正解は数年後。
お昼に赤ちゃんとふたりで散歩に出かけ、休憩のために近所のマンションのベンチに座った。
目の前にはちょっとした広場があって、そこにおかあさんと娘さん二人がやってくる。なにやら口げんかをしながら、一人は自転車に、一人は少し前から子供たちの間で流行っている、こういう形の↓スケートボードに乗っていた。
からだを上手にくねらせながら、女の子は見事にスケートボードを乗りこなしていた。そういえば、僕の姪っ子もこのスケートボードを買って、最初は乗れずに泣いていたけれど、しばらくすると乗れていた。
「抱っこひもの中のこの子もあんなふうに乗れるようになるんかいな」
と思いながら、ぼんやり眺める。赤ちゃんはまわりをきょろきょろ見ながら、春の風がびゅ〜っと吹くのに驚いている。
昨日は、仕事のデイサービスで区内の小学校に送迎に行った。
校門から中に入ると、水飲み場に一人の男の子が座っている。
手には散水用のホースを持ち、ホースからは大量の水が出ている。
男の子がホースを上下に動かすと、水は弧を描いてうねった。
先生たちは誰もいない。
そこに大雨が降ってきた。地面のアスファルトに水滴が叩きつけられて、跳ねる粒が見えるくらいの強い雨だ。男の子はここぞとばかりにホースを操作し、水はさらに激しくうねって、そこにはちょっとした噴水ショーのような景色が広がった。ラスベガスのベラッジオかと思った。
男の子はたぶん「問題児」とレッテルを貼られるような子なのだろう。
大人の僕は「うわっちゃー(これ怒られるぞ)」と思う。でも同時に「たのしそうだな」と思うじぶんもいた。
「うちの子があんな感じになったらどうしよう」
とちょっと思う。止めることはできるんだろうか。いっしょになって「きれいだねえ」と言っていそうな気もする。それじゃだめかしら。
正解は、数年後。
その日のことはまだぜんぜん想像がつかない。