帰ってきちゃった。
近鉄電車が三時すぎに名古屋に着いて、さっき自宅に帰ってきた。
三月から石切で行われた、橋本久仁彦さんによる『未二観レビューの手ほどき』が終わった。
昨日の朝、家を出て、帰ってくるまで一日半ほど。
でも、今日の自宅は、昨日とは別世界のようで、とても長い時間、旅に出ていた感じがする。
楽しい時間はあっという間にすぎるというけれど、濃密な時間は時空をゆがませて、かえって長く感じさせるのかもしれない。
未二観のレビューをして、影舞して、バーベキューして、深夜までおしゃべりして、朝風呂に入って、朝ごはんを食べた。
それだけのはずなのに、もっと多くのことをした実感がある。
時間の長さもした経験も、事実と体感が合わない。へんな感じだ。
そしていま「よかったなあ」というじんわりとした喜びがある。
三月からの半年。毎月面白かったし、元気を取り戻した回もたくさんあった。
でも今日、朝ごはんを食べ終えて、おしゃべりが一段落したとき「もう帰る時間だな」と思った。
その後に用事はあったわけでもないし、居心地がよかったから、ずっといたい気もしたけれど、そんな思いと裏腹に「帰る時間だ」という自覚ははっきりと訪れた。名残惜しい感じもあまりなく、すっと席を立った。
不思議な一日半だったし、不思議な半年だった。
そして、いま、竜宮城から帰ってきた浦島太郎みたいな気分でいる。
いつもの部屋のはずなのに、まだふわふわして定まらない。
昨日、参加者みんなで見た夕焼けは、絵のように朱かった。
この写真をみていても「もしかしたらお伽話の中にいたのかもしれない」と思えてくる。
夢物語のような、本当のこと。
現実よりも、本当のこと。
そのような経験を、僕はしてきた気がする。
その最終回が、終わってしまった。
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