立ち上がる。

つかまり立ちをおぼえ、ハイハイも板についてきた赤ちゃん。
この頃はどこでもかしこでも立ち上がる。

部屋中のあらゆるものにつかまって立ち上がる。
地下鉄の中では抱っこひもから飛び出そうになるくらい立ち上がる。
はじめて天神の「ブルーボトルコーヒー」に行ったら、角のソファ席で立ち上がる。そこで目が合ったかわいらしい店員さんと立ち上がって談笑する。
帰ってきて入浴したらベビーバスで立ち上がる。座らせようとしてもなおも立ち上がる。

ザ・クロマニヨンズの『ナンバーワン野郎』という曲に

やることは　わかってる
立ち上がる　立ち上がる
いつまでも　どこまでも
立ち上がる　立ち上がる

というフレーズがあるが、そんな感じの立ち上がりっぷりだ。この曲は赤ちゃんを見ながら書いたのだろうかと思ってしまうくらい。

そんなナンバーワン野郎は、いま僕がこれを書いている間、妻から離乳食をもらっているが、ベビーチェアの中でやっぱり立ち上がろうとしている。立ち上がって「なにしてるの？」という顔で首をかしげながらこっちを見るので、かわいすぎてぜんぜん書き進められない。向こうも向こうでこっちに注意を向けながら食べるので、豪快に口から食べ物をこぼした。

話が逸れてしまったけれど、何度も立ち上がって筋肉が増えたからか、このところ、ますます赤ちゃんが力強くなったように感じる。物を持つときも、投げるときも、なにをしていてもたくましい。おっぱいが欲しいときに寝ている妻にのしかかり、手首や乳首を思い切り噛んでしまうところなど、まるで獣のようだ。

立ち上がることは、赤ちゃんの中の野生を目覚めさせるのだろうか。
だから猛獣やクロマニヨンズを彷彿とさせるのかな。

「そろそろおっぱいになにか対策しないといけないね」などと妻と話しながら、日に日に活力を増すナンバーワン野郎に振り回される昨今。これについていくには筋トレがいるかもしれないなあと思い「筋肉体操」を検索してしまう私である。