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人の気象。

人の内側には、天気があるのだと思っている。
からっと晴れた人もいれば、ジメジメした人もいる。風通しのいい人もいれば、蒸し暑い人もいる。そんなふうに。

そして、会って話をするとき、人は互いの気象を共にしているのだと思う。相手の内側で吹く風が、僕の中でも吹き、僕に降る雨は相手の内界も濡らす。

こんなことを思うようになったのは、奥さんと暮らし始めてからだ。
うちにいると、奥さんの気象の影響を感じる。僕の気象も奥さんに伝わっているのだろう。僕一人ご機嫌ということはあり得ず、奥さんだけ快晴ということもない。

ある話題から別の話題に変わるとき「雲行きが怪しくなったな」と感じることがある。そういうときには、実際、どんよりした体感になる。晴れる時は二人で青空を見上げるような感じになる。

そうした経験を経て、人と人は、自分でも気づかないところで気象の交流をして別れていくのだと思うようになった。会った後、妙に元気になる人もいれば、ぐったりと疲れてしまう人もいて、それは個人的な好き嫌いとは別の次元で起きていることのように思う。

それが面白くてしかたがない。

風水?なんかで木・火・土・金・水というように、人にも「水っぽい人」「土っぽい人」といった性質の違いがあるように感じる。それが近いと居心地がいいし、離れすぎるといづらくなる。それは自分の好き嫌いや意思と関係なく、感じてしまう類のものだ。

そんなふうに人や場の気象を感じているうちに、僕のまわりには不思議と気の合う人、居心地のいい場所が増えてきた。赤ちゃんが不快に身をよじるように、知らず知らず人や場所を選んできたのだろうか。単純な好き嫌いよりもそうした肌感覚は信頼できる気がするし、「合わないだけだ」と思うと、互いを責めたりしなくて済むように思う。

ただ居心地のいい方へ。流れ、流れてゆくことで、互いにいたい場所に漂着できる。世界中の全員と会うことなんてできないのだから、合わない人とは会わない。そんなふうになったらラクだと思うし、なんだかそれに近い形で人生が流れはじめた気がしている。

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