話すとわかる

話すとわかる。

昨日の

ともつながるかもしれないけれど、本当に「話すとわかる」ことって多い。

今日もこんなことがあった。

僕は『あなたのうた』の披露のために、豊田市に行った。

演奏が終わって、歌詞のある部分について「ここはどういう意味?」と尋ねられた。

その時には「わからない」と答えたけれど、しばらくおしゃべりを続けるうちに、ふっと「こういうことかもしれない」と思いついた。

その解釈は、こじつけと言われればそうかもしれないが、僕にとって説得力があった。

そして、その歌詞の解釈を語ったことで、自分がなにをしているかに気がついた。

その歌詞もメロディーも、意味どおりのことを表しているわけではなかった。そうではなく、架空の情景の中で起こる「なにか」が、聴かせてもらったご本人の特徴と一致していたのだ。

「本人とぜんぜん関係ない」と思われていたそのパート全体が、その人を「こう聴きましたよ」と語り返す大事なメタファーだった。

かなり驚いた。

思えば、『あなたのうた』という仕事は、音楽活動というよりも「歌でおしゃべりしたらどうなるか」という発想から来た営みだ。歌を介することで「言葉のキャッチボール」とは違う位相で知り合えたらと思っているし、実際そうなっている。

でも、まさか歌そのものを、まるごとメタファーにしてしまうとは。

そういう発見も、今日「ここはどういう意味?」と尋ねられて、話してみなければ分からなかった。

これに限らず、話したことによって、それ以前には戻れないくらいインパクトのあることを、自分自身が語ることがある。

語る自分の声を聴きながら、自分で驚いてるような感じ。

そう思うと、やっぱり人は全く一人で生きているわけではないんだなあ。

誰かとの会話の中で、新しい自分が生まれ、変わっていく。
誰かに話せるから、元気にもなり、次の方向を見出せもする。

ができる人が重宝されるのは、たったそれだけで人が変わるきっかけになるからだ。こういう「キャッチャー」の人って本当にありがたい。

それにしても、自分でも思いもよらないことを語りながら、人が新しくなっていくとき、いったい誰が、僕らの口を通して語っているんだろうね。

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澤 祐典
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