」と明記してあるのです。漁協の同意を得て協定を改定しなければ、 佐賀空港にオスプレイは配備できないのです。

 「地元川副町の人や漁業関係者はオスプレイ配備に反対だ!」、左翼諸勢力はこの論理を正面に押しだし、反対運動に力を入れ始めました。配備へ向けた動きも再びピタリと止まります。令和2年には、オスプレイの第一機目が米国から納品されて来ましたが、佐賀空港の受け入れの準備が出来ていないので、千葉県の木更津駐屯地に暫定配備されました。その後一機、二機と納品が続き、現在一四機が日本に到着していますが、その全機が木更津に配備されたままです。

◆「オスプレイ誘致佐賀県民会議」の結成

 令和3年8月10日、斯かる情況を打開するためにオスプレイ配備推進を願う市民等によって結成されたのが、オスプレイ誘致推進佐賀県民会議(宮原知司会長)でした。日本会議佐賀(三根登会長)もこれに全面的に協力することを決めます。県民会議の会員はたちまち500名を超え、オスプレイが配備される川副町からも多くの入会者がありました。

 配備反対派は、川副の人の多くがオスプレイ配備に反対であるかのように主張していますが、実はそうではありません。令和3年、佐賀市議の平原嘉徳氏は、選挙の公約にオスプレイ配備推進を掲げ、見事当選しました。この時、駐屯地建設予定地の地権者である南川副漁協は、地元出身候補でもない平原氏に推薦を出しています。この一事からも配備反対派の嘘がよくわかります。

◆有明漁協「協定」見直しを表明!

 オスプレイ配備推進に向けて、再び多くの人々が動き始めました。佐賀県議会や佐賀市議会では、多くの自民党議員が毎回のようにオスプレイ配備推進についての質問を行いま した。木原奉文佐賀県議、平原嘉徳佐賀市議など川副に何度も入って住民と直接話をする議員もいました。今村雅弘代議士や岩田和親代議士らは有明漁協関係者や川副の人々と熱心に話をし、排水口の増設などの地元の要望を中央省庁に届けるために積極的に活動を行いました。また、オスプレイ誘致推進佐賀県民会議は、伊藤哲也九州防衛局長や梨木信吾水陸機動団長を招いての講演会を開催し、配備へ向けた県民世論を大いに盛り上げました。

 令和4年11月1日、ついに佐賀県有明海漁協(15の支所からなり、公害防止協定を結んでいる主体)は佐賀県と結んだ公害防止協定の変更に応じることを決めるのでした。翌令和5年2月27日には坂井英隆佐賀市長も配備計画受入を表明。さらに4月20日には、南川副漁協(有明漁協の一支部で駐屯地予定地の 土地の権利を持つ)の執行部が土地の売却に賛成との意向を九州防衛局に伝えます。

 議員、民間有志、地元川副の人々の努力によって漸くゴールが見えてきました。一刻も早いオスプレイ配備を実現し、侵略への抑止力を高めなくてはなりません。  


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