NIPHジュネーブ研修前半
こんにちは!
2024年度にNIPH臨床研修専攻科に参加しましたR.S.です。都心にある病院で初期研修医をしています。
ここでは10月中旬に行われたジュネーブ研修の前半2日間について記載します。読んでくださる皆さんの参考になれば幸いです。
ジュネーブは、世界の公衆衛生を司っている世界保健機関(WHO)や、グローバルヘルス課題に取り組む団体であるGlobal FundやGAVIが拠点としている街です。今回のプログラムではグローバルヘルスの現場を実際に生で見るためにジュネーブでの研修が組まれているようです。
1.ジュネーブ研修までの準備
a. 航空券とホテル
7月前半にNIPH臨床研修専攻科の研修日程が発表され、ジュネーブ研修に関するオンライン説明会が開かれました。(研修参加決定後から7月までNIPHからは音沙汰ない・・・)
ジュネーブ研修では航空券の取得とホテルの予約は研修生個人に委ねられていたため、日程決定後にホテルと航空券とを予約しました。
航空券は日本からジュネーブの直行便がないため、みんなどこかしらを経由して来ていました。月曜日の朝の集合時間までに到着していればいいので、中には別の都市で観光してから来る人も。(ただし前週の金曜日までNIPHで講義があるためあまり時間はない)
私はロンドン経由で、余裕を持って日曜日の昼頃にはジュネーブに到着する飛行機を購入しました。
どこのルートを辿っても大体20万円前後だと思います。
ホテルは、ジュネーブで1人で予約すると結構高くつくため、事前にNIPH受講生の中から希望者を募ってAirbnbを予約しました。
今回は5人で予約し、1人9000円程度/泊でした。
場所はコルナヴァン駅近辺であれば便利だと思います。
b.事前課題
ジュネーブに行く前に事前課題がありました。WHOで受ける講義のテーマ(Universal Health CoverageやTobaccoなど)についてWHOがどういう施策をとっているかについてスライドでまとめて、日本での講義の中で発表する形式のものです。この形式が来年度以降も続くかは不明ですが、事前に学習することでジュネーブでの講義内容が理解しやすかった気がします。
2.ジュネーブでの講義
講義日程は以下の通りでした。
Monday 14 October (full day)
09.15 – 10.00 UNAIDS – Kaori Kawarabayashi (河原林 香)
10.00 – 10.45 Introduction – Dorine van der Wal, Youth Engagement, Health and Multilateral Partnerships
10.45 – 11.15 Break
11.15 – 11.45 Healthy ageing – Yuka Sumi (角 由香) Ageing and Health
11.50 – 13.30 Lunch and visit WHO book/gift shop
13.35 – 13.55 Introduction EOC – Ding Feng, Emergency Operations Center
14.00 – 14.50 Vaccine hesitancy – Jun Orbina, Essential Programme on Immunization
15.00 – 15.45 AMR – Philip Mathew
Tuesday 15 October (morning)
09.15 – 10.00 Food safety/Foodborne diseases – Yuki Minato (湊 夕起), Monitoring Nutritional Status & Food Safety Events
10.00 – 10.45 Emergencies – Abdi Mahamud, Health Emergencies Programme
10.45 – 11.15 Break
11.15 – 12.00 NCD control – Nick Banatvala, Global NCD Platform
午後 Gavi, Global Fund
(後半は別記事)
a. WHOについて
WHOでは、現在世界中で生じている様々な公衆衛生学的課題に関して、WHOがどのような対策を取っているか、という講義を受けます。具体的な内容については省略しますが、各先生方のGlobal Healthにかける熱い想いが伝わってくる興味深い講義ばかりでした。
ただ、WHOで決定されたことは各国に強要する事はできないので、どうしても「提言」という形になってしまうことが多く、実際に世界に影響を与えている実感は得られにくいのかなと感じました。
講義は日本人の先生のものも含め全て英語で行われます。私は帰国子女ではないので講義内容をふわっと理解するので精一杯でした。
英語が得意でも苦手でもせっかくなので講師の方々に1つくらい質問を投げかけてみるといいと思います。熱量を持って大量の情報を与えてくれます笑。
b.GAVI, Global Fundについて
火曜日の午後はGAVI, Global Fundで働く日本人の先生方に講義を受けました。
GAVIはワクチンに関して、Global Fundはエイズ・マラリア・結核の3大疾病に関する取り組みを行なっている組織です。
GAVI→https://www.gavi.org
Global Fund→https://www.theglobalfund.org/en/
WHO等の国際機関に勤める方々とは異なるキャリアを持った先生方と出会えます。
日本人の先生方が4,5人集まってくださり、座談会のような形式でお話をしました。グローバルヘルス分野で働く際のキャリアについてのお話がほとんであり、どのような過程を経ればいいか、臨床経験の必要性等、なかなか聞くことのできない貴重なお話を聞くことができ、今後のキャリアについてより具体性が出るような内容でした。(私はこの座談会が今後のキャリアを見つめ直すきっかけとなりました。)
皆さんなんでも答えてくださるのでどんどん聞きたいことを聞きましょう!
3.ジュネーブでの生活
講義の時間以外は完全にフリーです。
ジュネーブの観光地を巡ったり、チョコレートやさんめぐりをしたり、ジュネーブの街中を散策したり・・・
なんでもありです!
食事は近くのケバブを買ったりみんなでチーズフォンデュを食べに行ったり、Airbnbでホームパーティーをしたりしました。スイスは物価が高いことで有名ですが、大人数でレストランに行く、もしくはスーパーで買い出しをすると、食費を抑えることができるでしょう。
木曜日の午前中で講義が終了した後は翌週月曜日に日本で講義が再開されるまで完全にフリーです。みんな思い思いの場所に向かいます。
私は観光列車に乗りたかったので
ジュネーブ→モントルー→インターラーケン→チューリッヒ(→帰国)
といったルートを取りました。
(モントルー景色とても綺麗なのでおすすめです!!)
金銭面ですが、お土産等を合わせると総額で50万円弱くらいはかかった気がします。ほとんどの病院はこの海外研修のお金は出ないはずなので、高い!と思われるかもしれませんが、これくらいの金額をかけても良いくらいには価値のある経験ができる研修です。
4.まとめ
総じてジュネーブ研修は自分の全く知らない世界を見ることのできる貴重な機会でした。ジュネーブでの経験が自分のキャリアを考える上での1つのキーとなる気がします。
私は2025年度は一旦救急科の専攻医となりますが、今後グローバルヘルス分野で働くためになるべく早いタイミングで海外の公衆衛生大学院への留学を考えています。英語の試験や奨学金集め、プライベートをどうするかなど課題は山積みですが、1つ1つクリアしていつの日か世界を舞台に活躍できるようになることが目標です。
また、フィリピン研修もそうでしたが研修同期でご飯を食べに行ってみんなが今までどういう経験をしてきたのか、どんな将来を思い描いているか、を語り合ったのはかけがいのない経験でした。
もしこの研修に参加されるのであれば、熱い心を持った同期たちとの出会いが一番の宝物となるでしょう。
この研修、オススメです。