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日本を守る名護・石垣市長選挙 ―ロシアのウクライナ侵略は対岸の火事でない(「日本の息吹」令和4年6月号より)

我喜屋がきや 隆次  石垣市議会議員
宮城 さゆり  名護市議会議員

今年(令和4年)、沖縄県の名護市・石垣市で首長選挙が行われた。いずれも我が国の安全保障上重要な自治体である。両市の住民は、どのような選択をしたのか。またロシアのウクライナ侵略をどう感じているのか。

名護・石垣市長選挙を終えて

― 昨年8月の与那国町長選挙に続き、本年1月23日には名護市長選挙、2月27日には石垣市長選挙と、我が国の安全保障に大きくかかわる自治体の首長選挙が行われました。名護市も石垣市も現職が再選されましたが、まずは選挙のポイントや住民の声についてお聞かせください。

宮城 名護市は渡具知武豊(とぐち・たけとよ)市長が二期目の当選を果たしました。世界中が新型コロナウイルスの蔓延によって経済的な影響を受けてい ますが、名護市も例外ではありませんので、経済の活発化は大前提です。その上で、子育て環境の更なる充実を図りたいということで、保育料・給食費・18歳までの医療費の無償化などを訴えましたが、こうしたことへの住民のご理解が票に結びついたと感じています。

 また名護市にはキャンプシュワブがあり、普天間基地の移設のための作業が進められています。渡具知市長は、基地移転について国と県との議論の推移を注視するというスタンスは取っていますが、 2月には防衛省を訪れ、岸防衛大臣に辺野古に対する騒音軽減を求めるなど、地元住民のよりよい生活を守るために、いろいろな対応をしていただいています。

我喜屋がきや 石垣市長選挙に取り組むにあたって、名護市長選での渡具知市長の再選は、私たちにとっても心強いものでした。

 石垣市の中山義孝市長は四期目の当選となりました。革新系の対立候補は、陸上自衛隊配備反対を掲げるのではなく、配備計画についての賛否を問う住民投票の実施を訴えました。石垣ではすでに自衛隊の駐屯地の建設が進んでいることもあり、トーンダウンしたように見受けられます。

 そもそも三期目の選挙の際に、配備についてはしっかりと民意が出来ていますし、また尖閣諸島を抱える行政区域ですので、中国の脅威から市民を守る、という意味でも、今回自衛隊の配備は争点にはならなかったと思っています。

ウクライナへの武力侵攻は対岸の火事ではない

― 中国の公船が尖閣諸島周辺海域を航行することに対する石垣市民の不安は高まっているのでしょうか?

我喜屋 最近は、報道でよく見かけるようになりましたし、我々の先輩である仲間均議員が漁業従事者という形で尖閣の現状についての動画配信などをしてくれているおかげで、状況を知ることが出来るようになったのは大きいことで す。

― 我が国の西側にある沖縄が、国防の最前線として中国の脅威と対峙しているわけですが、その意義を本土の私たちもよくよく理解しなければなりませんね。今、ヨーロッパではロシアがウクライナに軍事侵攻しています。ロシアによる「力による現状変更」を許せば、アジアにおける中国の脅威の高まりにつながることが懸念されますが、先生方はどのようにお考えでしょうか。

宮城 名護市議会では3月3日、沖縄県内41市町村の中で最初に、ロシアのウクライナ侵略に対する抗議決議を全会一致で採択しました。礎之会の比嘉忍会長の下、11名のメンバーで発案し、議案書を提出しました。「ロシア連邦によるウクライナ侵略に強く抗議し、即時停戦、撤退と平和的手段による早期解決を求める意見書」という名称なのですが、私たちがこだわったのは「侵攻」ではなく、あえて「侵略」という文言を使ったことです。

― 武力で他国を侵略することに対する名護の先生方の強い憤りを感じます。

宮城
 侵略は国際法上及び国連憲章にも反する人道的にも許しがたい軍事行動です。国際社会の秩序を乱す行為でもありますから、私たちはそのことを強く非難しました。

我喜屋 核保有大国であり常任理事国であるロシアのウクライナに対する暴挙は、世界秩序を壊し、安全保障に対する認識を新たにする事態だと考えています。何より同盟、そして安全保障の枠組みというものが如何に大事なのかを再認識しているところです。

 特に私たちの住む石垣市は、沖縄本島の那覇より台湾の方が近い。台湾有事という事態を想定した場合、今回のウクライナへの侵攻は対岸の火事ではなく、身近に起こり得ることだと心しています。

沖縄県知事選挙の意味

― ウクライナの件では、自分の国は自分で守らなければならない、ということが多くの国民の間でも再確認されたのではないでしょうか。こういう情勢の中で、沖縄県知事選挙が9月に行われます。

宮城 今回の県知事選では、知事のリーダーシップが非常に問われていると思っています。

 特に北部地域では、北部基幹病院の建設が遅れています。北部が一丸となって、早期の建設を要望してきたのですが、ここにきて更に2年遅れるという話が出てきています。

沖縄県知事選は、沖縄の方向性を決める大事な選挙です。私たちも全力で取り組んで参ります。

― 台湾有事も含め、沖縄県、特に離島は中国の脅威に直にさらされていると言っても過言ではありません。以前、本コーナーでも紹介した与那国島では、台湾軍の砲撃訓練の爆発音が聞こえてくることもあるそうです。

我喜屋 玉城デニー知事のオール沖縄県政になって、離島を軽視する行動が多々見受けられました。例えば台風があっても現地視察に来ない。様々に問題があるのに地元に来てくれない。そういった状況が、ここ8年ほど続いています。

 石垣市では、県知事選挙と同じ日に市議選が行われます。これまで石垣市では県知事選の投票率が落ちる傾向にありました。今回は離島格差を訴えながら、自然災害のみならず中国の脅威からも離島を守るリーダーシップを発揮できる知事を選ぼう、ということで、訴えていきたいと思っています。

 沖縄県知事は国家の安全保障にかかわる課題について国と対話し、交渉しています。その際に「ノー」 を突きつけるだけでなく、様々な分野・ジャンルをしっかり踏まえながら対応できる保守の県政を取り戻したいと思っています。

(令和4年3月29日インタビュー)


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